令和3年 第一回定例会 予算特別委員会 質問「新型コロナウイルス感染拡大防止策におけるデータ分析と情報発信の在り方」

1 新型コロナウイルス感染症対策について

(1)感染拡大防止策におけるデータ分析と情報発信の在り方  

村本議員:

 現在、茨城版コロナNextもステージ2に改善し、茨城県独自の緊急事態宣言も解除となった。しかし、その後の感染者数、病床稼働数は下げ止まり、またいつ拡大局面へ転じるかわからない状況となっている。

 そこで、まず、県のこれまでの感染防止策やその評価そして現状感染者数が下げ止まっている理由について、知事に伺う。

大井川知事:

 第一波から、早期探知と早期隔離、適切な行動制限とクラスター対策が、感染拡大防止には重要であると考え対策を講じている。

 昨年11月下旬の感染拡大市町村への自粛要請を皮切りに、今年1月には全県に対して、県独自の緊急事態宣言を発令して、自粛要請を行い、その都度、感染状況に改善が見られる。

 例えば、感染拡大の初期段階における最大の要因とされていた会食による感染拡大が、ほぼ見られなくなるなど、一定の効果があったものと認識している。

 他方で経路不明者数は、ピーク時の6分の1の程度まで減少しているものの、医療機関や福祉施設、事業所内でのクラスターをはじめとする、濃厚接触者の感染拡大が継続していることから、陽性者数が下げ止まり傾向にある。

 クラスターが発生し、収束に時間を要している理由を検証すると、まず本県では、重症化リスクの高い方が多い入所系福祉施設の従事者に対する、一斉検査を実施しているが、検査をすり抜けてウイルスが持ち込まれる事例もあり、クラスターの発生を完全になくすことは容易ではない。

 さらに医療機関や福祉施設で陽性者を確認した場合には、接触可能性がある方を、幅広く検査を実施しているが、感染してるにもかかわらず、陰性となる事例もあり、感染制御に困難が伴うことから、クラスターの収束に時間を要している。

 また、こうしたクラスターの現状に加え、これまでの1年間で、人の移動や集まりが多くなる季節に、感染状況が大きく拡大してきたことを踏まえると、年度末年度始めの前に、予断を許さない状況になると考え、今週16日には、茨城県まん延防止警戒期間を設定したところであり、引き続き緊張感を持って対策に当たっていく。

村本議員:

 知事は、記者会見などで、行動変容に関するシーン別の注意事項を公表しているが、「慣れ」や「自粛疲れ」が指摘されており、マンネリ化した場合、その効果が発揮できない危険性がある。

 また、2月22日の緊急事態宣言解除時の会見で、現状の分析結果として、県内陽性者の推定感染経路とその分析を示しているが、この内容が県民に求める行動変容とリンクしておらず、要請に対する納得感が得られづらい。

 感染場所だけでなく、実際にどのような行動が感染に繋がったのかという県固有の状況を反映した分析結果を月毎のデータで示し、ナッジ理論などの行動科学を活用し、県民が実行しやすいピンポイントの注意事項を呼びかけることで、県民の皆さんの関心を引き、理解と納得が深まり、感染防止効果が高まる。

 協力いただける罹患者や治癒された方からリスクのある行動や感染原因をお聞きして分析する専門家を交えたチームを新たに編成しては如何か。

そこで、県民が納得感を得られるような自粛要請及び注意喚起のためのデータ分析、そして情報発信の在り方について、知事に伺う。

大井川知事:

 保健所では行動歴を詳細に聞き取り、この分析を通じて、感染経路を推定しているが、2月以降は会食による感染拡大がほぼ見られなくなり、感染状況が落ち着いたため、2月22日に県独自の緊急事態宣言の解除を発表した。

 しかしながら、国の分科会の提言を参照すると、会食は感染拡大のきっかけであり、そこから家庭内にウイルスが持ち込まれていると考えられることから、会食以来の感染が減少してるとはいえ、引き続き、会食など、マスクなしで飛沫が拡散しやすい行動を見なおす必要がある。

 また、県民の皆様に注意喚起をするにあたっては、マスク着用や3密回避を抽象的に訴えるのでなく、具体的場面を想像できるよう、会食や職場などでの留意点を、マスクなしをなくしましょうとして、情報発信に努めている。

 他方で、県衛生研究所におけるゲノム分析による疫学的リンクや、感染性の解析、国立感染症研究所と連携したクラスター分析のほか、同研究所に派遣していた職員に疫学的分析を担わせているところであり、今後も疫学的分析ができる職員の養成に取り組む。

 さらに、新型コロナウイルス感染症や、新興感染症への対応を強化するため4月から新たに感染症対策課を設置し、行動歴の分析を着実に行いながら、感染リスクが高い行動など、県民の皆様にご留意いただきたいポイントの発信に努める。

 県としては、県民に、自分ごととして捉えていただくことができるよう、感染リスクに着目したデータに基づく情報発信を行うとともに、新たな体制のもと、感染拡大の防止に全力を挙げていく。

村本議員:

 県としても、未知のウイルスに対して、手探りの状態で、国と連携し対策を実施してこられました。しかし、いつまでも未知ではなく、感染データからもっと学んでいかなければいけない。

 通常であれば、卒業や入学等キラキラした一生の思い出となるこの時期ではあるが、先ほど述べましたように県民の皆様は不自由な生活を強いられている。一日でも早くこのコロナ禍が収束するようこれからも万全の態勢で臨んでいただくことを切望する。
Microsoft PowerPoint – 210222_0815_第3波対策まとめ&新指針の検討(1) (pref.ibaraki.jp)