「不登校対策としての睡眠指導の導入について」 令和5年 第四回定例会 予算特別委員会
【村本しゅうじ議員質問】
不登校対策としての睡眠指導の導入についてお伺いします。
全国でもここ直近の11年間は、不登校児童生徒数は増加し過去最高を更新し続けています。
本県においても、同様の傾向となっており、令和4年度では、小学生3,288人、中学生5,289人、高校生686人、合計9,263人が不登校となっています。
その原因は、様々でありますが、令和4年度の文科省の調査では、小中学校における不登校の状況は、無気力・不安が50%を超えており、不安感など心の不安定さが影響していると思われ、そのほかの要因では、生活リズムの乱れや友人関係の構築が上がっており、コロナ禍の影響も加味したものであると分析されています。
このような不登校の対策として、国や県では、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの配置やSNSでの相談体制の強化などが行われておりますが、不登校になりそうな不安定な状況になってからの対応ではなく、そもそも健全な生活を送れるようにすべきであるとの観点から、睡眠の重要性が見直されています。
茨城県においても、小中高校とそれぞれ学習の時間を設け、しっかりと睡眠の重要性について教科書などを活用して指導していると伺っています。
一方、堺市では眠育を通して不登校の縮小に成果を上げています。
眠育とは、熊本大学の三池輝久名誉教授の研究で、「不登校の多い学校と少ない学校の相違は睡眠時間の差が考えられる」との分析を基に、睡眠不足からくる不登校事例や睡眠の質に関する教材と、2週間分の睡眠時間や朝のすっきり度合いを生徒に記入してもらう「睡眠表」を使って、睡眠時間と体調変化の関係の見える化を図るものです。この睡眠表から児童生徒に個別面談などで睡眠指導のほか、その他の悩みや不安を聴きながら、就寝・起床時間の目標を一緒に定め、生活習慣の改善を図っています。その結果、不登校の生徒は、5年で35人から16人へと半減した実績があります。
他にも、月に何日の「はよねるデー」を設けるなどの工夫も良いと思います。
更に、時間的に教師の対応が難しければ、定期健康診断にて、睡眠や生活リズムをデータ化し睡眠指導を行ってはどうでしょうか。
以上を踏まえ、不登校対策としての睡眠指導の導入について、教育長にお伺いします。
【教育長答弁】
不登校の要因は、不安・無気力などが大半を占めるなど、本人や保護者であっても明確に把握できていないことや、複数の原因が重なり合っていることも多いことから、一つの要因に特定することは困難な一方で、睡眠指導は、児童生徒が規則正しい生活習慣を身につけ、心身の健やかな発達を遂げるためには大変重要であると認識しております。
このため、学校においては、小学校の段階から、運動、食事、休養・睡眠の調和のとれた生活を続けることが大切であることを指導しているほか、県でも2007年度から「早寝早起き朝ごはん」運動として、地域や家庭とともに、睡眠を含む基本的な生活習慣を子どもたちが身に付けるための運動を推進しております。
特に、本県においては、各学校での「早寝早起き朝ごはん」運動の取組として、生活習慣チェック表などで睡眠の状況を調査し、指導に生かしております。
中でも優れた実践で文部科学大臣表彰を受けた学校では、自律訓練法の講習やヨガ等の体験活動で得た知識や実践から生徒自らが主体的に「睡眠に効果的なストレッチ」を考案する活動のほか、大学教授の指導による生活習慣の改善プログラムなどを実施しているところです。
県といたしましては、児童生徒の健全な心身を育成するため、効果的な事例を共有することなどにより、睡眠指導を進めてまいりますとともに、引き続き、一人一人の不登校の要因を丁寧にアセスメントし、適切な支援につなげるなど、不登校の未然防止及び早期支援に努めてまいります。
※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。
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