令和4年 第一回定例会 予算特別委員会質問「カーボンニュートラルについて」(1)2050年の実現に向けた県の取組
(村本しゅうじ議員質問)
はじめに、カーボンニュートラルについてお伺いいたします。
まず、2050年の実現に向けた県の取組についてです。
脱炭素化は、今や世界的な潮流となっており、昨年10月、国は「地球温暖化対策計画」を5年ぶりに改定しました。この計画には、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことや、2030年に向け温室効果ガスの削減目標46%が盛り込まれています。
国の改定を受け「茨城県地球温暖化対策実行計画」は令和4年度に改定すると聞いております。この目標を達成するためには、県民の積極的な協力が不可欠であります。その中心となるのが、県民運動「いばらきエコスタイル」であると認識していますが、県民の意識は高く、やることが明確であればエコ生活をしたいとの声も多く聞かれます。よって、県民に対して、目標と具体的な対応策を明確にすることが重要であり、令和4年度改定予定のこの計画に、県民に向けたわかりやすい温暖化対策の生活スタイルを明示していただきたいと思います。
そこで、茨城県地球温暖化対策実行計画の改定に向けて、県としてどのような方針で取り組んでいくのか県民生活環境部長にお伺いいたします。
(県民生活環境部長答弁)
お答えいたします。
委員ご指摘のとおり、カーボンニュートラルの実現には、県民総ぐるみの取組が不可欠であり、県民に対し、温暖化防止に向けた取り組みの方向を具体的に示すことは、重要であるというふうに認識しております。
現在の「地球温暖化対策実行計画」におきましても、県民、事業者、市町村などの各主体におけるそれぞれの役割や、期待される行動を示しているところでございます。
県民向けの具体な取組といたしましては、「できるエコからはじめよう」をスローガンに、年間を通じて省エネを実践する県民運動「いばらきエコスタイル」を推進し、身近にできる取組の実践を呼びかけているところでございます。
エコスタイルの実践にあたりましては、温暖化対策のライフスタイルやその効果を、分かり易く示すことが大切であると考え、これまで、冷暖房の適切な温度設定や、省エネ家電への買換えなどの省エネ行動による、二酸化炭素削減量や節約額を示したリーフレットの配布、家庭で取り組んだ省エネ行動の成果を、二酸化炭素削減量として簡易に把握できる「いばらきエコチャレンジ」、各家庭のエネルギー使用状況を専門家が診断し、効率的なエネルギー対策を提案する「うちエコ診断」、などを行ってまいりました。
そして、今年度においては新たに、県公認Vtuber「茨ひより」を活用し、「身近にできる省エネを楽しくお得にチャレンジ」と呼びかける動画の配信や、家庭のキッチン、リビングなどにおいて、自分のエコな取組の実践効果を、WEB上でその都度確認できる「エコチェックシート」の公開、エコスタイルを紹介する特設サイトの開設、などをはじめたところでございます。
また、来年度改定する実行計画においては、本県の二酸化炭素排出量の約6割を占める産業部門からの排出削減、再生可能エネルギーの最大限の導入、徹底した省エネルギー対策の3つについて、その取組を強化する必要があると考えております。
委員ご提案の、目標の設定や具体的な対応策の明示につきましては、「徹底した省エネルギー対策」の取組促進策として有効と思われますので、計画策定にあたっての重要なポイントとして、専門家の意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
(村本しゅうじ議員質問)
茨城県のCO2排出量の特徴として、産業分野が6割を超えていますが、今すぐにでも消費電力を削減することが可能であるとの指摘もあります。例えば、電圧を昇降させるトランスを高効率のものに取り替えるだけで、消費電力が約半分に低減できるとのデータもあります。
経営状況の厳しい小規模事業者は新たな設備投資に消極的です。省エネルギーの効果が経営にも資することを理解し、エコ設備へ更新を促す積極的なPRが必要です。
例えば、県のホームページで自分の事業所の設備の状況を入力するだけで、いくら儲かるのか算出できるシステムを導入してはいかがでしょうか。また、商工会など各種団体を通じて全ての事業者へ協力を要請し、省エネルギーにより10年間でどれくらいのメリットがあるかなどの情報を記載したチラシを配布するなど精力的に活動を展開してはどうかと考えます。
そこで、企業の温室効果ガスの排出削減への取り組みを促進するため、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
(県民生活環境部長答弁)
お答えいたします。
企業の二酸化炭素排出削減のためには、その大部分を占める中小企業の取組が必要ですが、中小企業においては、委員ご指摘のとおり経営状況の厳しさから、新たな設備投資が難しいことや、省エネのノウハウが少ないといった課題がございます。
このため、県では、事業所を対象に、無料で、エネルギー管理の専門家を派遣し、設備の運用改善などの技術的提案を行う省エネルギー診断を実施するとともに、省エネ設備への投資が必要な際には、導入に係る経費の一部を補助するなどの支援策を実施しているところでございます。
これらの事業の推進にあたりましては、まず、事業者に対し、積極的に省エネに取り組む意欲を持たせることが大切です。
このため、これまでに、省エネ対策が経済的にもプラスであることをPRするため、過去の診断事例に基づく節約効果や、投資回収期間などを掲載したチラシを作成し、商工会連合会など100を超える業界団体を通じて周知を図ってまいりました。
また、中小企業が参加するセミナーなどの機会を捉えて、直接説明をしてきたところでございます。
委員ご提案の事業所の情報を入力することで節約効果が策定できるシステム、につきましては、業種やエネルギー使用量、実践する省エネ対策などを入力することで、二酸化炭素削減量や節約効果などが自動で診断されるセルフ診断ツールが、現在、一般財団法人省エネルギーセンターのホームページに公開されております。
このツールは、企業が省エネに取り組むきっかけ作りとして有効でありますので、今後、本ツールの活用を県のホームページなどで紹介してまいりたく考えております。
県といたしましては、省エネ設備への投資が、二酸化炭素削減による地球温暖化の防止はもとより、将来の経済的メリットにつながることなど、様々な視点から、企業の取組意欲を促すことにより、企業の温室効果ガス排出削減の取組を促進してまいります。
(村本しゅうじ議員要望)
国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は先月28日、「人間が原因の地球温暖化が広範囲に悪影響を与あたえている」と第6次報告書で断定しました。様々な状況から「だって仕方ない」と後回しにしたツケが何十年後かの子孫の窮地を招くのです。できることからやるという姿勢で臨んでいきたいと思います。
※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市