令和4年 第一回定例会 予算特別委員会質問「カーボンニュートラルについて」(2)産業拠点創出の推進

   

(村本しゅうじ議員質問)

 次に、カーボンニュートラル産業拠点創出の推進についてお伺いいたします。

 カーボンニュートラルは、温室効果ガス排出量をニュートラルつまりプラスマイナスゼロとする必要があり、革命的な技術革新が不可欠と言われております。

 このようなイノベーション(技術革新)を茨城県からという思いで、令和3年度補正予算にて、カーボンニュートラル産業拠点創出のための事業や基金を計上し、その大きな経済の潮流を本県に呼び込む活動が開始されました。

 また、令和4年度の予算において、産業拠点や先導モデルの創出、港湾の調査、融資や再生可能エネルギーの推進など複数の事業が計上されており、この件に関する県の意気込みが感じられます。しかし、一見すると複雑な事業体系ですので、目的や全体像をわかりやすく説明する必要があると思います。

 また、通常、企業が新規事業に投資する際には、マーケティングや事業性検討等の様々な調査や計画を行います。当然、カーボンニュートラルにおいても例外ではありません。しかし、企業にとっては冒険的なプロジェクトになりますので、まずは実行の前段である「調査」や「計画」のプロセスへ手厚い支援を行うことで、投資意欲を促進いただきたいと思います。

そこで、産業拠点創出に向け、令和4年度の県の各事業間の関係と狙い、そして企業の投資意欲促進に向け、今後どのように取り組んでいくのかについて、政策企画部長にお伺いいたします。

(政策企画部長答弁)

 お答えいたします。

 大規模産業におけるカーボンニュートラルへの対応には、事業モデルの構築から事業性の調査、実証実験、設備投資と言った段階を踏んだ取組が必要となってまいりますので、県におきましては、令和4年度予算において、これらを一気通貫で支援できる体制を構築したところでございます。

 具体的には、「カーボンニュートラル先導モデル創出推進事業」によって先導的な事業モデルの構築を行い、「カーボンニュートラル産業拠点創出推進事業」によって企業の事業性調査への支援を行い、「カーボンニュートラル産業拠点創出推進基金」により大規模実証を含む設備投資への支援を行うこととしております。

 また、港湾機能の高度化や再生可能エネルギーの拡大に向けた調査検討、カーボンニュートラル関連産業の誘致推進、新たなビジネスに挑む中小企業への支援など、企業が投資しやすい環境をあわせて整備しながら、カーボンニュートラル産業拠点の創出を図ってまいります。

 このように体系的な支援体制を構築したところでありますが、委員ご指摘のとおり、多くの部局が関係しておりますので、政策企画部が中心となりながら、民間企業等に対するわかりやすいアピールに努めてまいります。

(村本しゅうじ議員質問)

 昨年の第3回定例会の予算特別委員会で、このカーボンニュートラル産業拠点創出を、様々なポテンシャルを有する県北日立港区周辺の活性化に資するものとしていただきたいと要望をさせて戴きました。日立港区周辺の状況を見るに、LNG基地やガス幹線の起点更にLNGを気化する時に出る排熱、港湾や高速道路等の輸送網そして発電プラントメーカがあること等から、エネルギー安全保障を考慮した国内メタネーションの製造拠点や水素製造工場等の誘致が有望であると考えますが、県の考えを伺います。

(政策企画部長答弁)

 お答えいたします。

 日立港区は、東京ガスのLNG基地が立地し、エネルギーの広域的な供給拠点としての役割を担っております。カーボンニュートラル社会においても、LNGは低炭素エネルギーとして有効なエネルギーであり、日立港は引き続きエネルギー拠点として重要な位置づけがなされるものと考えております。

 東京ガスは、自社のカーボンニュートラル対応方針を示した「コンパス2030」等において、ガスの脱炭素化に向け、カーボンニュートラルメタンの生産技術であるメタネーションの大規模化と商用化、さらにそれを支えるための安価な水素製造技術の確立と実用化に取り組むロードマップを示しております。このうち、メタネーションについては、研究施設での実証試験に今年度着手し、2020年代において中規模・大規模実証へ移行する見込みとなっております。

 東京ガスは、クリーンエネルギーを安価に調達できる海外で大規模メタネーションを実施する方針であることから、日立港区には、海外で生産されたカーボンニュートラルメタンの受入基地としての役割が期待されるところであります。

 これに加えて、東京ガスは、ローカルでのCО2リサイクルを実現する「メタネーション地産地消モデル」にも取り組む方針を示しており、県としては、この取組が県内で展開されるよう、働きかけをしているところでございます。メタネーションに必要となる水素やCО2が安価かつ安定的に確保できるよう、複数企業の連携による新エネルギーのサプライチェーン構築やCО2分離回収・再利用などの実現に向けた取組を進めるとともに、本県における地産地消型メタネーションの実現につなげる方策について、東京ガスと意見交換をしながら検討してまいります。

(村本しゅうじ議員要望)

 このような民間の産業の育成は、政策としては非常に難しいと感じております。方向性すらはっきりとしない中で、補助金を出せばよいというものでもなく、また、本県に投資効果が戻ってくることも考慮しなければならないという離れ業にも近い事業だと認識をしております。民間の競争環境の維持と活力維持を念頭に、チャレンジングな取り組みではありますが、茨城県そして県北のポテンシャル(可能性)をフル活用して、世界に先駆けた取組をお願い致します。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

#茨城県議会 #日立市