省力化・生産性向上による農業の大規模化と「儲かる農業」の実現について【令和8年 第一回定例会 一般質問】

※最下部に要約があります。

【村本修司議員質問】

 省力化・生産性向上による農業の大規模化と「儲かる農業」の実現についてお伺いします。

水田農業において、「儲かる農業」を実現するにはコスト低減とそのための大規模化が不可欠ですが、春の「育苗・代かき・田植え」による労働ピークが障壁となっております。

 この壁を打ち破る切り札として、育苗や田植え作業を省略できる直播栽培技術の導入が重要ではないかと考えており、私はその中でも特に「節水型乾田直播栽培技術」に注目しているところです。

この技術は、育苗や代かきを行わず、乾いた田んぼに直接種を蒔き、必要最小限の水で栽培する技術で、春の労働時間を最大60%削減し、生産原価を劇的に抑えることが可能となります。既にキロ当たりの生産原価75円という驚異的な数値を達成している事例もあり、大規模化と高収益を両立させている経営体が現れております。

 一方、直播栽培では、高精度の均平作業用のレーザーレベラー等の高額な農業機械が必要となることもあり、コスト削減のための技術導入が、かえって経営を圧迫するなどの懸念もあります。そのため、技術導入の効果を活かしつつ、県農業の構造を抜本的に改革し、稼ぐ力を最大化する必要があると考えています。

 第一に、支援のあり方を「機械の所有」から「サービスの利用」へと転換すべきであり、高価な農業機械を個々の農家の所有から、専門のコントラクターやJA等の農業支援サービス事業者へ作業を委託する形へとシフトし、そのサービス利用料を助成する仕組みを創設し、農家の初期投資負担を軽くするべきであると考えます。

 第二に、地区単位での「水管理インフラのスマート化」を行うために、土地改良事業を実施する際に、支線水路レベルでの自動給水システムや広域水位センサーを一括整備し、地域全体をスマートフォン一つで遠隔・一括管理できる体制を整えるべきではないでしょうか。

 第三に、産学官連携による高度技術人材の育成と拠点化であります。農家が最新技術を学べる「スマート直播技術研修センター」を設立し、高度な技術マイスターを育成すべきと考えます。

 以上の施策を通じて、春の重労働から農家を解放し、徹底した大規模化と圧倒的なコスト競争力を実現することで、県が「儲かる農業」を実践していくべきだと考えます。

 以上を踏まえ、県として、省力化・生産性向上による農業の大規模化と「儲かる農業」の実現についてどのように取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いします。

【農林水産部長答弁】

 本県の水田農業が持続的に発展していくためには、省力化や生産コストを意識した、収益性の高い農業構造への転換を図る取組が極めて重要であると認識しております。

 そのような中、県では、水田農業の生産効率を上げる取組みとして、県内全域で意欲ある経営体への農地の集積・集約を進めるとともに、ほ場の大区画化などにより、スケールメリットを活かした効率的な経営を実現するメガファームの育成を推進してまいりました。

 農業用ドローンや無人トラクターなどの省力化技術の導入などに取り組んだメガファームにおいては、ほ場への移動時間やほ場内での作業時間が短縮され、作業効率が約2倍に向上した成果も確認されているところでございます。

 一方で、今後、高齢化や少子化などの影響により、農業者数が急速に減少し、大規模経営体であっても労働力の確保が難しい状況が想定される中において、水田農業を持続的に発展させるためには、様々な作業を、効率化していく取組が必要になると考えております。

 特に、育苗や代かき、田植えなどの春先の一定期間に集中する作業に対しましては、直播栽培を含めた、省力化や低コスト化に資する技術を生産現場に普及していくことが重要と認識しております。

 このため、県では、育苗の効率化を目的として高密度播種技術の普及を推進しております。

 また、ほ場に直接種を播くことで育苗作業を省略できる直播栽培については、種もみの発芽率を向上させる種子コーティング剤の適切な選択やほ場の整地方法などの技術の改善を行いながら普及を推進しているところでございます。

 議員ご指摘の節水型乾田直播栽培技術につつきましては、農林水産省が令和6年2月に発足させた「超低コスト・低メタン輸出米」官民タスク フォースで検討がなされており、令和6年に国内の8経営体が実証を行った結果が公表されているところでございます。

 その結果においては、一定の収穫量を確保できた事例もございますが、大部分の事例では一般的に行われております移植栽培と比べて収穫量が3割から7割減少するなど、省力化や生産コストの低減が期待される反面、収量面において課題があるとされているところでございます。

そのため、県においても、十分な検証が必要であるという認識でおり、引き続き有用性を確認するための情報収集や調査を進めてまいります。

 他方、3つのご提案のうち1つ目の高額な農業機械の導入に係る初期投資の低減に関しましては、個々の経営体が農業機械を購入する代わりに、作業を委託することも有効でございます。

 このため、国の補助事業を活用し農作業を請負う事業者の育成を支援し、それらの活用を推進してまいります。

 次に、水管理に係る労力の省力化に関しましては、大規模経営体において重要な取組と認識しており、土地改良事業の実施に当たり、作業労力や電気代などの生産コスト低減につながるICT自動給水栓の活用を推進してまいります。

 最後に、高度な技術を有した人材育成に関しましては、普及指導員が直播栽培に係る講習会や個別巡回などで指導しているほか、いばらき農業アカデミーにおいてスマート農業講座を開催して、スマート技術を使いこなせる人材を育成してまいります。

 県といたしましては、農地の集積・集約やほ場の大区画化により、農業経営の大規模化を推進するとともに、補助事業などを活用し直播栽培などの省力化技術の導入を支援することで、水田農業における「儲かる農業」の実現を図ってまいります。

【村本修司議員感想・要望】

  農業の担い手不足は待ったなしであり、県の推進する儲かる農業も重要な課題であります。スピード感を持って推進していただくことを要望します。

#茨城県議会 #日立市

省力化・生産性向上による農業の大規模化と「儲かる農業」の実現について

概要(要約)

水田農業において「儲かる農業」を実現するためには、コスト削減と大規模化が不可欠ですが、春の「育苗・代かき・田植え」に集中する作業が大きな障壁となっています。

そこで私は、その解決策として、育苗や田植えを省略できる直播栽培技術、特に「節水型乾田直播栽培」に注目しました。

この技術は、乾いた田んぼに直接種をまくことで、

  • 春の労働時間を最大60%削減
  • 生産コストの大幅削減

を可能にする技術であり、既に生産原価75円/kgという非常に低コストの事例も報告されています。

一方で、高精度の整地を行うレーザーレベラーなどの高額機械が必要になるため、導入コストが経営を圧迫する懸念もあります。

そこで、私は「儲かる農業」の実現に向けて次の3点を提案しました。

  1. 農業機械の「所有」から「サービス利用」への転換
     コントラクターやJAなどへの作業委託を促進し、サービス利用料を支援する仕組みの検討
  2. 水管理インフラのスマート化
     土地改良事業と合わせて自動給水システムや水位センサーを整備し、スマートフォンで遠隔管理できる体制の構築
  3. 高度技術人材の育成
     産学官連携による「スマート直播技術研修センター」の整備と技術マイスターの育成

これらの施策により、農家を春の重労働から解放し、大規模化と高収益を両立する農業構造の実現を提案しました。


執行部が約束・言及した主な事項

今回の答弁では、次の点について県として取り組む方向が示されました。

● 農地の集積・集約やほ場の大区画化を進め、大規模経営体(メガファーム)の育成を推進する

● ドローンや無人トラクターなどのスマート農業技術の導入を進める

● 直播栽培などの省力化・低コスト技術の普及を推進する

● 「節水型乾田直播栽培」については、
 収量面の課題があるため調査・情報収集を進める

● 農作業を請け負うコントラクターなどの農業支援サービス事業者の育成を支援する

● ICTを活用した自動給水栓など水管理のスマート化を推進する

● いばらき農業アカデミーや普及指導員による
 スマート農業人材の育成を進める


私の要望

農業の担い手不足は深刻であり、今後さらに加速することが予想されます。

その中で、水田農業を持続可能な産業とするためには、
省力化・大規模化・コスト競争力の強化が不可欠です。

県としてスピード感を持って施策を推進し、
「儲かる農業」を実現する農業構造への転換を強く要望しました。