対話型AIエージェントの導入による福祉サービス情報提供の高度化について【令和8年 第一回定例会 一般質問】
※最下部に要約があります。
【村本修司議員質問】
対話型AIエージェントの導入による福祉サービス情報提供の高度化についてお伺いします。
「日本一幸せな県」の実現には、県民一人ひとりが、日々の暮らしの中で必要な支援を確実に享受できる基盤を整えることが重要です。そのためには、必要な情報に迷わずたどり着け、複雑な手続の壁を感じることのない環境が不可欠です。このため、情報のアクセシビリティ、いわゆる「情報への到達しやすさ」を保障することは、最重要課題の一つであると考えております。
福祉サービスは、県、市町村、関係機関が独自の施策を実施することが多く、それぞれの中で、生活困窮から障害、高齢、子育て、介護などの多層かつ横断的分野に渡っています。このように、広範囲に渡る福祉施策、県と市町村、あるいは各部局などの枠を超えて、効率的かつ網羅的に支援情報を集約・提示することは、全体を記述したマップが無いため、かなりの障壁が生じています。
そのため、サービスを利用する県民だけでなく、行政職員にとっても全体像の把握が極めて難しく、結果的に「申請漏れ・支援漏れ」が生じやすい現状にあります。私は、こうした課題を解決する鍵は、行政検索システムの「第3段階」への進化にあると確信しております。
現在の行政検索は、あらかじめ用意された選択肢を選ぶ「第1段階の想定問答型」いわゆるチャットボットや、生成AIが関連URLを提示する「第2段階の案内型」に留まっており、これらのシステムレベルでは、県民が真に知りたいことに到達しないことや長大なPDFまたは複雑なページを自力で読み解く負担が生ずるなど課題は依然として残ります。目指すべきは、AIが言葉にならない「困りごと」を特定し、福祉情報を読み込み、個別の状況に合わせて解決策を直接提示する「第3段階の課題解決提案型」です。県民は自身の状況を行政用語で言語化できないことが多く、従来のキーワード検索という「宝探し」を強いる手法では限界があります。対話型AIエージェントがカウンセラーのように対話を通じて真のニーズを掘り起こし、縦割りの壁を越えて「お節介なほどの網羅的な提案」を行い、窓口に行く前に自分で探せることで、時間的・心理的コストを劇的に下げることが可能です。
また、生成AIは多言語化が得意であることから、外国人住民の母国語に翻訳して情報を提供することも可能であり、極めて有効な施策だと思います。
一方、AIが誤った回答を行う、いわゆる「ハルシネーション」への懸念がありますが、「ログに基づく検証」や「試験運用の明示」、「最終確認は窓口で」という仕組みを制度設計に埋め込むことで、行政の正確性と県民のアクセシビリティは十分に両立が可能です。間違いを恐れて立ち止まることによる「情報の未到達」という機会損失こそが、県民にとって最大の不利益であります。
対話型AIエージェントの導入費用は要件によりますが、数百万円規模からのスモールスタートが可能と考えます。まずは県のホームページによる実証試験から開始し、システムを確立後、順次賛同する市町村へと拡張していく広域連携モデルを提案します。
以上を踏まえ、対話型AIエージェントの導入による福祉サービス情報提供の高度化について、福祉部長のご所見を伺います。
【福祉部長答弁】
福祉施策につきましては、生活困窮・障害・高齢・子育て・介護など多岐にわたる分野があり、それぞれの分野に応じて県や市町村の多くの部署が関係しております。また、支援制度は年々拡充されている一方で、制度の種類や要件等が増加するなど、その内容は複雑化しており、県民の方々にとって分かりづらい面もあると認識をしております。
このような状況において、県民の方々が、必要とする福祉施策の情報に確実にアクセスし、行政による適切な支援を受けられるような環境を整備することは、重要であると認識をしております。
このため、県では、広報紙やホームページ、SNSなど多様な媒体を活用し、制度の周知や理解促進に取り組んでまいりました。
また、県ホームページ上に、福祉行政を含め、県民の方々からの問合せの多い業務について24時間365日自動応答するチャットボットを整備し、自ら必要な情報にアクセスできる環境づくりに取り組んできたところでございます。
AI技術につきましては、複雑・多様化する福祉分野において、利用者の状況に応じた最適な支援メニューや支援機関を、迅速に提案することができるため、支援の質の向上や業務の効率化を図る点において有用であることから、積極的に活用すべきと考えてございます。
福祉分野における生成AI活用の一例を申し上げますと、生活困窮に係る業務の中で、訪問相談の現場において、制度の内容や最適な支援メニューを提案することや、正確なケース記録の迅速な作成がございます。導入にあたっては、実証実験による検証や職員への研修を重ね、相談支援を行う現場の職員が円滑かつ的確に業務を遂行できることを確認した上で、今年度、取組を開始したところでございます。
福祉相談の分野におきましては、障害や生活困窮など他人に知られたくない個人情報にかかわる事案も多く、窓口での相談について抵抗感を覚える方もいらっしゃいますことから、AIエージェントとの対話や提案を通じて、必要とする情報にアクセスしやすくなることは大きな利点だと考えております。
また、福祉制度を説明する資料等につきましても、記載内容を分かりやすい形で提供することも可能であり、さらに、県内で生活する外国人の方々に対しても、必要となる支援制度の理解を図る上で、有効なツールになるものと考えてございます。
一方で、高齢者など、デジタル技術の取扱いが不慣れな方々へも配慮する必要があるほか、深刻な悩みや切迫した事情を抱える方の相談など、慎重な対応を要する事案では、対面などによる相談の方がより適切な場合もあるかと考えております。
また、生成AIには、入力した情報の漏えいリスクや、実在しない内容があたかも真実であるかのように表示されるなど、不正確な情報を生成してしまうリスクが指摘されております。
このため、福祉分野での生成AIを活用した県民の方々への情報提供につきましては、生成AIの特性や県民の方々の利便性向上の観点から、先行事例や技術的な問題について情報収集に努め、実証実験を進めながら、導入に向け、検証を行ってまいります。
県といたしましては、こうした新しい技術を活用し、県民の方々が、必要とする福祉施策の情報を得ることができる体制づくりに積極的に取り組んでまいります。
【村本修司議員再質問】
「導入可能性を検証する実証実験を行っていく」との前向きの答弁をありがとうございます。
懸念事項として、ハルシネーションによる不確かな情報提供への心配が大きいかと思います。私なりにハルシネーションの原因を調べてみましたが、情報を収集するホームページに古いページが残っていたり、最新の情報に更新されていなかったりすることが大きな原因のようですので、実証試験の際には十分に検証をお願いします。
そこで、実証実験はどれぐらいの期間を想定されているのでしょうか?
また、どのような点の見極めが出来たら導入を判断されるのでしょうか?何かお考えがあれば、ご所見を伺います。
【福祉部長再答弁】
まず、実証実験の期間についてお尋ねいただきました。現在、必要となる作業の抽出、さらに、それぞれにかかる期間等について、まだ確定しておりません。全体のスケジュールは、これから決定する予定でございます。
導入の判断の基準になるものについてでございますが、総合的な判断になりますが、実証実験を重ねる中で、回答の精度などを見ながら、ハルシネーションがどれくらい解消されているのか、というところが一つの大きな基準になると考えます。
#茨城県議会 #日立市
以下ChatGPTによる要約です。
対話型AIエージェントの導入による福祉サービス情報提供の高度化について
概要(要約)
「日本一幸せな県」を実現するためには、県民一人ひとりが必要な支援制度に迷わずたどり着ける環境を整えることが重要です。
しかし、福祉制度は
- 生活困窮
- 障害
- 高齢
- 子育て
- 介護
など多分野にまたがり、さらに県・市町村・各部局がそれぞれ施策を実施しているため、制度全体の把握が難しく、申請漏れ・支援漏れが生じやすい状況があります。
私は、この課題を解決するため、対話型AIエージェントの導入を提案しました。
現在の行政検索は、
- 想定された質問に答えるチャットボット
- 関連ページを案内する検索型
といった仕組みにとどまっています。
これに対し、対話型AIエージェントは、
県民の「言葉にならない困りごと」を対話の中から引き出し、
縦割りの制度を横断して、最適な支援制度を提案する「課題解決型」サービスです。
さらに、AIは多言語対応が可能であるため、外国人住民への情報提供にも有効です。
そこで、まずは県ホームページでの実証実験からスモールスタートし、将来的には市町村と連携した広域モデルとして展開することを提案しました。
執行部が約束・言及した主な事項
今回の答弁では、次の点について県として取り組む方向が示されました。
● 福祉制度は複雑化しており、県民が必要な情報にアクセスしやすい環境整備は重要な課題であるとの認識を示した
● 県ホームページでは既に24時間365日対応のチャットボットを運用している
● 生成AIは
- 支援メニューの提案
- ケース記録の作成
などに有効であり、福祉分野で積極的に活用すべき技術と認識している
● 福祉相談分野では
AIによる匿名性の高い相談環境が情報アクセスの向上につながる可能性がある
● 外国人住民への情報提供にも
多言語対応ツールとして有効であるとの認識を示した
● AI導入にあたっては
- 個人情報漏えい
- ハルシネーション(誤回答)
などのリスクがあるため、実証実験を行いながら導入を検討する
● 実証実験では
回答精度やハルシネーションの発生状況などを検証し、導入可否を判断する
私の要望
福祉制度は複雑であり、必要な支援にたどり着けない「情報の壁」は、県民にとって大きな不利益となります。
対話型AIエージェントは、
- 支援制度の検索負担を減らす
- 縦割りの制度を横断して提案できる
- 外国人にも多言語で情報提供できる
など、県民の利便性を大きく高める可能性があります。
まずは実証実験を通じて課題を検証し、県民が必要な福祉支援に確実にアクセスできる環境の整備を進めていただくことを要望しました。
