令和4年 第一回定例会 予算特別委員会での質疑/「新産業廃棄物最終処分場の安全対策及び工程について」

   

(1)安全性確保

(村本しゅうじ議員質問)

 次に、新産業廃棄物最終処分場の安全対策及び今後のスケジュールについてお伺いたします。

 まず、安全性確保についてです。

 昨年の令和3年第3回定例会の本委員会において、新処分場での最新技術導入などの新たな取組や住民の声を如何に反映させていくかなどについて質問をし、常に安全を基本として設計を進めていただきたい旨の要望をさせていただきました。

 その後、県では「新産業廃棄物最終処分場基本計画策定委員会」において、4回に渡り施設の構造やその運営について検討してきたと承知しております。また、今月6日に日立市において開催した市民報告会には、私も参加させていただきました。その際には、私も検討資料や議事録を精読させていただきましたが、専門的かつ技術的な内容の資料に加え、賛否両論がある中での説明は、大変に難しかったのではないかと推量いたします。

 この時の質疑応答の中で、「住民として安心感を得たい。そのためにも、賛成反対意見共に理解を得るために、広く広報をしてほしい」との意見も出されました。

そこで、基本計画策定委員会で検討された、更なる安全性の確保など本計画で重視した点と背景について、県民生活環境部長にお伺いいたします。

(県民生活環境部長答弁)

お答えいたします。

 新たな処分場整備の基本計画につきましては、廃棄物処理や地盤工学など各分野の専門家で構成する策定委員会において、安全性を最優先として検討を重ね、先月、計画の案を取りまとめ、今月6日に、地元日立市において、報告会を開催したところでございます。

 ご質問の安全性の確保のため重視した点については、浸出水による地下水等の汚染防止のための対応策、それと近年増加している豪雨災害への対応策でございます。

 その背景といたしましては、公共関与の処分場として、安全安心なモデル的な施設を整備することに加え、地域との共生を図るためには、地元住民の不安を解消することが最も大切であるというふうに考えたからでございます。

 まず、地下水等の汚染防止のための対応策としては、現処分場と同様に、廃棄物に含まれる有害物質の受入基準を、国の基準に対し3分の1から10分の1に厳しく設定しております。

 これにより、埋立地から出てくる浸出水は、水処理前の段階においても、土壌汚染に係る環境基準とほぼ同じレベルになると考えられますが、それを浄化処理した後に、下水道に放流する計画としております。

 また、従来から実施しております埋立地内での全量展開検査に加え、搬入時に通過する計量棟近くに展開検査場を設置し、廃棄物中の金属等の濃度を測定する蛍光X線分析装置など最新の機器での検査により、受入体制を強化してまいります。

 遮水工については、全国の最新事例を参考にし、基準省令で定められている二重遮水シート構造とし、それに加えて、新技術であり、非常に透水性の低いベントナイト砕石を採用することとしております。このベントナイト砕石等につきましては、策定委員会においても全国トップレベルでの安全性を備えた遮水構造であるとの評価をいただきました。

 次に、近年増加している豪雨災害への対応策といたしましては、浸出水の発生を抑制するため、埋立地を南北2つの区画に分け、区画埋立を実施してまいります。

 また、日々発生する浸出水を貯留する調整槽は、アメダス日立観測所における観測史上最大の年間降水量データに基づき、施設規模や容量を設定し、現処分場の約3倍の3万3百立方メートルの容量といたしました。

 なお、この容量につきましては、日量400ミリの豪雨時の雨量によるシミュレーションを行っており、十分な容量であることを確認しております。

 さらに、敷地内の雨水を安全に流下させるために設置する防災調整池の容量につきましても、県の大規模宅地開発に伴う調整池技術基準に基づき算出し、浸出水調整槽と同様に、平成27年の関東・東北豪雨の雨量に対しても対応可能な容量としております。

 今後、基本設計や実施設計及び施工段階において、新たな課題が出てくれば、その時点・時点において、しっかり対応し、施設の安全性を確保してまいります。併せまして、市民の皆様のご理解を深めていただけるよう、広報等にも努めてまいります。

 (2)事業採算性とコスト低減

(村本しゅうじ議員質問)

 次に、事業採算性とコスト低減についてお伺いいたします。

 建設費のコストダウンも重要であり、私の以前勤めていた会社では、VEC(Value Engineering for Customers)と称して、VE(価値工学)活動を実施していました。本施設の建設においても、是非、価値を高めコストも抑える活動を展開していただきたいと思います。

 一方、コストで不確定要素が大きいといえば、供用開始後の事業採算性であります。赤字でも問題ないのならば別ですが、大事な血税を投入しないよう、しっかりとした見通しを立てることは当然のことであると思います。加えて、エコフロンティアかさまでは、当初の事業計画どおりの収益が確保できず、資金繰りに苦しみ、レベニュー債を導入したと伺っています。また、本事業における県の北部までの運搬経路が長くなる影響や今後の経済動向等の事業収入に与える影響も懸念されます。

そこで、事業採算性について、どのような条件で、どのような検討をされているのかを伺います。

(県民生活環境部長答弁)

 お答えいたします。

 委員ご指摘のとおり、エコフロンティアかさまの整備にあたりましては、施設建設費などの事業資金の約8割を金融機関からの借入れで調達し、10年間の事業期間で償還する計画としていたことなどから、開業当初は赤字が続き、資金繰りに苦慮する状況でありました。

 このような状況を改善するため、将来の収益を信託するレベニュー信託を導入し、長期的な運営資金の確保を図ったところでございます。

 その後、収益が安定したことにより累積赤字も解消し、レベニュー信託も最長24年の償還のところを、5年で償還いたしました。現時点においても、毎年毎年確実に収益を確保し、安定的に運営をしております。

 ご質問の新処分場における事業採算性の検討に当たりましては、現処分場での経験を踏まえ、事業収入や維持管理費用を安全側に見て積算をしております。

 具体的には、まず、埋立期間について、計画上の埋立期間20年から23年の中で、施設の維持管理費が最も多くなる23年を試算上の埋立期間としております。

 運転・維持管理に関する費用については、現処分場の運転管理を参考に、経費不足が生じないよう配慮するとともに、埋立終了後の維持管理費用である維持管理積立金など、将来の資金も確保した上で試算をしております。

 また、安定収益確保のためには、現処分場の利用者が、新処分場においても、引き続き利用していただくことが大切と考えております。このため、今後、現処分場の搬入事業者に対する働きかけも行ってまいりたいと考えております。

 なお、県内各地域の大口搬入事業者である50社に対してアンケート調査を実施した結果、96パーセントの事業者から、日立市に処分場が移った後も引き続き利用したいとの回答を得ております。

 また、処分場の建設費につきましては、国の交付金を活用するほか、現処分場の経験を踏まえ、中長期的な返済が可能な調達方法を検討しているところでございます。

 県といたしましては、新処分場の事業採算性の確保に向け、引き続き綿密な資金計画の作成に努めてまいります。

 (3)最新スケジュール

(村本しゅうじ議員質問)

 最後に、最新スケジュールについてお伺いいたします。

 当初エコフロンティアかさまは令和7年度に満杯になるため、新しい処分場の建設が急務であるとして、本事業の計画がスタートしました。その検討経過の中で、搬入路の新設が追加され、それが完成するまでは処分場の供用を開始しないと住民へ公表をしています。そこで、処分場と搬入路の計画及び建設スケジュールの最新の状況及びその関係性についてお伺いします。

(県民生活環境部長答弁)

お答えいたします。

 新処分場整備につきましては、現在のエコフロンティアかさまが、令和7年度内での埋立て終了が見込まれておりますので、それを見据えた整備スケジュールを立て、事業を進めているところでございます。

 来年度以降においては、基本計画を踏まえた基本設計を行い、その後、事業主体である茨城県環境保全事業団が、実施設計及び大気質や水質等の環境影響調査を実施いたします。

併せて、廃棄物処理施設設置の事前協議を進め、廃棄物処理法上の施設設置許可を得た後、建設工事に着手してまいります。

 新設道路につきましては、現在、測量や予備設計を進めており、来年度には地質調査や詳細設計、用地買収に着手したいと考えております。

 また、新処分場整備と新設道路整備を効率的に進めるためには、工程管理などの情報を共有し、それぞれの工程の調整を図りながら進めていくことが必要となってまいります。

 そのため、来年度には、事業団が整備計画地周辺に新たに現地事務所を設けるとともに、新設道路につきましては、土木部などと緊密に連携を図りながら、処分場と新設道路の整備を進めてまいります。

 県といたしましては、双方の供用開始が連動できるよう、県が総合的な進捗管理を行いながら、関係各所が連携し、円滑な整備推進に努めてまいります。

(村本しゅうじ議員要望)

 今後、基本設計、詳細設計へと進んでいくものと思いますが、先の市民報告会でも、「今後の調査や施工で改善・反映すべきことがあれば、反映すべし」との議論があったと思います。住民は命に直結した問題であるとの認識であり、丁寧且つ明確に回答していくことは基より、それぞれの時点で検証する視点も併せ持っていただきたいと思います。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

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