国民宿舎「鵜の岬」――36年連続、宿泊率日本一の誇りとこれからの課題

日立市が誇る国民宿舎「鵜の岬」の宿泊率日本一の記録が、今年も更新されました。1989年度から続く全国公営国民宿舎の宿泊利用率第1位を、2024年度も守り抜き、なんと36年連続の快挙です。利用率は79.7%。これは、全国平均を大きく上回るだけでなく、年間を通じてほぼ満室という驚異的な実績でもあります。

私は県議として、また日立市に暮らす一人として、この「鵜の岬」が地元に根ざし、全国から多くのお客様に愛されていることに、誇りと感謝の気持ちを強く抱いています。

魅力の秘密は「地元愛」と「もてなしの心」

この宿の魅力を一言で表せば、「また来たくなる」心地よさです。すべての客室から太平洋を望める絶景、展望温泉大浴場からの朝焼け、そして何より地元食材をふんだんに使った料理が訪れる人の心と胃袋を満たします。

中でも茨城県産「ローズポーク」や地元漁港で水揚げされた魚「めひかり」を使った夕食は、リピーターの皆さんからも高い評価をいただいております。また、茶道や生け花などの体験イベントを通じて、地元文化への理解を深めていただく取り組みも積極的に行われており、まさに“地元に泊まって、地元に触れる”宿といえるでしょう。

さらに公式ホームページやInstagramを通じた情報発信、そして若いスタッフによるSNS活用など、時代に合わせた工夫も宿泊率の高さを支える大きな柱となっています。

観光の起点としての存在感

「鵜の岬」には、関東を中心に全国から多くの観光客が訪れます。最近では県外客が県内客を上回る状況となり、日立市から北茨城エリアへと広がる観光ルートの拠点として機能しています。宿泊者が市内の観光地を巡ったり、地元産品を購入したりすることで、地域経済にも確かな波及効果が生まれています。

こうした「交流人口」の拡大は、まさに地域活性化の核です。日立市が観光都市としての魅力をより高めていくうえで、「鵜の岬」は重要なエンジンであり続けるでしょう。

老朽化と変わるニーズへの対応がこれからの課題

一方で、見過ごせない課題もあります。施設は昭和の開業以来、大規模なリニューアルが行われておらず、建物や設備の老朽化が進んでいます。また、和室中心の団体利用向け設計が多くを占める客室構成は、個人旅行や少人数のニーズとはややミスマッチになりつつあります。

今後は、洋室化やユニバーサルデザインへの対応など、宿泊スタイルの多様化に合わせた改修が急務です。加えて、若い世代の利用が伸び悩んでいる現状にも、デジタル予約の導入や新しい体験プログラムの開発など、柔軟な対応が求められています。

県としても、これらの課題に対し、施設更新のための予算確保や支援制度の検討、さらには民間との連携による運営の持続可能性を高める施策を講じていく必要があります。

最後に

「鵜の岬」が36年間連続で全国1位を維持できたのは、決して偶然ではありません。地元の皆さまの支えと、職員の皆さんのたゆまぬ努力、そして何よりお越しいただいたお客様のご愛顧があってこそです。

この実績を、地域の誇りとして次の世代へとつなげていくためにも、これからの更新・改革を着実に進めてまいります。そして「鵜の岬」がこれからも日本一の宿として、日立の玄関口であり続けるよう、県議会としても全力で支援してまいります。