県内ものづくり企業の海外販路の開拓支援

※最下部に要約があります。

令和7年 第二回定例会 一般質問

【村本修司議員質問】

 県内ものづくり企業の海外販路の開拓支援についてお伺いします。

 茨城県では、大井川知事のリーダーシップのもと、米国をはじめとした県内の産業品の輸出拡大が進み、農産物の輸出額は2016年度比で約13倍となるなど、成果をあげてきました。しかし、米国の相互関税措置の影響によって、その状況も大きく変化する可能性が出てきました。

 こうした中、今年4月にジェトロ茨城が実施したアンケートでは、米国の相互関税措置により、「影響がある」などと回答した海外取引を行う県内企業の割合は約6割、特に製造業では関税措置の影響やその可能性を危惧する割合が4割強であるなど、主要な輸出先であった米国向けの輸出量の減少が懸念されており、日本中で政府の関税交渉について固唾を吞んで見守っている状況です。

 仮に今後関税が撤廃されたとしても、米国の自由貿易体制への信頼は揺らいでおり、他市場への展開による販路の多角化は不可欠であり、経済の活性化の良いチャンスと捉え、新たな事業を展開する必要があるのではないでしょうか。

 県ではものづくり企業の海外展開を支援していると伺っていますが、今後の有望市場として、アジアや欧州に加え、私は特にインドが重要だと考えます。インドは世界最大の人口約14億人を有し、GDPで日本を上回ったとの報道もあり、また、成長率も6%超、2040年には上位中間層と富裕層が人口の7割を占めるとも言われており、県産品や製造業の輸出と親和性の高い市場です。

 インドでは「メーク・イン・インディア」政策のもと、国内生産を重視し、BIS(インド国家規格)の取得義務などの課題はありますが、日本の企業であれば十分に対応可能と考えます。また、こうした貿易障壁は競争力を損ない、長続きしない可能性もあります。

 それに、「メーク・イン・インディア」とはいっても、インドの技術力が弱いため、国内生産が十分に機能するまでには、まだまだ時間もかかります。その間、茨城県、特に県北のものづくり力を活かした輸出を促進し、県内ものづくり企業の販路拡大に貢献するものと期待します。

 かつて、中国市場の成長を予見できた人は多くなかったように、未知の領域を敬遠するのではなく、今こそチャレンジすべきだと考えます。その際、インドへのビジネス展開には、現地情報の収集と信頼できるパートナーとの連携が鍵です。現在県が進めているインド人材のネットワークの活用は勿論のこと、現地企業の状況、地域特性やニーズのマーケティング調査を一層強化し、インドにおける情報拠点を作っていくことが肝要です。

 更に、インドビジネス交流会や展示会の開催なども有効と考えます。

 このように、アジアや欧州などの海外市場、特にインドへ挑戦する企業への輸出支援を強化し、販路開拓を積極的に後押しすることは、県内産業の振興と経済対策として大きな意義があると考えます。

 以上を踏まえ、県内ものづくり企業の海外販路の開拓支援について、産業戦略部長の御所見をお伺いします。

【産業戦略部長答弁】

 県内ものづくり企業の海外販路の開拓支援についてお答えいたします。

 県では、アメリカの関税措置発表後、ただちに専用相談窓口を設置するとともに、海外展開を行っている事業者へ電話ヒアリングを行うなど、県内事業者の影響把握に努めております。

 また、ジェトロ茨城が海外取引に取り組む県内企業を対象に実施したアンケートでは、「高い関税率が長期化する場合はアメリカ以外に注力し、輸出事業の強化を検討したい」といった「代替市場へのシフト」を検討する動きも出ており、県といたしても、今後のリスクに備える観点から重要であると認識をしております。

 こうした中、県では、これまでも「販路の多角化」に向け、海外の展示会において、茨城県ブースを設置し、県内ものづくり企業の海外販路開拓を支援する事業に取り組んでおります。

 昨年度は、ドイツ、タイで開催された展示会にあわせて21社が参加したところであり、参加企業からは「自社技術が世界に通用すると実感できた」といった声をいただきました。これまでに金属加工や自動車部品製造などの5社が成約を得ており、新たな販路の開拓に向けて着実に成果を上げていることから、今年度は、ドイツ、タイに加え、さらに、アメリカでの展示会出展につきましても準備を進めております。

 なお、アメリカへの出展につきましては、関税措置の影響も懸念されるところですが、既存のサプライチェーンの再構築により、この機をむしろ新規参入のチャンスと捉えている企業からの要望が寄せられていることから、県としてもしっかりと支援を行ってまいりたいと考えております。

 一方で、議員からご提案のありましたインドにつきましては、国外からの製造業誘致と国内産業の保護を目指す「メイク・イン・インディア」のスローガンの下、外国製品の輸入にあたっては「インド標準規格(BIS(ビーアイエス))」の認証取得を求める厳しい輸入規制があり、現地生産が困難な県内の中小企業にとっては、参入に向けたハードルの高い国となっております。

 しかしながら、厳しい規制があっても、将来的には成長が見込まれる市場でもあるため、まずは、インド市場に関心を持つ県内企業にはインドに現地事務所を持ち貿易支援を行っているジェトロの「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム」や「海外ミニ調査サービス」といった市場  調査に関する支援事業の活用を促してまいりたいと考えております。

 また、県では、これまでも、個々の企業の製品に応じた販路開拓の取組に対して、「いばらきチャレンジ基金事業」により、国・地域を問わず、アメリカや中国、ヨーロッパ、東南アジア、中東など、世界各地で開催される展示会への出展を支援してまいりました。インドをはじめとする海外新興市場への販路開拓に挑戦される企業に対しては、この基金事業の活用などを通じて、販路開拓を支援してまいります。

 県といたしましては、引き続き、いばらき中小企業グローバル推進機構やジェトロなどの支援機関と連携しながら、県内ものづくり企業の海外販路の開拓に向け、積極的に支援を行ってまいります。

【村本修司議員再質問】 

 県内ものづくり企業の海外販路の開拓支援について、産業戦略部長に再質問いたします。

 BIS取得義務など非関税障壁への対応は特に中小企業には大きな負担であることは間違いありません。県として、取得費用の補助や専門家派遣による個別支援など、より実効性のある措置を講じる考えがあるのか、産業戦略部長にお伺いします。 

                                         

【産業戦略部長再答弁】

 再質問にお答えいたします。

 インド標準規格を含む国際認証の取得につきましては、先ほど答弁でも申し上げました「いばらきチャレンジ基金事業」こちらにおきまして、今年度から、「国際認証の取得」についても新たなメニューとして拡充をして、現在、支援を行っているところでございます。

 県としましては、この基金事業、さらには海外駐在や貿易実務経験者による伴走支援、こちらを組み合わせることで、県内ものづくり企業の海外販路開拓を力強く支援してまいりたいと考えております。

【村本修司議員感想・要望】

 ご答弁ありがとうございました。

 インドのような成長市場を視野に入れた県内企業の挑戦には、勇気が要ることだと思います。しかし、今、種を蒔かなければ後悔する時が来るのではないか危惧しています。将来の県民への投資という観点で、様々な障壁を乗り越える後押しを、更に、米、芋、お酒などの県産品も含めて、県として具体的に展開いただけることを大いに期待しております。

 また、製造業の海外展開には、ブランド化が必要だと思います。是非、素晴らしいブランド化も併せてお願いしたいと思います。

以下ChatGPTによる要約です。

■ 村本修司議員質問

  • 茨城県の輸出額は過去に大きく伸びたが、米国の相互関税措置により今後減少の懸念。
  • ジェトロ茨城の調査では、6割が影響ありと回答、特に製造業では4割強が懸念。
  • 米国頼みの輸出構造から脱却し、アジア・欧州・特にインドなど新市場の開拓が必要。
  • インド市場は人口14億人、今後の購買力拡大が見込まれ有望。
  • インドは「メーク・イン・インディア」政策で規制があるが、日本企業なら対応可能。
  • 特に茨城県北の製造業には輸出力があり、インド進出の好機と認識。
  • インド展開には現地情報・パートナー・人材ネットワークの活用が鍵。
  • 情報拠点の設置や展示会、ビジネス交流会の開催を提案。
  • 県産品を含めた海外販路開拓の支援強化について、産業戦略部長の所見を問う。

■ 産業戦略部長答弁

  • 関税措置後、専用相談窓口を設置、事業者ヒアリングを実施。
  • 「代替市場への移行」を希望する企業が多く、販路多角化支援を進行中。
  • 昨年度はドイツ・タイでの展示会に県内21社が参加、成約も実現。
  • 今年度はアメリカでの展示会出展も予定、既存企業の再構築意欲に対応。
  • インド市場についてはBIS取得など規制が厳しく、中小企業には参入が困難。
  • まずはジェトロの調査・支援サービスの活用を促す。
  • 「いばらきチャレンジ基金事業」により、世界各地の展示会出展を支援中。
  • インドなどの新興国市場への挑戦もこの基金等を活用して支援。
  • 今後も中小企業グローバル推進機構やジェトロと連携して販路開拓を支援。

■ 村本修司議員再質問

  • BIS取得のような非関税障壁への対応には、中小企業への支援が不可欠。
  • 取得費用の補助や専門家派遣など、実効的な支援策の有無を質問。

■ 産業戦略部長再答弁

  • 「いばらきチャレンジ基金事業」で今年度から国際認証取得支援もメニューに追加。
  • 貿易実務経験者による伴走支援と合わせて、海外展開を力強く支援していく方針。

■ 村本修司議員感想・要望

  • インド市場のような成長分野に今挑戦しなければ将来後悔するとの危機感。
  • 障壁克服への後押しを期待、県産品(米・芋・酒など)の支援展開も求める。
  • 製造業のブランド化もあわせて県に強く要望。

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