実効性ある災害時の備えと現場力の強化について

※最下部に要約があります。
令和7年 第二回定例会 一般質問
【村本修司議員質問】
実効性ある災害時の備えと現場力の強化についてお伺いします。
防災関係については、私はこれまでも何度か取り上げてきましたが、今回は、災害を想定した計画的な備えや円滑な避難所運営という視点から、質問いたします。
まず、能登半島地震では物資や機材の備蓄不足が深刻な課題となりました。これを受け、内閣府は市町村の備蓄状況を公表しましたが、「必要数」が示されておらず、現状の備蓄が適切かどうか判断が難しい状況です。
一方、県では5地域の備蓄量と県独自の備蓄を合算し、最大避難者数に基づく「目標数量」と比較する形で情報を公表しています。それによれば、毛布、使い捨て哺乳瓶、パーテーションなどで目標数量に達していないことが分かります。ただし、この情報は県全体の集計にとどまり、市町村ごとの不足状況や、誰が改善の責任を担うのかは不明確です。
また、段ボールベッドなど、備蓄がゼロの品目がある市町村もあり、防災協定による提供を想定していると思われますが、初動時に避難所に実物があるかどうかで混乱の度合いが大きく変わります。
昨年の予算特別委員会では、防災・危機管理部長より「市町村と連携して備蓄に取り組んでいる」とのご答弁をいただきました。今回、市町村別の実態が明らかとなった今、県が市町村ごとの備蓄量と必要数を把握し、不足品目への対応を促すとともに、県としての支援も講じていただきたいと考えます。
発災後3日間は県と市町村の公的備蓄で対応するとのことであり、県では最大避難者数の4分の1にあたる人数の3日分を補完備蓄していると承知していますが、この量の妥当性も検証が必要です。
併せて、消費期限の影響を受けない物資については、コスト面にとらわれすぎず、可能な限り積極的に備蓄すべきと考えます。
次に、災害関連死を防ぐためにも、避難所でのトイレの衛生確保は極めて重要です。仮設トイレや簡易トイレの備蓄に加え、デッキブラシ、ゴム手袋、火ばさみなど衛生資材など見落としがちな備蓄品の充実も必要です。こうした資材についても、総点検を実施していただき、地域防災計画への明記や市町村への働きかけをお願い申し上げます。また、各種トイレの清掃や使用ルールなどの細かい規定も県の市町村避難所運営マニュアル基本モデルに明記していただくと、長期的な避難生活を想定した際に、より実効性のある対応が可能になります。
最後に、避難所運営訓練についてです。現在、市町村職員によるマニュアル整備や定期訓練が実施されていますが、さらに一歩踏み込んだ実地訓練によって、より的確な対応力を養うことも必要だと思います。
その一例として、県内市町村の参加を募り、「避難所運営コンテスト」を開催してみてはいかがでしょうか。単なる書面上の良好事例の共有にとどまらず、他市町村の取り組みを実際に見て体感し、自らの運営との違いに気づくことで、改善に向けた意欲や工夫が生まれると期待します。
以上、実効性ある災害時の備えと現場力の強化について、防災・危機管理部長にお伺いします。
【防災・危機管理部長答弁】
実効性ある災害時の備えと現場力の強化についてお答えいたします。
近年、自然災害が激甚化・頻発化する中、計画的な備えと円滑な避難所運営は、大変重要であると認識しております。
このため、県では、地域防災計画に基づき、県地震被害想定をもとに最大で10万3千人の避難を想定し備蓄を進めております。
具体的には、学識経験者の意見を踏まえて県の備蓄方針を策定し、公的備蓄で対応する期間を3日間とした上で、3日間の物資需要量を県全体の備蓄目標にするとともに、県では、市町村の保管施設が倒壊し物資を利用することが困難となる場合を想定し、市町村の備蓄を補完する観点から、その4分の1を確保することとしております。
備蓄状況につきましては、議員ご案内のとおり、品目毎の状況を市町村の備蓄分と合わせて公表しており、毎年、市町村の備蓄状況を確認しつつ、さらなる備蓄を要請しているところでございますが、今後は、市町村毎の必要数量の公表についても働きかけ、災害用物資等の備蓄・調達のさらなる適正化に取り組んでまいります。
次に、避難所におけるトイレの衛生確保についてでありますが、災害時のトイレ対策は重要な課題でありますことから、県では、市町村と協力し携帯トイレの備蓄を進めるとともに、能登半島地震の教訓を踏まえ、清潔に利用できるトイレを確保するため、本年2月にレンタル事業者4者と災害時応援協定を締結したところです。
また、衛生資材につきましては、マスクや消毒液などの備蓄を既に進めておりますが、それ以外の必要な衛生資材の確保についても、市町村と連携して取り組んでまいります。
さらに、県の避難所運営マニュアルにおいては、トイレの清掃の方法などを具体的に示すとともに、避難所に掲示する「トイレの使用方法の注意点」のひな型を作成しておりますが、災害時により的確に対応できるよう、内容の充実を図ってまいります。
次に、避難所運営のあり方についてでございますが、避難所運営を含む防災訓練の実施にあたりましては、知事からの指示を踏まえ、従来の展示型の訓練を大幅に見直し、より実践的な訓練となるよう取り組んでいるところです。
先月10日には、小美玉市と共催で避難力強化訓練を実施し、住民の避難のほか、パーテーションテントや災害用ベッドの組立、快適なトイレの設置、自衛隊による炊き出しなど、災害時を見据えた訓練を行ったところです。
強化訓練の実施にあたっては、他市町村の防災担当職員に積極的な視察を呼びかけ、各市町村が訓練を行う際には、実際に見て体感した良好事例を実践するよう要請しております。
また、今月13日には、内閣府との共催により、市町村の防災担当職員を対象として避難所の開設と運営に特化した実地研修の開催を予定しており、こうした取組などを通じて、県全体の避難所運営のさらなる向上につなげてまいります。
県といたしましては、市町村と連携し、備蓄の推進や避難所環境の向上を図るとともに、実践的な訓練による現場対応力の強化に努め、災害時に迅速かつ的確に対応できるよう取り組んでまいります。
【村本修司議員感想・要望】
ご答弁ありがとうございます。
実効性ある災害時の備えとは、常に想像力を働かせて、想定外を極限まで少なくすることではないでしょうか。県内の災害対応能力を見える化し、県民と共有することを要望して、次の質問に移ります。
以下ChatGPTによる要約です。
■ 村本修司議員質問
- 備蓄の実効性と市町村格差
- 能登半島地震を受け、備蓄の適正性が課題に。
- 県は最大避難者数に基づく目標数量と現状の備蓄を比較し公表しているが、市町村ごとの不足状況や責任主体が不明確。
- 段ボールベッドなどゼロ備蓄の市町村もあり、災害協定頼みでは初動に支障が出る。
- 備蓄の精査と支援
- 市町村別の必要数を把握し、不足への対応と県の支援を求める。
- 県の備蓄量(避難者数の1/4 × 3日分)の妥当性も検証が必要。
- 消費期限のない物資はコストを気にせず積極的に備蓄すべき。
- トイレの衛生確保
- 仮設トイレに加え、清掃用具や衛生資材も備蓄の対象とし、見落としのない総点検を求める。
- トイレの使用ルール・清掃手順をマニュアルに明記し、長期避難に備えるべき。
- 避難所運営訓練の実効性強化
- 書面整備だけでなく、実地訓練の拡充が必要。
- 「避難所運営コンテスト」の開催を提案。他市町村の好事例を体験する機会を設けることで、改善への意欲を喚起。
■ 防災・危機管理部長答弁
- 備蓄の方針と実態把握
- 最大10万3千人の避難を想定し、3日間の備蓄を基本とする。
- 市町村の備蓄を補完するため、県はその1/4を備蓄。
- 毎年、市町村の備蓄状況を確認・要請。今後は市町村ごとの必要数量の公表も検討。
- トイレの衛生対策
- 携帯トイレの備蓄を進め、レンタル事業者4者と応援協定を締結(令和6年2月)。
- マスク・消毒液などに加え、他の衛生資材も市町村と連携して確保。
- 清掃手順や注意点をマニュアルに明記し、内容の充実を図る。
- 避難所運営訓練の実践強化
- 展示型訓練から実践型訓練へ移行中。
- 小美玉市で避難力強化訓練(パーテーション・ベッド設営、炊き出し等)を実施。
- 他市町村に視察を呼びかけ、好事例の実践を推奨。
- 6月には内閣府と共催で実地研修を実施予定(市町村職員向け)。
- 今後の取組
- 市町村との連携による備蓄・避難環境の向上。
- 実践的訓練による現場力の強化。
- 災害時に迅速・的確な対応ができるよう継続して取り組む。
■ 村本修司議員感想・要望
- 実効性ある備えとは、「想定外」を極限まで減らす想像力の発揮に尽きる。
- 県内の災害対応力を見える化し、県民と共有することを要望。
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