「生徒が闇バイト等の犯罪に関わることを予防するための取組について」令和5年 第三回定例会 一般質問

7 生徒が闇バイト等の犯罪に関わることを予防するための取組について【教育長】

【村本しゅうじ議員質問】

 公立学校、特に高等学校における闇バイト等の犯罪に関わることを予防するための取組について伺います。

 最近、闇バイトで集められたとみられる人物の白昼堂々の強盗事件や特殊詐欺が横行していると連日のように報道されています。中でも20代の若者がSNSの甘い募集に応募して、事件に巻き込まれるケースが少なくないと言います。

 闇バイトと呼ばれていますが、歴とした重罪に類する犯罪であり、それに応募して犯罪に手を染める若者や被害にあわれている方が後を絶たない現実に対して、社会全体として対応が求められているといっても過言ではありません。

 最初の入り口は、お金に困り、覗く程度の軽い気持ちなのかもしれませんが、一旦アクセスすると脅しのネタを吸い取られ、逃げられなくなり、最終的に凶悪犯罪の実行犯となってしまい、大きな罪と大きな傷を残してしまいます。

 SNSという現代特有のツールを使って気軽に犯罪に加担している状況から、入口となっているSNSの適切な利用の仕方や巧妙に仕組まれた犯罪の手口・影響などの実例学習が重要ではないかと思われます。

 楽をしてお金を稼ぎたいという若者を集めて、まず、豪勢な生活を見せ、多くの若者が参加していることで安心させます。そして、自分もという気持ちを起こさせ、危ない副業の手伝いなどに加担させる現金プレゼント詐欺もあるそうです。

 犯罪の手口も日々変化しており、自分は引っかからないと思っている生徒や若者もついつい引っかかってしまいます。

 闇バイトを含む犯罪の危険性について、生徒が正しく理解する機会も重要です。学校においては、闇バイト等の犯罪に関する具体的な事例を取り上げながらその危険性について指導するなど、闇バイト等の犯罪に関わることを予防するための直接的な教育機会が必要なのではないでしょうか。

 そこで、今後、生徒が闇バイト等の犯罪に関わることを未然に防止する取組についてどう対応していくのか、教育長にお伺いいたします。

 

【教育長答弁】

 生徒が闇バイト等の犯罪に関わることを予防するための取組についてお答えいたします。

 闇バイトは、単なるアルバイトではなく犯罪であり、その実態は、犯行グループが切り捨て要員の実行役を手広く募集するものとされており、生徒が闇バイトに関わらないよう未然に防ぐことが、大変重要であります。

 そのためには、社会全体で闇バイト等の犯罪の予防に取り組む必要があり、県では、生徒が犯罪に巻き込まれることを未然に防止するため、学校だけでなく、警察と連携し、迅速に対応する体制を構築しております。

 具体的には、2013年に県警察本部と「児童生徒の健全育成に関する警察と学校との連絡制度」に関する協定を締結し、生徒が犯罪に関わる危険性が生じた際、県立高校では、学校と所轄警察署で情報を共有し、生徒の行方不明や犯罪性が疑われるもの等、年間100件以上の事案に対し、早期に把握し、迅速な対応に繋げるよう努めているところでございます。

 また、小学校、中学校、高校では、各警察署管内等で実施する学校警察連絡協議会の中で、定期的に警察や市町村との情報の共有や確認を行う他、児童相談所等の関係機関との連携強化を図ることで、児童・生徒が犯罪に巻き込まれないよう、未然防止に努めております。

 一方、闇バイトの入り口はSNSであり、その適切な利用についても指導する必要がございます。

 このため、県立高校では、毎年「スマホ家庭のルールづくり運動」を実施し、学校と家庭が連携して、適切なスマートフォンの利用について指導することに加え、情報モラルの育成を図るため、警察やメディア教育指導員を講師とした講演会を開催しております。

 「スマホ家庭のルールづくり運動」におけるルールの作成率は、毎年95パーセント以上を達成しており、今後も、学校と家庭でルールの中身を見直す等、生徒がSNSを起因とした新たな犯罪に巻き込まれないよう、適切な指導を行ってまいります。

 なお、議員ご指摘の、闇バイトの具体的な事例を用いた指導につきましては、今年の7月に、闇バイトに巻き込まれる若者が増えている現状を受け、警察庁が学校等での指導に活用できる事例集を作成いたしました。

 この事例集は、闇バイトの危険性や関わったことの結果について詳細に記載されており、闇バイトの危険性を生徒が理解するために、非常に有効な資料であります。

 今後は、校長及び生徒指導担当教員を対象に、事例集を活用し、闇バイトに安易に関わってしまうきっかけ、抜け出せなくなる仕組み、検挙された後の実態など、その悪質性を生徒へ伝えるための研修を実施し、闇バイトの危険性について、学校が具体的に指導できる体制を整えてまいります。

 県といたしましては、生徒が闇バイトを始めとした犯罪に関わってしまうことで、人生に大きな傷を残さないよう、危険性を具体的に指導しつつ、警察をはじめとした様々な関係機関との連携強化を図りながら、その未然防止に、積極的に取り組んでまいります。

【村本しゅうじ議員質問感想

 東京都では、ターゲティング広告による警告と特設サイトによる啓発によって、直接若者への働きかけを実施しています。このような事例も参考にしていただきたいと思います。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市