「令和5年台風第13号豪雨水害に対応するための河川整備について」 令和5年 第四回定例会 予算特別委員会

  • 県管理河川における浚渫の実施

【村本しゅうじ議員質問】

 豪雨水害に対応するための河川整備についてのうち、県管理河川におけるこれまでの浚渫の実施方針と再度災害防止事業の浚渫などについて、お伺いします。

 今年9月には、台風13号の中心とは離れた県北地域に線状降水帯が発生し、日立市、高萩市、北茨城市では大きな水害が発生しました。

 それまでは、私の住む日立市は災害が少ない地域だと勝手に思っておりましたが、改めて、線状降水帯による豪雨は、台風による水害と違って、どこにでも甚大な被害を発生しうる災害であると認識を新たにいたしました。

 特に、急峻な地形が多い地域では、降水の影響が短時間で現れてしまい、時間当たりの雨量が多い豪雨時には甚大な洪水被害が発生してしまうことが如実に現れました。

 このため、県北地域の河川にも流域治水を反映した個別の河川整備の計画が必要であると思います。

 河川整備においては、やはり護岸改修等が有効と考えますが、計画・設計や用地買収・工事など多くの時間と膨大な予算が必要となるため、すぐにでも起こる可能性のある豪雨によって同じ被害が発生してしまうかもしれないとの河川流域の県民の不安を払拭することは出来ないと思います。私も少し勉強させていただきましたが、河川の治水は流域全体のバランスを取りながら設計せねばならず、一筋縄ではいかないことを実感しています。その中で、特に即効性のある対策として、流下能力を維持しておくための浚渫、つまり川底に溜まった土砂や繁茂した草木の撤去が有効であると考えます。

 そこで、県管理河川におけるこれまでの浚渫の実施方針および状況と本定例会補正予算に計上されています再度災害防止事業のうち、浚渫の対策箇所の考え方について、土木部長にお伺いします

【土木部長答弁】

 県北地域の二級河川の多くは、上流域に急峻な山地を抱えるとともに、宅地等が広がる下流域は勾配が緩やかになるため、土砂が堆積しやすい特徴を有しており、河川の水を安全に流下させるには、土砂の浚渫や樹木の伐採などが有効な手段であると考えております。

 そのため、県では、毎年出水期前に実施している河川の点検により、河川の状況の把握に努めており、土砂の堆積状況や背後地の状況など、緊急性や重要性の高い箇所を選定し、順次、土砂の浚渫や樹木の伐採などを実施することとしております。

 また、台風などによる豪雨の後には、被害などを把握するため緊急点検を実施し、河川施設の損傷や土砂の堆積状況の確認などに努めております。

 今定例会に提出しました、再度災害防止に向けた補正予算につきましては、台風第13号の後に改めて現地状況を確認した結果、土砂の堆積が著しい箇所について、土砂の浚渫や樹木の伐採などの緊急的な対策に必要な費用を計上しております。

  • 河川の維持管理の効率化に向けた取組

【村本しゅうじ議員質問】

 現在、国を挙げて「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、洪水被害防止を含めた災害への備えを急ピッチで行っています。

 しかし、その予算には限りがあり、物価高騰、労働力不足、さらに技術系職員の減少など、これまで以上に効率性が求められています。

 そのため、河川の現況やこれまでの点検結果、補修状況など、さらには、今回の水害被害の状況をデータベース化して活用していくことが、持続可能な維持管理にとって非常に重要であると考えます。

 例えば、データベース化により、これまで職員の経験や知見に頼って計画されていた浚渫を始めとする維持管理計画が、EBPM、つまりエビデンスに基づく政策立案に資することができ、河川の土砂の堆積状況の推移などが一元化共有化され、次の浚渫が必要な箇所が見える化されることにより、的確でスムーズな対応が可能となり、計画的な浚渫ができ、河川維持管理の効率化が図られるようになるのではないでしょうか。

 このような河川管理情報データベースの構築を強くお願いしたいと思います。

 そこで、河川の維持管理の効率化に向けた取組みについて土木部長にお伺いします。

【土木部長答弁】

 県では、河川の適切な維持管理を行うため、毎年出水期前に実施する点検において、堤防や護岸における破損や亀裂、河道内の土砂堆積の有無など、24の項目について評価し、記録しております。

 これらのデータから、経年的な土砂堆積状況を把握し、計画的な浚渫の検討などに活用することは、一般的には有効であると考えております。

 しかしながら、県北地域の中小河川につきましては、勾配が急で流れが速いことなどから、出水ごとに土砂の堆積状況が変化する傾向にあるため、蓄積した点検データに基づく浚渫箇所の選定が困難ではないかというふうに考えております。

 一方で、定期的な点検や出水後の緊急点検には多くの人手や時間を要していることから、ドローンや最新のICT技術を活用するなど、点検の迅速化を図るための手法を検討しております。

 県といたしましては、河川ごとの特性に応じて、より効果的な点検手法や蓄積された点検データの活用方法などについて引き続き検討し、河川の維持管理の効率化に努めてまいります。

【村本しゅうじ議員質問要望】

 是非データベース化を実行していただくと同時に、浚渫の必要な個所を5年で1回程度実施できるような浚渫計画と予算の確保、そしてその計画をわかりやすい形で県民に示していただきたいと思います。

 また、ある市では、今回の水害ポイントを分析して、治水に生かそうとしています。また、2級河川や準用河川の簡単な河川のモデルを作成して、シミュレーションにより、効果的な治水計画ができるような事業を展開していただくことも視野に入れていただきたく。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

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