「市販薬乱用(オーバードーズ)の対策について」令和5年 第四回定例会 予算特別委員会

【村本しゅうじ議員質問】

 市販薬乱用(オーバードーズ)の対策についてお伺いします。

 近年、市販薬の乱用いわゆるオーバードーズが社会問題化しています。

 つい先日、大阪市では市販の咳止め薬を2店舗で4箱買った女子高生が過剰摂取し、急性薬物中毒で死亡したとされる事件や東京都目黒区の小学校で児童2人が校内に持ち込んだ薬を過剰に摂取して体調不良を訴え、病院に救急搬送されていた事件が発生しています。

 このように、市販薬を主たる薬物とする依存症患者が急増しており、2012年から2020年にかけて約6倍に増加、特に、若者の間で被害が深刻化しており、過剰摂取後に救急搬送された人の平均年齢が25.8歳との統計もあります。

 また、全国の精神医療施設における薬物依存の治療を受けた10代患者の使用薬物のうち市販薬の割合は、2014年がゼロ%であったのに対して、2020年は56.4%と激増しています。

そ して、「薬物使用と生活に関する全国高校生調査2021」では、過去1年以内に市販薬乱用の経験がある高校生は、約60人に一人、3クラス当たり2人という大変にショッキングな結果が報告されており、緊急の対策が必要です。

 市販薬は、処方箋がなくても自由に買えるため、便利な反面、乱用に対する販売・使用管理という点においては、非常に難しいものとなっています。

 また、市販薬の乱用は、医薬品の適正使用に努めることとする薬機法の規定に反するものです。依存症を引き起こし、命に危険が及ぶ可能性があるという認識が薄いことも大きな問題であると思います。

 国や県においても、一般用医薬品に使用される成分のうち、濫用のおそれのある医薬品を指定して、薬局や店舗販売業者が販売する際の厳正な確認と販売状況に関する実地調査や定期的な立ち入り調査を行っていると伺っています。

 是非このような対策を継続していただくことに加え、店頭での確認・対応が形骸化しないように、疑わしい場合には、「売らない勇気」を薬局や店舗販売業者にお願いしていただきたいと思います。

 また、若者を市販薬乱用から守るために、教育庁と連携して、乱用における害を教えていただき、そして、市販薬乱用の恐ろしさと相談窓口や治療機関の情報などをチラシにして、子ども達一人一人に届けていただきたいと思います。

 また、必要に応じて、県内の市販薬乱用の実態調査も行っていただきたいと思います。

 以上を踏まえ、市販薬乱用の具体的対策について、保健医療部長にお伺いします。

【保健医療部長答弁】

 県では、これまで市販薬を含めた薬の正しい使い方について、薬剤師会など関係機関と連携して普及啓発に力を入れてきたところですが、近年、市販薬のオーバードーズが社会問題となっていることは、大変憂慮すべき課題として認識しているところです。

 市販薬については、薬機法に基づき、濫用のおそれのある医薬品の成分を指定し、薬局や店舗販売業における販売を規制しております。

 具体的には、濫用のおそれのある医薬品を高校生や中学生など若年者に販売する際、氏名や年齢を確認することや、原則1人1包装とすることなどの規制を設けております。

 これらの規制については、販売業者への研修会において説明するとともに、定期的な立入調査の際に対応状況を確認しておりますが、市販薬のオーバードーズを防ぐために、今後なお一層指導の徹底を図ってまいります。

 しかしながら、販売規制だけでは、誤った使い方を防ぐことが難しく、若年者一人一人に薬の正しい知識を理解してもらうことが重要と考えます。

 このため、イベントでの啓発資材配布や講習会への講師派遣のほか、ポスターや県ホームページ、SNSで市販薬乱用の危険性を注意喚起しているところです。

 また、高校生を対象とした調査によると、市販薬の乱用経験のある高校生の特徴として、社会的孤立という共通項が挙げられています。

 そのため、教育庁では、「子どもホットライン」や、「いばらき子どもSNS相談」などを設置して、薬物使用を含む若年者の相談に対応しております。また、精神保健福祉センターにおいては、専門相談員を設置して市販薬依存の相談・支援に応じています。

  県といたしましては、各種媒体を活用しながら、若年者に、相談窓口の周知やオーバードーズの危険性を啓発するほか、県内における乱用の調査を行うなど、市販薬の乱用防止対策の一層の強化を図ってまいります。

【村本しゅうじ議員質問要望】

 昨日の厚生労働省の検討会で依存性が含まれる市販薬を20歳未満が大量購入することを禁じる見通し案を検討したとの報道がありました。

 これらも注視して、市販薬乱用に陥ってしまう若者の相談体制の充実をしっかりと進めていただくこともお願いしたいと思います。保健医療部長ありがとうございました。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

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