スマートシティー実現に向け、日立市の公共交通のグランドデザインまとまる
日立市と日立製作所は、昨年(2023年)12月、デジタルを活用しながら脱炭素と医療介護、交通の三つを軸に持続可能なまちづくりに取り組む包括連携協定を締結しました。
次世代未来都市(スマートシティー)の実現に向けた共創プロジェクトの一環として、2035年の日立市の公共交通の将来像を示すグランドデザインをまとめ、11月22日に発表しました。通勤通学や高齢者向け次世代モビリティーの整備、経路検索から決済まで可能な統合アプリの導入など10項目を掲げ、今年12月から実現に向けて実証実験を始めます。
日立市人口は約16万3000人で、県内市町村別の人口規模は3番目ですが、毎年2000人以上が減少し、減少数は県内最多が続いています。高齢化も進む中、構想は多様な移動手段を組み合わせて交通課題の解決やにぎわい創出につなげるのが狙いです。
構想では統廃合が進む小学生が安全に通学できるよう自動運転車の運行を目指すほか、山側団地では高齢者が自宅から最寄りの交通結節点まで移動できる交通手段を整備します。
駅前では歩行者と次世代モビリティーが共存し、歩きたくなる「ウォーカブル空間」を創出します。
統合アプリを開発し、多様な公共交通を利用する際に最適なルートを検索でき、予約から支払いまで完結できるものを目指すとしています。
自動運転を活用した移動型店舗は、遠隔診療を受けた住民が薬を自宅まで届けてもらうことなどを想定しています。
既存の公共交通の利用を促進して渋滞緩和につなげるため、公共交通から次世代モビリティーへ円滑に乗り継げるサービスも確立します。
交通移動サービスの拠点を集約し、交通データやAI技術も活用しながら安全安心な交通計画と運行を目指すとしています。
構想策定に当たっては、市職員と同社員が継続的にワークショップを開催。将来の交通サービスや技術の進展を見据え、地元の交通事業者の意見も踏まえながら必要なサービスなどを具体化しました。
グランドデザインに搭載した10の施策
- オンデマンド型の自動運転カー
- 最寄りのモビリティハブまでつなぐ高齢者向け次世代モビリティ
- 車両が使いたい場所まで届くデリバリー型カーシェア
- 多様な公共交通の経路を検索する統合アプリ
- 自動運転を活用した移動型店舗
- ハンズフリーの乗降車&決済
- 次世代モビリティと共存するウォーカブル空間
- 既存公共交通と連携した通勤者向け次世代モビリティ
- 移動サービスを集約したモビリティハブ
- 交通ネットワーク/モビリティ管理
構想実現への課題は、多大な投資を誰がどのように負担するのかという問題と、自動車中心社会をどのように克服していくかとの問題に集約されると思います。高齢者にデジタル端末をどのように活用してもらうかも課題の一つになります。
いずれにせよ、次世代モビリティの整備は絶対に必要です。今後の実証実験等具体的な動きに注目したいと思います。