令和3年 第一回定例会 予算特別委員会 質問「私立高等学校の支援金の他県との格差について」

3 私立高等学校の支援金の他県との格差について

村本議員:

 私立高等学校の修学支援制度は、以前からあった高等学校等就学支援金制度を拡充する形で、2020年4月に実質無償化となった。

 これは、教育の機会均等を目的に、公明党も強力に推進し、世帯年収約590万円未満世帯が授業料実質無償化とされ、多くの生徒が支給の対象になっている。

 これを基本として、各都道府県が就学支援金や入学金支援、奨学金など独自の支援策行っている。

 そこで、まず、本県の支援策の状況、全国及び隣接都県の支援策の状況について、総務部長に伺う。

総務部長:

 私立高校に対する就学支援については、本県におきましては、国の就学支援金制度により、私立高校の平均授業料を勘案した水準である39万6千円を最大額として、年収約590万円未満世帯を対象に、授業料の実質無償化を実施しているところです。

 全国の支援策の状況については、47都道府県のうち、26都府県が国の就学支援金制度に上乗せして、年収約590万円以上世帯に対し、授業料に係る独自の支援を実施している状況であり、本県を含めた21道県は上乗せ支援を実施しいない。

 隣接都県においては、埼玉県、千葉県、東京都で授業料に係る独自の上乗せ支援が行われており、例えば埼玉県は年収約720万円未満世帯まで、千葉県は年収約640万円未満世帯までを授業料実質無償化としている。

 他方、栃木県は上乗せ支援を実施しておらず、各団体において対応は異なっている。

村本議員:

 授業料の平均値を満たすように就学支援金が整備されていることが分かった。

 一方で、茨城県と隣接都県とで支援策に相違があることが分かる。この就学支援金の上乗せ分は、生徒の居住地ではなく、学校の所在地で適用される県もあるため、茨城県の生徒が隣接県の学校に行くと適用され、他県の生徒が茨城県の学校へ来る場合は適用されない。

 私の調べたデータによると、県内私立高等学校への他県からの入学者数は、実質無償化となった令和2年と平成31年を比較すると19.3%減少し、逆に県内中学校から他県高校への入学者数は、6.7%増加しており、流出超過の傾向が伺える。

「日本一子供を産み育てやすい県」を目指している茨城県としては、子どもたちが経済的な負担を気にすることなく、興味や関心そして意欲に応じて、建学の精神に基づき特色ある教育を展開している私立学校も自由に選択して積極的に学べるよう、他県に引けを取らない教育環境を整備し、自治体による格差を是正する必要がある。

 そこで、今後,私立高校等に通う生徒の更なる支援にどのように取り組んでいくのか総務部長に伺う。

総務部長:

 私立高校の授業料に係る支援につきましては、本県では、所得の低い世帯においても経済的理由に関わらず就学の機会を確保するという考えのもと、これらの世帯を対象とした授業料減免事業を実施してきたところですが、令和2年4月に国により就学支援金が大幅に拡充されたことから、本県独自の事業は所期の目的を達成したものと考えている。

 県独自の授業料に係る支援と生徒の県外流出との関係についてですが、東京都及び埼玉県は、支援の対象者を自らの自治体内に在住している生徒に限定しており、本県から通学する生徒がこれらの支援を受けることはないため、授業料支援の在り方がこれらの都県へ流出する直接的な要因にはなっていないものと認識している。

 また、千葉県は他県在住生徒を含めた県内私立高校に通学する生徒を支援対象としていますが、本県から千葉県の私立高校への進学者数は、平成31年に比べ令和2年は減少している状況にある。

 こうしたことから、ご指摘いただいた他県への生徒の流出状況と、隣接都県において独自の授業料支援を講ずることとの因果関係について明確に認められるものではないと考えている。

 なお、現在の国の就学支援金制度において、年収590万円未満の世帯と年収590万円以上の世帯で支援内容に差が生じている現状は、国の制度の在り方に起因するものであり、全国的な課題であることから、590万円の年収区分を境に保護者の教育費負担に大きな差が生じないよう、国の制度改正について全国知事会を通じて要望している。

 県としては、引き続き就学支援金制度の拡充による効果等も注視し、本県全体の多様化する行政需要に対して限られた財源をどのように活用していくか、また、社会経済情勢などを総合的に勘案しながら、私学教育の振興のために必要な支援策について検討していく。

村本議員:

 実態を踏まえたうえで支援策の拡充をお願い致します。加えて、現在590万円までとなっている支援の壁の緩和や多子世帯への手厚い支援なども検討をしていただきたい。