自然の迫力と防災の知恵を体感――花貫ダムの点検放流が一般公開されました
初夏を思わせる陽気に包まれた5月13日、高萩市秋山にある花貫ダムで、年に一度の「点検放流」が実施され、多くの家族連れやダム愛好家たちが、その迫力ある光景を楽しみました。最大で毎秒16トンもの水が勢いよく放流され、白く舞い上がる水しぶきと響き渡る轟音は、まさに大自然のショーといえるものでした。

花貫ダムは、茨城県が管理する県営の補助多目的ダムで、高さ45.3メートルの重力式コンクリート構造。治水をはじめ、農業・工業・水道用水の安定供給など、地域の暮らしを支える多機能を備えています。特筆すべきは、このダムが全国でも珍しい「海の見えるダム」であること。晴れた日には遠く太平洋を望むことができ、周囲の花園花貫県立自然公園の自然とあいまって、訪れる人々に癒やしのひとときを提供しています。
この日の放流は午前10時から午後2時まで行われ、特に正午から午後1時半にかけて水量がピークに達しました。見学者たちはダム下にある「花貫さくら公園」に集まり、三つのゲートから流れ落ちる水の勢いに目を奪われていました。時折、風に乗って飛び散る水しぶきが観客を濡らすこともありましたが、それすらも自然の恵みとして楽しむような、和やかな雰囲気が広がっていました。
県ではこの点検放流を、ダムが果たすさまざまな役割を県民に理解してもらう絶好の機会として位置づけており、2021年からは一般公開を開始しています。水資源の安定確保や災害リスクの軽減といったダムの重要性を、見て、感じて、学ぶことができる貴重な機会として、今後さらに注目を集めることでしょう。
自然の力と人の技術が織りなす花貫ダムの点検放流。次回はぜひ現地でその感動を体感してみてはいかがでしょうか。
(youtubeの動画は県が作製した2021年の試験放流の動画です)