令和5年 第一回定例会 予算特別委員会での質疑 「県北BCPアイデアソン事業について」

2 県北BCPアイデアソン事業について

(1)事業概要とこれまでの成果

(村本しゅうじ委員質問)

 次に、県北BCP(ビジネスチャレンジプログラム)アイデアソン事業についてお伺いいたします。

 アイデアソンとは、「アイデア」と「マラソン」から作られた造語であり、テーマ毎に集まったグループでアイデアを出し合い、議論のマラソンをすることにより、結果を導き出すというもので、プロジェクトをまとめ上げる有効な手法として、近年注目を集めています。

 今年度、県北振興の事業として取り上げられ、具体的には、経営などに関するセミナーでの学びを土台に、新事業を開発したい多様な企業と県内外から募集した無償の参加者でチームを形成し、アイデアを出し合い、その成果を発表する形で実施されました。

 その最終報告会では、株式会社八千代商事が県知事賞、いばそう企画有限会社がオーディエンス賞、一般社団法人まちのこ団が優秀賞を受賞しましたが、その他のアイデアソンに参加された方々からは、口々に参加して良かったなどの感想が聞かれ、皆、達成感で満たされた表情をしているのが印象的でありました。

そこで、県北BCP(ビジネスチャレンジプログラム)アイデアソン事業について、改めて事業の概要をお伺いするとともに、これまで取り組んできた成果を、政策企画部長にお伺いいたします。

(政策企画部長答弁)

 お答えいたします。

 人口減少や高齢化が進む中、県北地域における地域活性化や雇用創出を図るためには、企業が新たなチャレンジに取り組むことが重要であります。

 このため県では、県北地域の中小企業を対象に、本質的な経営課題に対する気づきを促すセミナーを開催するとともに、ビジネスプランの策定支援を行い、企業の新事業展開を促す県北ビジネスチャレンジプログラム「県北BCP」を実施しております。

 このプログラムでは、昨年度から実施しているセミナーに加え、今年度から新たな取組として、地域内外から多様な人材が参加し、意見を出し合うアイデアソンを昨年7月から月1回のペースで開催し、県北地域の中小企業10社のビジネスプランの磨き上げを実施してまいりました。

 本年1月末には、都内で最終報告会を行い、日立市の木材卸業者による県産木材を使ったものづくり事業への参入や、葬儀社による新たな生前サービスの導入、金属加工の下請け企業による自社製品の開発、高級和菓子の更なる海外展開などについて、新たな発想を活かしたビジネスプランが報告され、日本経済新聞をはじめ各メディアなどにも取り上げられたところでございます。

 アイデアソンに応募した企業からは、「様々な業種の方からたくさんのアイデアをいただき、自社では思いつかないビジネスプランが策定できた」、「参加した多様な方々と連携することで、自社だけではできない事業に踏み出せた」などの高い評価をいただいております。 

 また、参加者からも、「自社にも活かせるアイデアが得られた」「応募企業や参加者の熱意がすごく、刺激になった」「異業種の方と新たなネットワークを持てた」「県北地域に魅力的な企業があることがわかった」などの声を伺っております。

 さらに、報告会終了後も、例えば知事賞の受賞企業が県産木材を使ったソファの製作に着手するなど、それぞれの応募企業がビジネスプランの実現に向けて具体的な取組を進めているほか、参加者の中からもアイデアソンを契機に新たなビジネスに取り組もうとする事例が生まれているところであります。

(2)今後の取組

(村本しゅうじ委員質問)

 私も現地で何度か立会わせていただきましたが、企業の新事業開発に向けた非常に面白い試みであると感じました。また、新事業開発への期待が高まるものであり、私は大変評価をしております。

 その一方で、この事業を継続して定着化を図り、アイデアソンをより効果の高いものへと変えて、そこで生まれた活力を最大限に活かしていくことも必要だと思います。

 例えば、事業開始時期を早め、テーマをブラッシュアップしていく期間を長く確保することや、各チームが現場を視察する時などに県が費用を支出すること、前年度に参加した企業にアドバイザーとして参画してもらう試みや次年度以降のフォローアップミーティングを計画することなども有効ではないかと考えます。

 また、今回は時間の関係で取り上げておりませんが、企業型地域おこし協力隊、私も高く評価している事業なのですが、地域おこし協力隊員にアイデアソンに参加してもらうことも、互いに相乗効果が図られ有益であると考えます。

 そこで、県北BCP(ビジネスチャレンジプログラム)アイデアソン事業について、今後どのように取り組んでいくのか、政策企画部長にお伺いいたします。

(政策企画部長答弁)

 お答えいたします。

 今年度は、経営者や多様なスキルを持つ若者、大学生、高校生など地域内外から延べ500名の参加があり、高い評価を受けておりますことから、来年度もこの成果を活かしつつ、さらに効果的な取組となるよう進めていきたと考えております。

 具体的には、アイデアソンが新たな取組であったことから、実際にアイデアを出す参加者が集まるのかという不安もあり、応募を躊躇する企業もみられたため、今年度、多くの参加者が集まったことや取組の成果を、動画や記事を活用してわかりやすくPRすることにより、意欲のある県北地域の企業の更なる掘り起こしを進めてまいります。

 また、今年度の応募企業にも関わってもらうことにより、アイデアソンの初回からスムーズにディスカッションに入れるようにするとともに、月1回のアイデアソン以外にも SNSを活用したディスカッションやオンラインミーティングの機会を設けて、効率的に テーマのブラッシュアップが行えるよう工夫してまいります。

 なお、委員ご指摘の起業型地域おこし協力隊の隊員については、今年度もアイデアソンに参加したほか、記録の撮影などスタッフとしても参加しており、来年度も同様に参加を働きかけてまいります。

 さらに、セミナーについては、今年度はアイデアソンの開始前に開催したことから、応募企業や参加者からはセミナーを受講したかったとの声があったため、来年度はアイデアソンの開催期間中にも複数回セミナーの機会を設けるなどの改善を図ってまいります。

 県といたしましては、今年度の成果を活かしながら今後の取組を進めるとともに、応募企業や参加者の声を常に聴きながら、運営の改善を図り、県北地域の企業による新たなチャレンジを支援することにより、産業の振興と雇用の創出を図ってまいります。

(村本しゅうじ委員要望)

 是非、このような取り組みは、一過性にせず、県北振興の目玉となるような事業へと昇華させていただきたいと思います。

 また、県北起業家育成事業についても少し触れさせて頂きたいと思います。ある地域おこし協力隊のメンバーからお話をお伺いする機会がありましたが、本県の地域おこし協力隊は、他に比べて待遇も良く自分のやりたい内容の事業を立ち上げる事ができる起業型であり、大変に魅力的であるとのことでした。

 首都圏からの人の流入を目論んでいるのであれば、例えば、新橋駅前などで、東京圏の若者たちにアピールするのも面白いかと思います。また、もっと予算枠を確保して、人数を増やしていくことも今後検討してみては如何でしょうか。

 折角の県北の起業家ですので、産業戦略部とも連携して、起業の成功、そして、大成長できるよう出来る限りの支援をこれまで以上にしていただきたいと思います。

(まとめ;質問最後のまとめを編集で追加しています)

 県北振興としてのアイデアソンは、非常に発展が期待される事業であり、それは、参加された方々の熱量で実感できます。

 私も、初回から2回程度、そして最後の発表会に立ち会わせていただきましたが、県北の10企業、和菓子屋さんや漆職人さん、鉄工所や葬儀会社などの多種多様な企業が、それぞれの会社の現状を打破するためのテーマを持ち寄り、真剣に議論をしていました。

 取り纏めを行っていた方にお聞きしたのですが、全てのチームが最後まで参加して、報告会に参加できたことは、素晴らしいことであり、正直びっくりしたとのことでした。

 今回は、県北振興局としては、初めての取り組みであったと思いますが、今回培ったノウハウを基に、雇用を生み出せるような新規事業を目指して、頑張っていただきたいと思います。

 また、県北起業家育成事業については、最初、私も効果に懐疑的でありましたが、実際に、執行部の方や参加者にお話を聞いたり、ホームページを見せていただく中で、その可能性に期待するようになりました。次年度は、20名から30名に増加させるとのことですが、スケールメリットが出る様、横の連携と的確なアドバイスができるように、より一層工夫をしていただき、この地域おこし協力隊が、県北振興の切り札となるように育てていただきたいと思います。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市