県有施設・県出資団体等調査特別委員会で審議/「鹿島セントラルホテル」売却、「洞峰公園」の無償譲渡を承認

9月25日、茨城県議会は「県有施設・県出資団体等調査特別委員会」を開催し、神栖市の「鹿島セントラルホテル」の民間への売却と、つくば市の「洞峰公園」をつくば市に無償譲渡するとした県の方針を承認しました。
また、日立市の国民宿舎鵜の岬についても議論されました。
茨城県議会公明党を代表して村本修司議員が委員として議論に参加しています。

鹿島セントラルホテルについて
鹿島セントラルホテルに関しては、民間売却後もホテルとしての営業が継続されることが確認されました。県は、ホテル従業員の雇用継続や待遇改善を重視し、一定程度の関与を続ける方針を確認しました。具体的には、今年10月から譲渡先企業を公募を開始し、来年9月にはホテル敷地の売却に関する議案を、県議会に提出する予定です。

洞峰公園のつくば市への譲渡
洞峰公園については、無償譲渡後もサービスの質が維持されることが確認されました。公園内の施設の修繕に関しても、県とつくば市が合意しており、利用者にとってのサービスに問題はないとの結論が出されました。この譲渡は、今年12月の県議会定例会での都市公園条例の改正を経て、実施される予定です。

国民宿舎鵜の岬について
鵜の岬の宿泊利用率は、公営国民宿舎の中で日本一を34年間継続中です。人気の国民宿舎で、県北地域の観光拠点です。
近年は団体客から個人客へと旅行形態が変化し、直近10年間の宿泊利用者数は、平成27年度の64,911人をピークに減少傾向にあります。令和2年度及び3年度はコロナ禍の影響により宿泊利用者数は大きく減少しましたが、令和4年度は、「いば旅あんしん割(全国旅行支援)」の活用もあり、コロナ禍前(令和元年度)の水準まで回復基調にあります。
利用者の状況は、県内が約5割、その他は、近都県(関東地方、福島県、山梨県)からの利用者が大勢で、その多くがシニア層の利用者です。リピート率は、全宿泊利用者の5割から6割程度と高い傾向にあり、利用目的は、鵜の岬への宿泊・滞在自体を目的としている利用者が多く、鵜の岬から他の観光地等へ周遊する利用者は少ない傾向となっています。
鵜の岬の課題を列記すると、
◎令和4年度の客室稼働率が99.9%と年間を通じほぼ満室状態になっているにもかかわらず、団体客が減少し個人客が増加したことで客室の定員充足率が低くなっており、売上収入の減少につながっている。
◎宿泊利用者の周遊性:ターゲットとなっている客層は主にシニア層であるが、アンケート結果によると、鵜の岬への宿泊・滞在自体が利用目的となっている傾向にあるため、周辺観光施設等への周遊性が低い現状がある。
◎新しい顧客獲得とリピーターの確保(若年層、ファミリー層及びインバウンド需要の取り込み)
◎アナログ媒体(電話や往復はがき)による受付手法は、シニア層に対するきめ細やかなサービス(宿泊前の予約確認も電話にて対応)につがっているが、人口減少社会を迎え、幅広い客層の取り込みが重要であることから、予約の利便性や施設の認知度向上、予約業務の省力化や顧客管理にも有効なネット予約システムの導入が課題となっている。
◎収益構造の改善、見直し:これまで、鵜の岬が宿泊利用率日本一を続けている人気の理由は、公営ならではの低廉な室料を背景に独自に質の高いホスピタリティや料理を確立したことで、風光明媚な景観や良好な周辺環境(伊師浜国民休養地内)とともに高いコストパフォーマンスを発揮し、これが県内や近都県の主にシニア層の支持を得てきたためである。この高いコストパフォーマンスを維持していくため、これまでは客室稼働率が高くても利益率が低い収益構造となっていたが、収支改善等収益構造を見直す必要がある
このような課題を踏まえて、増大する維持管理費、大規模改修費(今後10年間で約9億3千万円を想定)などとのバランスを考慮しながら、今後の在り方を検討する必要があるとされています。