「公共交通維持のための地域モビリティの展開について」令和5年 第三回定例会 予算特別委員会
2 公共交通維持のための地域モビリティの展開について
(1)県における地域モビリティの位置づけと今後の進め方
【村本しゅうじ議員質問】
公共交通維持のための地域モビリティの活用についてのうち、茨城県地域公共交通計画の概要についてお伺いします。
高齢化が進む中、路線バス、コミュニティバスに加えて、タクシーをはじめとするラストワンマイルを担う地域モビリティの確保は、交流や買い物といった高齢者の日常生活を支えるために大変に重要な課題です。
このような中、県において、先日の8月23日、茨城県地域公共交通計画が策定され公表されました。
この計画の中で、県における地域モビリティの位置づけと今後の進め方について、政策企画部長にお伺いします。
【政策企画部長答弁】
お答えいたします。
茨城県地域公共交通計画は、人口減少や少子高齢化、運転手不足など、地域公共交通を取り巻く環境が大きく変化する中、2020年11月の、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正に伴い、計画策定が努力義務化されたことから、持続可能な公共交通ネットワークの構築のため、本年8月23日に策定いたしました。
本計画は、本県地域公共交通のマスタープランとなるものであり、計画の「基本理念」である『「活力があり、県民が日本一幸せな県」を支える持続可能な公共交通ネットワークの構築』を目指すものでございます。
この持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けては、鉄道や路線バスの他、デマンド型乗合タクシーや自家用有償旅客運送など、多様な輸送手段の総動員により、地域公共交通の維持確保、活性化に取り組むものであります。
委員お尋ねの地域モビリティにつきまして、本計画においては、多様な輸送手段のうち、市町村域内における利便性の低い地域の移動を支える交通に該当するものであり、その導入にあたっては、市町村域内の地域公共交通の維持確保、活性化を担う市町村が主体となり、交通事業者等と連携して検討を進めていただくこととしております。
県ではこれまで、市町村の地域公共交通活性化協議会などに委員として参画し、先進事例の紹介や助言を行うとともに、市町村における公共交通空白地域へのコミュニティ交通の導入に対する立ち上げ支援を行っており、現在、県内の9割を超える市町村において、コミュニティ交通が導入されております。
また、2021年度には、新たな移動サービスの導入や転換を図ろうとする市町村に対して、費用の一部を支援する事業を創設したところでございます。
県といたしましては、本計画に基づき、関係者と連携しながら、これらの取組をより一層進めていくことにより、地域住民が利用しやすい地域モビリティの維持確保、活性化に取り組んでまいります。
(2)住民の共助による地域モビリティの展開
【村本しゅうじ議員質問】
次に、住民の共助による地域モビリティの展開についてお伺いします。
地方都市の地域交通は瀕死の状態にあるといっても過言ではありません。採算性以外に、ある程度公共性を考慮しなければならず、交通事業者単独では経営が成り立ちません。
そして、行政機関の支援も限界があり、便数などの縮減、利便性低下、乗客減少と悪循環から抜け出せないでいます。
先日も、日立市、常陸太田市では運転手不足から路線バスを約1割減便すると発表がありました。まさに、悪循環のループを辿っています。
一方、日立市の金沢学区コミュニティ推進会では、金沢学区地域モビリティ運行を開始しています。これは、高齢化に伴う外出支援として、自宅と交流センター、買い物・通院と生活拠点や交通結節点を結ぶための地域モビリティとして、時間や場所など乗客のニーズに対応した利便性の高い地域交通サービスを目指しています。
この取り組みの特筆すべき特徴は、市からの補助はあるものの、運営、運転手確保などをすべて住民が行っていることであり、公共交通に関する公助の行き詰まりを打開する共助のモデルケースと成りうるものです。
日立市では、諏訪学区の住民の強い要望を受け、この取り組みを諏訪学区でも11月から開始する予定と伺っております。
私は、この取り組みは、やる気のある住民による共助のモデルケースとなるものであり、県内の他地域へも展開できる優良事例だと思っています。従って、この事業がさらに発展・持続するためにも、現在運営上の課題となっている運行管理予約システムの提供や住民への周知支援、更に補助などの最大限の支援を県としても実施すべきであると思います。
以上を踏まえ、県における支援などを含めた住民の共助による地域モビリティの展開について、政策企画部長にお伺いします。
【政策企画部長答弁】
お答えいたします。
高齢者などの地域住民の身近な移動を支えるため、市町村においては、コミュニティバスや乗合タクシーの運行などに取り組んでいるところでありますが、公共交通を取り巻く環境は、大変厳しい状況にあるものと認識しております。
一方で、高齢化の進展により、今後、みずから車の運転ができない高齢者の増加が想定されますことから、公共交通の必要性はますます高まってくるものと考えております。
このような中、日立市においては、地域住民の共助による、デマンド型乗合タクシーや自家用有償旅客運送の運行などの取組に、行政が支援を行い、地域モビリティの維持確保、活性化が図られているところでございます。
特に、委員ご案内の金沢(かねさわ)学区(がっく)の取組につきましては、地域住民がモビリティの運営から運行までを担う、特色ある地域住民の共助の好事例として、交通不便地域における、地域モビリティ確保の解決策の一つになるものと認識しており、その立ち上げの際には、その費用の一部について県も助成を行ったところであります。
一方で、地域の交通資源や共助の担い手となる住民の確保は、地域により状況が異なることから、まずは、住民の移動ニーズや交通事情などを熟知している市町村において、住民の意見を聞きながら、交通事業者など関係者の役割分担を明確にし、慎重に導入を検討する必要があるものと考えております。
このため、まずは市町村の地域公共交通活性化協議会などにおいて、関係者間で十分に検討・調整を行っていただくとともに、県では、日立市の事例紹介などの情報提供や助言を行ってまいります。
そのうえで、住民の共助による地域モビリティを導入する市町村に対しては、新たな移動サービスの導入や転換に係る立ち上げ費用の一部について、助成を行ってまいります。
このほか、県、市町村、交通事業者等で構成する、茨城県公共交通活性化会議においても、市町村や地域住民が行うイベントやチラシ作成など、公共交通利用促進活動の支援に取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、これらの支援を通じて、地域モビリティの展開を後押ししてまいります。
【村本しゅうじ議員要望】
高齢化社会の大きな課題である移動手段の確保の核となるような活動です。
是非住民のやる気を伸ばししていただけるような事業をお願いしたいと思います。
※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。
#茨城県議会 #日立市