「特別支援教育の更なる充実について」令和5年 第三回定例会 予算特別委員会

3 特別支援教育の更なる充実について

(1)特別支援学校の整備の考え方

【村本しゅうじ議員質問】

 特別支援教育の更なる充実という観点から整備の考え方についてお伺いします。

 本定例会の補正予算にて、(仮称)神栖特別支援学校整備事業が上程されています。

 ここ数年特別支援学校に入学を希望し、在籍する児童生徒数は増加傾向にあり、2018年度に県立特別支援学校に在籍する児童生徒は3,886名でありましたが、今年度は4,337名と5年間で451名増加しており、これまで県として様々な対策を実施してきたと承知しています。

 それらの対策には、新設校の整備や、校舎の増築、通学区域の変更などがありますが、住民の多くは新設校の整備を望んでいる場合が多いと思っております。

 現状は、鹿行地域では新設校の整備、鹿島、内原、つくばなどは、校舎の増築、水戸飯富、土浦は通学区域の変更で対応するなど地域によって整備に相違があります。

 これを踏まえて、整備内容の相違理由や費用比較などを含めた特別支援学校の整備の考え方について教育長にお伺いします。

【教育長答弁】

 お答えいたします。

 委員ご指摘のとおり、少子化が進む一方で、県立特別支援学校に在籍する児童生徒は増加傾向にあり、教室不足が課題となっておりました。

 このため、県では、2017年度に、県立特別支援学校教育環境整備計画、いわゆる「いばとくプラン」の検討に着手し、2020年2月に策定をいたしました。

 この「いばとくプラン」策定の検討過程において、将来の児童生徒数を推計した結果、県全体としては2024年度をピークに減少に向かうとともに、不足教室が増加する学校においても、遅くとも2030年度には減少に転ずる見込みとなりました。

 このため、新設校整備と校舎増築との費用の比較ではなく¬、将来の児童生徒数の推計から、校舎増築による児童生徒の環境整備を確保することが可能であると判断し、校舎増築を基本とする計画を策定いたしました。

 これらの考え方に基づきまして、つくば、鹿島、内原特別支援学校の3校で校舎増築を行い、加えて、昨年度には、協和、結城、石岡、境、伊奈、美浦の特別支援学校6校における校舎増築計画を策定し、今年度から、うち3校の増築を進めているところでございます。

 水戸飯富、土浦特別支援学校につきましては、学校の敷地が狭隘であったため、隣接する内原、石岡特別支援学校に校舎を増築するとともに、増築校に通学区域の一部を移すことにより、不足教室の解消を図ることとしております。

 次に、神栖市内への新校の設置についてでございます。

 児童生徒の増加に伴う教室不足という課題とは異なり、鹿行地域で唯一の特別支援学校である鹿島特別支援学校においては、神栖市内から通学する児童生徒、特に波崎地区からの通学に相当の時間を要することが、以前から課題となっておりました。

 そのため、スクールバスの運行コースの見直しや増車などの対策を進め、それまで90分であった波崎地区からのバスの運行時間を、2016年度に80分まで短縮いたしましたが、地理的な要因から、これ以上短縮することが困難であることなどの事情を踏まえ、今般、新たな特別支援学校を設置することとし、今回提出した補正予算案に関係経費を計上したところでございます。

 新校の設置により、通学時間は、長い児童生徒で80分から40分程度に短縮されるなど、概ね半分になり、通学に係る心身の負担の軽減が図れるものと考えております。

 県といたしましては、各地域や各学校の状況に応じ、特別支援学校に通う児童生徒が快適な学校生活を送ることができるよう、引き続き、教育環境の整備に努めて参ります。

【村本しゅうじ議員感想】

 これらの教室不足や通学時間の短縮など、教育の質の向上というか平等性の担保という非常に重要な改善であると思います。

 状況を良く観察いただいて、柔軟な対応がとれるよう普段からのシミュレーションをお願いいたします。

(2)日立市立日立特別支援学校への支援内容と今後の支援

【村本しゅうじ議員質問】

 次に、日立市立日立特別支援学校への支援内容と今後の支援について、お伺いします。

 日立市立日立特別支援学校は、県内唯一の市立特別支援学校であり、昭和43年に開設されました。

 県立の特別支援学校と合わせ、国公立を含めて県内の特別支援学校は25校になっています。

市 立には市立の、そして、県立には県立の特徴があり、それぞれにおいて、これまで県内の障がいを有する児童生徒のその持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、指導を行ってきました。しかし、同じ特別支援教育を行っているにもかかわらず、違いがあるのも一面の事実だと思います。

 私はこれまでも、児童生徒の目線で、教育の質に差があってはならないと訴えさせていただきました。そして、県教育委員会として、できうる限りの支援をお願いしてきたところであります。

 そこで、これまでの日立市立日立特別支援学校への支援内容と今後の支援について、教育長にお伺いします。

【教育長答弁】

 お答えいたします。

 村本委員からは、これまで、日立特別支援学校に係る様々なご提案やご助言をいただいてきたところであり、県といたしましては、本県特別支援教育の充実という視点から、日立特別支援学校への支援に努めてきたところでございます。

 まず、人事交流による県立特別支援学校教員の日立特別支援学校への配置でございます。

 県では、日立特別支援学校における特別支援教育の充実を図るため、日立特別支援学校との人事交流を積極的に進めており、県立特別支援学校から日立特別支援学校に配置した教員は、2022年度には11名でございましたが、2023年度は6名増員し、17名を配置いたしました。

 また、日立特別支援学校における特別支援学校教諭の免許状を有する教諭の人数でございますが、2023年度に在籍している50名全員が、特別支援学校教諭の免許状を保有しております。

 こうしたことで、日立特別支援学校において、特別支援教育に関する専門性の向上を図り、より良い教育活動につなげているところでございます。

 加えて、これまでは選考試験の合格者は県立の特別支援学校への配置のみとなっておりましたが、市立の学校である日立特別支援学校にも配置できるよう教員選考試験実施要項の改正を行いましたので、2024年度の定期人事異動においては、新規採用教員を日立特別支援学校へ配置することも進めて参ります。

 これにより、日立特別支援学校に配置する県立特別支援学校教員を更に増やすことができ、更なる専門性の向上につながるとともに、新規採用教員の新たな、柔軟な発想による授業や取り組みが行われることによって、教育活動の充実が図れるものと考えております。

 県といたしましては、引き続き、日立特別支援学校を含めた県内特別支援教育の更なる充実に努めて参ります。

【村本しゅうじ議員要望】

 通学時間の短縮については、交通事情によるところも大きく、朝の通勤通学時間帯は5分違えば渋滞状況がかなり違います。通学時間や授業開始時間も柔軟に対応していただきたいと思います。

 それ以外にも、新設校の整備や、校舎の増築、通学区域の変更等、すべて子どもファーストで考えていただいたことと思っております。

 その観点から、日立市から出されております「日立市立日立特別支援学校の県立か」もご検討いただきたいと思います。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市