「被災者の立場に立った避難所への変革」 令和6年 第一回定例会 予算特別委員会

1 質の高い防災支援について

(1)被災者の立場に立った避難所への変革【知事】

【村本しゅうじ議員質問】

 初めに、質の高い防災支援についてお伺いします。

 まずは、被災者の立場に立った避難所への変革についてです。

 この度の能登半島地震では、被災者が現在も避難所や自宅避難で困難な生活を強いられています。

 すぐにでも起こるかもしれない災害に対して、茨城県の避難所は、これまでの災害での反省事項を反映した被災者の立場に立ったものとなっているのでしょうか。

 災害時などの避難所の国際的な基準として、被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めたスフィア基準というものがあります。その理念は、被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利があるということを認識することだとしております。

 具体的な例でみると、

 発災後、赤ちゃん連れのお母さんが支援窓口にSサイズのおむつを依頼したところ、備蓄がなく、係員から「大は小を兼ねる」と言われ、Mサイズのおむつを渡されたことがあったそうです。

 使用してみると、やはり漏れてしまったそうで、おむつに関しては「大が小を兼ねる」ことはできませんでした。

 現実として、Sサイズが無いので、係員が悪いわけではないのですが、被災した人たちの声を支援の対象としているか、尊厳ある生活ができるような支援が出来ているか等を常に問い改善していくことがスフィア基準であると言えます。

 また、スフィア基準には、人道支援の必須基準(CHS)があります。これは、9つの項目があり、それぞれに対する被災者目線のコミットメントと支援者目線の質の規範で構成されています。

 このようなスフィア基準のCHSも取り入れて、支援する側の理屈ではなく、被災者の立場に立った避難所への変革を目指して、茨城県地域防災計画や市町村避難所運営マニュアル基本モデルを含めた県の防災体制の見直し、そして、市町村への指導も必要だと思います。

 そこで、被災者の立場に立った避難所への変革について県としてどのように取り組むのか知事にお伺いします。

【大井川知事答弁】

 お答えいたします。

 被災者の立場に立ち、個々のニーズを踏まえた避難所運営は、大変重要であると認識しております。

 例えば、委員ご指摘のおむつについて、県と市町村では、乳幼児のそれぞれの体格に対応できるよう、複数のサイズのおむつを備蓄しており、また、県が作成している避難所運営のマニュアルで、おむつを交換するための専用の場所を設けるとするなど、乳幼児や保護者の立場に立って避難所の環境づくりに取り組んでいるところです。

 マニュアルについては、随時見直しを行ってきており、昨年度は、「避難所検証委員会」を設置し、避難経験のある住民などの意見を聴きながら、被災者目線の見直しを行ったところであります。

 具体的には、母子のために粉ミルク用の水や消毒用品を授乳室に配置することや、アレルギー疾患を有する方のために炊き出し時に調理食材を掲示することなどを取り入れ、配慮すべき内容について充実を図ったところであります。

 また、昨年度は、県主催でアレルギー疾患の専門家による症状の特徴や留意すべき事項などの説明会を、全市町村の職員参加のもと開催し、取組の徹底を図っております。

 県といたしましては、引き続き、県のマニュアルや備蓄品目について不断の見直しを行うとともに、市町村との勉強会や、県と市町村の合同訓練などを通じて、被災者の立場に立った避難所運営に取り組んでまいります。

【村本しゅうじ議員質問要望】

 県としても様々改善をしていただいているということでございました。 ぜひ実際に防災対応を行う市町村の状況は常に、ご確認をいただきまして、改善し続けていただくことを要望します。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

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