令和2年第2回定例会 一般質問「新型コロナウイルス感染症の第二波に対する備えと医療施設等における財政的支援について」
1 新型コロナウイルス感染症の第2波に対する備えと医療施設等における財政的支援について
【質問】
新型コロナウイルス感染症の第2波に対する備えと医療施設等における財政的支援についてお伺いします。
我が国においては,国民の皆様の献身的な努力により,感染はピークを越え,収束に向かっており,茨城県においては6月8日に茨城版コロナNextのステージが「1」に引き下げられたところであります。
この新型コロナウイルスは,目で見ることは出来ませんが,確実に我々の周りには存在しており,第2波,第3波が必ずやってくると指摘する専門家もいます。
県内において感染者はここ1ヶ月程度発生しておらず,医療現場も落ち着きを取り戻しつつあるこの間に,やがて来る第2波,第3波に備え,医療崩壊を防ぐ必要があります。
まず,第1波では,県内の感染者の約3分の1が医療施設及び高齢者・障害者福祉施設のクラスターによるもので,感染拡大の初期は,このクラスターを拡大させない,起こさないことが重要となります。しかし,一般病院,クリニックを含む医療施設及び高齢者・障害者福祉施設においては,マスク,消毒液,ゴム手袋,防護服,フェイスシールド等の衛生用品,防護具が不足して,大変な状況であった,そしてそれは今も継続していると聞いております。そのため,安心して従事できるだけの十分な量の衛生用品,防護具の確保が必要であり,県も一緒になって蓄えるべきと考えます。
次に,厚生労働省が導入を検討している「接触確認アプリ」の早期活用が必要です。このアプリは,位置情報を使わず,ユーザー同士が接触した記録のみを管理すると説明されています。このようなシステムは感染拡大防止に有効であり,そのシステムの必要性やプライバシー,セキュリティなどの課題について丁寧に説明して,県民の皆様に広く活用していただくことが,必要であると考えます。大阪府でもQRコードを使った接触者追跡システムを既に導入し,このアプリと併用することとなっています。
また,茨城県では,医療施設や高齢者・障害者福祉施設でのクラスター発生を防止するため,PCR検査の受診目安を独自に緩和しましたが,PCR検査を確実に実施できる体制の確立や広域での融通策,そして,体調を崩した方が確実に受診できるようにするために発熱外来の設置なども重要となってきます。
さらに高齢者・障害者福祉施設においては,先に県が作成した「新型コロナウイルス感染対策マニュアル」に従って感染拡大防止に努めることは重要です。しかし,万一発生してしまった場合,入所施設においては感染拡大を防ぎながら,入所者へのサービスを継続する必要があり,その場合,他の施設からの応援職員を派遣してもらうような体制を構築しておくことも重要であると考えます。
一方,医療施設と高齢者・障害者福祉施設においては,実際に感染者を受け入れていなくとも,コロナ禍による患者や利用者の減少,感染予防対策費の増大により,経営上のリスクが顕在化しています。
事実,毎日何百枚と使用するマスクなどが3倍以上に値上がりしたり,患者数が前年同月比で約30%減少するなど,ひと月だけでも数千万円の赤字であるとの窮状を聞いております。
このため,コロナ後を見据え医療,介護,福祉全体の機能を向上させるために,県においても財政的な支援を実施する必要があると思います。
以上を踏まえ,新型コロナウイルス感染症の第2波に対する備えと医療施設等における財政的支援について,知事にお伺いします。
【答弁】
村本修司議員のご質問にお答えいたします。
初めに,新型コロナウイルス感染症の第2波に対する備えと医療施設等における財政的支援についてお尋ねをいただきました。
まず,第2波に対する備えについてであります。本県では,高齢者・障害者者福祉施設や医療機関においてクラスターが発生し,その感染者は県内全感染者数の約3分の1を占め,対応した保健所や医療機関に大きな負荷となった経緯がございました。
このため,高齢者・障害者福祉施設につきましては,県で新たに「感染対策マニュアル」を策定・配布したところであり,感染者介助の実践的なトレーニング,職員の健康管理,施設内のゾーニング等により,感染及びクラスターの発生を抑制してまいります。
加えて,社会福祉施設の職員が感染等により不足した場合に備え,県社会福祉協議会が他の法人施設からの職員派遣の調整を担う仕組みも整備したところでございます。
また,本県独自の対策として,高齢者・障害者福祉施設や医療機関の従事者に対し,発熱や咳など比較的軽い症状であってもすぐに相談・受診するよう促しております。
さらに,入院前や手術前の患者の方については,無症状の場合であっても医師が感染を疑うときには積極的なPCR検査の実施を呼びかけているところです。
今後の第2波の到来に備え,PCR検査体制をさらに拡充することとし,現在進めている県衛生研究所及び土浦保健所への各1台の検査機器の整備に加え,医療機関への検査機器の整備は民間検査機関の一層の活用を図ることにより,1日当たり600件を超える検査体制を速やかに構築してまいります。
さらに,より多くの場所で検体採取ができますよう「地域外来・検査センター」の設置に向けて郡市医師会や市町村などと協議しているところであり,各保険医療圏に1か所以上の設置を進めてまいります。
また,議員ご指摘のマスクやガウン等の防護具につきましては,県内外の多くの企業等から提供や製造のご協力をいただいたこともあり,2か月分を超える量を確保できる見込みであります。引き続き,国と協力しながら医療物資の調達・確保に努めてまいります。
なお,現在,県では感染者と同時期に居合わせた,同一店舗等の利用者に対して,体調変化に注意することなどを通知するシステムの導入を検討しているところであり,国が導入を検討している接触確認アプリと併せて,より多くの県民により広く活用いただくことで,感染拡大防止などに役立ててまいります。
次に,医療施設等における財政支援についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により,多くの医療機関において,外来・入院患者数や手術件数が減少し,大幅な減収となっていると承知しております。
このため,国による優遇融資や入院治療に係る診療報酬の引き上げのほか,県といたしましても受入れ病床の確保に対する補助や医療機器・感染防護資機材の供給等の財政支援を行っており,その拡充について,今回の補正予算に追加計上いたしました。
また,高齢者・障害者福祉施設に対しましても,通所系サービス事業所が休業要請を受けた場合に,利用者への代替サービスとして居宅を訪問してサービスを提供した際の費用に対する補助などを計上しております。 県といたしましては,引き続き,医療施設等における感染防止対策を支援するとともに,医療提供体制の強化を進めるなど,感染の第2波の到来に向けて万全の体制を整備してまいります。