令和2年第2回定例会 一般質問「新産業廃棄物最終処分場について」

新産業廃棄物最終処分場予定地<日立市諏訪町太平田鉱山跡地>

2 新産業廃棄物最終処分場について

【質問】

 次に,新産業廃棄物最終処分場についてお伺いします。

 新産業廃棄物最終処分場については,「新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会」において平成30年度より6回の委員会を開催して,3次整備可能地の総合評価により3つの候補地に絞り込み,5月26日に知事が最終候補地として日立市の大平田にある採石場跡地に決定したと表明したところであります。

 同日,日立市の小川市長は,「誠に不本意」としつつ「反対一辺倒ではない。市民の動向等を踏まえながら総合的に判断していく」との考えを示しております。

 同様に,地元日立市や市民は突然の発表に,驚きと戸惑いを感じられ,不安視する声が挙がっており,私のところにも,その必要性は認識しながらも,「何故日立なのか」「自然環境への影響は」「交通渋滞は大丈夫か」などの声が寄せられており,困惑が隠せないようであります。

 私の自宅の近所でもあるため,周辺の環境について良く認識していますが,最終候補地の傍を通る鮎川は,鮭が遡上し,カジカも生息するほど水質がきれいで,その中流には梅の名所の諏訪梅林や諏訪の水穴など市民の無くてはならない憩いの場もあり,この環境が破壊されるのではないかと市民が心配するのも無理はありません

 また,処分場への搬入路となることが想定される国道6号線では,慢性的な渋滞を悪化させるのではないか,そして通称梅林通りと呼ばれる県道37号線は,小中学生を含む歩行者や自転車が通行する生活道路であり,大型車両が頻繁に通行することによる安全性の確保や,トラックからもたらされるほこりやごみに対する懸念も挙がっています。

 このような心配の声がある一方で,「山側道路から処分場にアクセスする道路を作り,常磐道とスマートICで接続してはどうか」「防災拠点としての機能を併せ持たせてはどうか」「エコフロンティアかさまの改善点を反映すべき」などのご意見も出ています。県としては,出来る限り様々な住民の声を聴く努力を行い,全ての疑問に答えて戴きたいと思います。

 一方で,その事業計画もしっかりと県民に説明する必要があると思います。知事の記者会見では,概算整備費が200億円程度とありましたが,その内訳や根拠なども示していただきたいと思います。

 今後,住民説明会などは日立市の協力を得ながら実施していくとのことですが,その必要性や候補地選定経緯,特に日立である理由や今後の進め方についてなどを,わかりやすく説明していただきたいと思います。

これらを踏まえて,新産業廃棄物最終処分場の必要性や候補地選定経緯と決定理由そして事業計画について知事にお伺いします。

【答弁】大井川和彦知事

 次に,新産業廃棄物最終処分場についてお答えいたします。

 最終処分場は,廃棄物の適正処理を確保し,安全安心な県民生活や県内企業の円滑な事業活動を支える,本県の発展に欠かせない重要なインフラであり,将来にわたる安定的な確保が必要な施設であります。

 産業廃棄物の処理は,民間が行うことが基本でありますが,本県における民間設置の管理型最終処分場については,平成16年度以降,新規設置がない状況にあります。

 また,県関与の管理型最終処分場「エコフロンティアかさま」の埋立も平成30年度末で6割を超えており,あと6年程度で埋立終了の見込みとなっております。

 こうしたことから,県では平成31年3月に有識者による「新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会」を設置し,県内全域を対象に法令上の制約や自然条件,生活環境条件,社会条件,経済性の観点から,段階的に整備候補地の絞り込みを行い,3箇所を選定していただきました。

 この3箇所の中から,最終的な候補地を選定するため,副知事をトップとする県の選定会議において,自然環境,生活環境への影響や事業効率性の観点から,再度,比較・評価を行ってまいりました。

 その結果,「日立市諏訪町」は,既に開発された採石場跡地であり,植生がほとんど見られず,地盤が強固であることから,自然環境への影響が少ないこと,周辺300m以内に住居がないことに加え,景観上も問題なく,生活環境への影響が少ないことなどを高く評価いたしました。

 さらに,現処分場と同程度の容量が確保でき,整備費も低く抑えられることで,中長期にわたり安定的な運営が可能であることから,事業効率性も高いと評価いたしました。

このような経緯により「日立市諏訪町」を,最終的に整備候補地として決定させていただいたものでございます。

 一方,議員からご指摘のありました鮎川や諏訪梅林などへの影響や,交通アクセスに対するご懸念については,県においても十分認識しているところであります。

 最終処分場から出る浸出水については,施設内で浄化した後,下水道に放流することとしており,処分場周辺の交通対策に関しましては,今後,日立市や住民の方々のご意見を伺いながら可能な限りの対策に努めてまいりたいと考えております。

 次に,事業計画についてでありますが,概算整備費は,エコフロンティアかさまの整備費等を基に積算しており,最終処分場や浸出水処理施設の整備費に約165億円,下水道等の付帯工事費や施工管理費等に約43億円,合計約208億円を見込んでおります。

 具体的な事業計画については,今年度に策定を開始する基本計画の中で詰めていくこととしております。

 今後の進め方でありますが,現在,各コミュニティの会長さんなどへの説明を始めているところであり,今月下旬から,諏訪地区を中心に市内全域を対象に住民説明会を開催することとしております。 県といたしましては,引き続き,施設の必要性や安全性,候補地選定の経緯,理由などを丁寧に説明し,日立市,市議会,市民の皆様のご理解を得ながら事業を進めてまいりたいと考えております。