令和2年第2回定例会 一般質問「持続可能なまちづくりについて」

茨城県議会本会議で2度目の一般質問を行う村本しゅうじ議員

3 持続可能なまちづくりについて

【質問】

 次に,持続可能なまちづくりについてお伺いします。

 持続可能な開発目標,所謂SDGsは国連総会で採択された2030年までに達成しようとする17の国際的な開発目標です。その目標のうち,11番目の「住み続けられるまちづくりを」は,全ての人々の安全かつ安価な居住空間や高齢者など脆弱な立場にある人々のニーズに配慮した公共交通の確保や,包摂的かつ持続可能な都市化の促進などをターゲットとしています。

 現在,日本,そして茨城県では高齢化が急速に進行しており,介護人材不足,移動手段確保,独居問題,そして社会保障に関する給付と負担のバランス崩壊など数多くの課題を抱えております。

 この課題に対する解決策の一つとして,都市機能,居住を集約するコンパクトシティが注目され,その具現化策として平成26年に「立地適正化計画制度」が導入されています。

 まちをコンパクトにすることは,交通・福祉・財政・環境など様々な分野における改善が見込まれることや,将来の課題を認識して,大きく変えていくことが必要であるという共通認識を持つことが出来るメリットがあります。一方で,まちの形を変える作業であり,人口密度が高い都市部よりも人口密度の低い郊外において高齢化が進んでいることから,計画的な推進が必要となります。また,それぞれの市町村で独自に中心拠点を複数定めることにより,多数の拠点が乱立し,返って分散化を招いてしまうという事例も発生しており,拠点を賢くまとめていくことも今後の課題であります。

 全国においては, 326市町村が立地適正化計画を策定しております。国は「複数自治体による広域的な立地適正化の方針の策定」を後押しする事業も展開しており,中核となる市を中心とした大規模な連帯や,複数の小規模町村による連帯などを県が調整した例もあります。

 また,国において,多様な人々が集い,交流することのできる「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の創出を目指し,令和7年度までに取り組む市町村を100以上とする目標も設定しております。これに,住まい・医療・介護/予防・生活支援を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を融合させ,所謂「地域包括ケア・コンパクトシティ」とすることで,あらゆる世代に対応した「歩きたくなる」まちづくりが可能になると考えます。

 そして,世界的には,スマートシティやスーパーシティなど最先端技術を活用した都市設計も進められており,茨城県でも,このような最先端の技術を取り入れることが重要だと思います。

 茨城県においては,現在16市町で立地適正化計画を策定済,14市町村で策定中となっており,都市部を中心に順次策定が進んでいます。まずは,県全体としての都市設計を構想する有識者による協議会を立ち上げて広域の立地適正化計画を策定し,その中から選定した地域に対して県と市町村が連携してまちづくりに取り組み,県民が日本一幸せと思えるようなモデル事例を構築していく必要があると考えます。

以上を踏まえ,「活力があり,県民が日本一幸せな茨城県」を実現するための持続可能なまちづくりを目指す市町村のコンパクトシティへの取り組みを県としてどのように関わっていくのか,土木部長にお伺いします。

【答弁】      

 持続可能なまちづくりについてお答えいたします。

 我が国では,未曽有の人口減少や超高齢化社会が進む中,中心市街地の衰退,市街地の拡散,空き家の増加,公共交通の衰退などによる都市の空洞化や,高度経済成長期に整備された多くの道路や橋梁,下水道施設などのインフラの老朽化に伴う維持管理への対応など,様々な課題が顕在化しております。

 本県においても,人口減少が続くとともに,高齢化率も全国平均を上回る状況となる中,人口集中地区における人口密度が低下するなど,都市の空洞化が進んでおります。

 このような課題への対応としましては,コンパクトシティの形成が提唱されており,市役所や医療,福祉,商業,業務,教育などの都市機能や居住を都市の中心部や生活拠点に誘導することにより,一定程度の人口密度を維持し,生活サービス水準が確保された,持続可能なまちづくりを目指すとされています。

 しかしながら,コンパクトシティを進めるにあたりましては,学校や保健,医療機関などの公共施設や,道路や橋梁,下水道施設などの既存インフラの統廃合について,住民の理解と地域の合意形成が不可欠であることや,住み慣れた郊外部から市街地への居住集積地への移動を,本人の意思に反して行うことは困難であることなど,難しい課題があります。

 このような課題もございますが,県内市町村においては,都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画について,すでに,16市町が計画を策定し,14市町村が計画策定を進めているなど,コンパクトシティへの取り組みが始められているところです。

 また,国におきましては,コンパクトシティを推進するため,市町村の取り組みを支援する各種補助事業や交付金事業のメニューが用意されております。

 こうしたなか,県では,県内の市町村に対し,国の施策や先進自治体の事例などの情報提供や,立地適正化計画の策定に係る助言を行うことに加え,市町村が交付金を活用できるよう,国との調整などの支援をしているところです。

 コンパクトシティに向けた取り組み事例といたしまして,日立市では,JR大甕駅とひたちBRTの整備を一体的に行うことなどにより,公共交通の利便性を向上させ,BRT沿線地域に都市機能や居住を誘導するためのまちづくりを国の交付金を活用して進めているところでございます。

 このように,市町村が中心となって,個々の都市の特徴を活かしたまちづくりを,意欲を持って進めることが重要であり,県といたしましては,今後も,市町村の意向を十分尊重しつつ,コンパクトシティに向けた取り組みについて,意欲のある市町村を支援してまいります。