令和3年 第二回定例会 予算特別委員会質問「糖尿病の重症化予防について」
【村本しゅうじ議員質問】
(ア) 糖尿病性腎症重症化予防の取組みについて
次に、糖尿病の重症化予防についてお伺いいたします。
新型コロナウイルスに感染した際、基礎疾患を有する方の重症化のリスクが明らかになり、その中でも、糖尿病を有する方の重症化リスクが懸念されております。
中国本土における新型コロナウイルスに感染した患者72,314名を対象とした研究において、糖尿病を有する患者は、全患者に比べて、死亡率が3倍高いことが報告されております。
一方、米国糖尿病学会(ADA)の見解では、糖尿病であっても血糖コントロールが良好であれば、新型コロナウイルスの感染による危険性は、糖尿病でない人と同等であるとの情報もあり、糖尿病の治療は、感染対策の観点からも重要であります。
国は、糖尿病が重症化するリスクの高い未受診者や受診中断者について、関係機関からの適切な受診勧奨や保健指導を行うことにより、適切な治療に結び付けることなどを目的に、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しており、コロナ禍において、より一層、対策の重要度が増してきていると感じております。
一方、平成27年の都道府県別年齢調整死亡率を見ますと、本県における糖尿病による死亡率は、男性が全国40位、女性が43位と、不名誉な状況となっております。
そこで、糖尿病性腎症重症化予防の取り組みについて、県としてどのように取り組んでいるのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
【保健福祉部長答弁】
糖尿病は、多くの場合、自覚症状をほとんど伴わないものの、進行すると網膜症による失明や、人工透析を要する末期腎不全など合併症による重大な健康障害につながりうる疾患であり、病態の進行を抑えるためには、定期的な健診や医療機関の受診、健診後の保健指導などを通じた生活習慣の改善が大変重要であります。
このため、県では、県医師会や県保険者協議会などとともに、各保険者が医療機関未受診者等への受診勧奨や保健指導を行い、治療につなげるための手順等を示した「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を平成30年3月に策定いたしました。これにより、糖尿病性腎症の進行による人工透析導入等の重症化への移行防止を目指しているところです。
さらに、各保険者と医療関係者が協働・連携した取組を一層推進するため、令和2年1月にプログラムを改定し、各保険者において、郡市医師会や地域の専門医療機関等と十分に協議した上で、受診勧奨等の計画を定めて実施することなど、各関係機関の役割や手順などをより具体的に記載したところでございます。
県といたしましては、各保険者が、現状分析や計画立案を行うにあたって活用可能なデータの提供や、データ分析の支援を行うとともに、保健所が、広域的な対策会議や事例検討を行う連絡会を開催するなど、地域の医療関係者と保険者との連携のつなぎ役となることで、より一層、糖尿病性腎症の重症化予防に向けた取り組みを推進してまいります。
【村本しゅうじ議員質問】
(イ) 治療中断者への具体的な取組みについて
疾病のリスクを抱えている方への支援を行うに当たり、行動心理学の人間の行動特性を踏まえ、選択の自由を残しながら、本人にとって望ましい行動を即す「ナッジ」を取り込むなどの工夫も必要だと思います。
また、県では、各保険者がより実態を把握し、糖尿病の未受診者・受診中断者への受診勧奨・保健指導を着実に実施することができるよう、令和2年9月の補正予算で「医療・健康情報データベース構築・分析事業」を予算化するなど、様々な取り組みが行われていることは承知しておりますが、特に、糖尿病治療中断者への支援が重要だと私は考えます。
支援に当たっては、受診勧奨を実際に行う保険者の市町村に対して、過去5年間程度の治療中断者のリストを配布して、個人情報に配慮しつつ、丁寧に受診勧奨を実施してもらうことも重要なことだと思います。
そこで、糖尿病治療中断者への具体的な取り組み状況について、保健福祉部長にお伺いいたします。
【保健福祉部長答弁】
治療中断者への受診勧奨につきましては、市町村など各保険者が行うこととなっておりますが、平成30年度と令和元年度の市町村の取組み状況の変化をみますと、治療中断者への受診勧奨実施市町村数は10市町村から21市町村へ倍増するなどプログラム策定の効果が見られているものと考えております。
一方、市町村からは、何度も勧奨するが、受診につながらないといった声も聞かれるなど、行動変容を促す受診勧奨の技術や保健指導に必要な知識の不足などの課題もあがっております。
このため、県では、受診勧奨が困難な事例への対応など保健指導のスキルアップを図るため、昨年度より、市町村保健師等向けの研修会を実施しているところです。
併せて、生活習慣病を専門とする医師を「重症化予防アドバイザー」として、県内市町村へ派遣しておりますが、アドバイザーからは、
・健診当日に受診勧奨を行うことや
・市町村と医療機関が連携して治療や生活習慣の改善をサポートする連絡手帳を交付することなど具体的な提案をいただいております。
また、委員から御提案のございました糖尿病治療中断者のリストにつきましては、今年度、5年程度の複数年にわたる対象者リストを作成し、各市町村へ提供してまいります。
これにより、長期にわたって治療を中断されている方へのアプローチが可能になりますので、各市町村に対して、支援の必要性が特に高い対象者への受診勧奨や、適切な医療の提供などにつなげていただくよう、周知してまいりたいと考えております。
【村本しゅうじ議員要望】
答弁ありがとうございます。
受診勧奨による効果検証についても、国のモデル事業で行われておりますが、先ほどの結果は、喜ばしいという数値ではないと思っております。
もっと高みを目指すべきであり、受診勧奨の方法も県が積極的に指導していただきたいと思います。
是非、県が推進しております「元気アっプ!リいばらき」を、まずは、県職員の方の健康増進に役立てるべく、全員の方への登録・活用を目指していただきたいと思います。
また、このコロナ禍で、重症化のリスクの高い糖尿病の未受診者・受診中断者への配慮を引き続きお願いいたします。
保健福祉部長ありがとうございました。
※:正式な議事は、茨城県議会ホームページをご確認ください。