令和3年 第二回定例会 予算特別委員会「ウッドショック対策について」

【村本しゅうじ議員質問】

 次に、ウッドショック対策についてお伺いいたします。

 現在、コロナ禍による影響等により、米国や中国での木材需要の増大に加え、海上輸送のコンテナ不足も重なり、世界中で木材需要がひっ迫しております。

 これに伴い、輸入木材の価格は高騰し、かつ、入手も困難となってきている状況であります。

 このことを、かつて石油価格が高騰したオイルショックになぞらえて、関係業界では「ウッドショック」と呼んでいるとのことであります。

 調査をしてみますと、ある北米の木材価格は、コロナ禍以前の2019年秋と比べて、3倍近くにもなっているものもあるとの報道がありました。

 もともと、相談に来られた工務店の方は、国産材をメインに住宅を建てていましたが、輸入材の輸入量が減少した影響で、国産材が入手しにくくなっているとのことでした。

そこで、県内のウッドショックによる現在の影響について、県としてどのように考えているのか、農林水産部長にお伺いいたします。

【農林水産部長答弁】

 委員ご案内のとおり、北米での住宅需要の高まりなどによる木材価格の高騰、いわゆるウッドショックにより、本県におきましても、木材価格の上昇など、大変な影響が生じております。

 例えば、住宅建築用の木材を扱う県内の市場(いちば)におきましては、今年4月時点のスギ柱材の価格が前年同月比で約1.5倍になるなど、輸入木材の品薄状態と併せて、住宅建築に関わる工務店にとっては木材の確保が厳しくなっている状況にございます。

 こうした状況を受けまして、木材を生産する林業の現場では、積極的に原木、いわゆる丸太を伐採・生産しているところであり、また、その丸太を、住宅に必要な柱や板などに加工する製材の現場もフル稼働している状況と伺っております。

 木材の生産能力をさらに向上させるためには機械設備や雇用などに新たな投資が必要となりますことから、県といたしましては、今後の国内外の木材需要や流通の動向を注視し、現在の状況が一過性のものなのか、あるいは長期に及ぶものなのか、見極めながら対応していく必要があるものと考えております。

【村本しゅうじ議員質問】

 このウッドショックの影響は、いつ収束するか予想もつかず、少なくとも年内は続くとみられており、このままですと、木材が入手できず、よって住宅の着工がままならなくなり、工務店やそれに関連する職種の方々の経営にも多大な影響が出てくるのではないかと大変懸念しております。

 私も、5月の初めに地元の工務店の方から、「世間では騒いでいないが、木材の価格が高騰し、供給が減ってきている。小さな工務店は、価格へ転嫁せざるを得ず、さらに、納期も変更せざるを得ない状況となっている。3月下旬からこのような状況となっているが、国や県はどう認識しているのか。」とのご相談がありました。

 こうした中、国では、短期的な対応として、貸付金の周知や消費者への納期・価格変更の申し出の勧奨といったことを行うとのことであります。

 私は、中長期的には、コロナワクチンや半導体と同様に、脆弱なサプライチェーンから脱却していく必要があると思っております。

 このため、国産材の供給体制の強化を実施し、高性能林業機械の導入に当たっての支援や中小の工務店で構成する組合のような共同購入体の結成の支援、長期契約の推進などが必要ではないでしょうか。

そこで、林業の育成を含めた供給体制の強化策について、県としてどのように考えているのか、農林水産部長にお伺いいたします。

【農林水産部長答弁】

 県におきましては、経営規模の拡大に意欲的な林業経営体による森林の集約を進めておりまして、作業の効率化や森林資源の循環利用の促進に取り組んでいるところでございます。

 こうした取組などを通じまして、本県の木材生産量は、平成22年の30万立方メートルから、令和2年には42万立法メートルと1.4倍に増えるなど、近年増加傾向にありまして、県産木材の供給能力は高まりつつある状況にございます。

 今般のウッドショックを踏まえますと、委員ご指摘のように、中長期的には国産材のサプライチェーンを強化していくことにより、安定的な木材の供給を図っていくことが大変重要になってくるものと考えております。

 このような中、県では、木材生産、加工、流通などの関係者が主体となって、一昨年、設立いたしました茨城県サプライチェーンマネジメント推進フォーラムに参画いたしまして、物流の効率化やコストの縮減などを含め、県産木材の安定供給体制の整備に向けて取り組んでいるところでございます。

 今後も引き続き、このフォーラムを通じまして木材流通の関係者の取組を促進するほか、森林湖沼環境税などを活用した森林整備や、高性能林業機械の導入に加え、担い手の確保を図るなど、一層の木材供給体制の強化に努めてまいります。

【村本しゅうじ議員要望】

 林業は、苗木を植えてから伐採までに50年もかかる産業であり、方針転換の効果が見えづらい産業でもあります。

 よって、将来を見据えた計画が重要であり、国産材の供給力を計画的かつ着実に高めていっていただきたいと思います。

※:正式な議事は、茨城県議会ホームページをご確認ください。