令和4年 第二回定例会 一般質問/「県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性について」
【村本しゅうじ議員質問】
次に、県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性についてお伺いします。
特別支援学校に通う生徒の保護者は、我が子が社会で自立して生きていけるかという、将来に対する不安を抱えています。
障がいや病気療養が必要な児童生徒が将来自立でき、保護者の安心感につなげていくためにも、キャリア教育は非常に重要であります。
茨城県教育委員会では、小学部の段階から系統的なキャリア教育を実施しており、小学部や中学部では、校外学習や職場体験学習を、高等部では、デュアルシステム型の現場実習などを行っています。
一方、GIGAスクール構想の推進や、コロナ禍によって拡充されたリモートの利便性向上など、環境は急激に変化しています。
ICT技術の進歩は凄まじいものがあり、特別支援学校に通う生徒を取り巻く環境にも変化が見られ、ICT機器の利活用は、これまで移動の制約や対面の困難さを抱えた生徒にとっても新たな光となっています。
また、タブレットやPC、ロボットなどのICT機器は、生徒にとって社会と繋がる非常に有効な手段になると考えます。
Webデザインやeスポーツなど、新たな分野での可能性も感じており、ICTスキルを早期に身に着け、社会進出を大きく促すためにも、情報活用能力などを含む将来の進路選択につながるカリキュラムの充実を進めてはどうかと考えます。各学校で専門的な授業を担当する教員を配置することが難しければ、拠点校で授業を行い、各地の学校からリモートで参加することもできるのではないでしょうか。
拠点校からのリモート配信による授業は、教員不足やコストの観点からのメリットもあり、更には、登校できない生徒の為に、自宅でのリモート学習を視野に入れた対応も可能になります。
障がいの多様性はその認識が進んでおり、障がいの程度に合わせた教育の必要性はますます高まっています。
ICT機器の利活用による学びを充実させるとともに、Webデザインなど新たな分野の門戸を切り拓いていくためにも、自立につながるスキルを身につけられるような環境整備を是非ともお願いしたいと思います。
以上を踏まえ、情報活用能力などデジタル化社会に沿ったカリキュラムを導入するなど、県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。
【教育長答弁】
県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性についてお答えいたします。
肢体不自由や病弱の生徒が、情報活用能力を身に付け、在宅ワークを取り入れている企業等への就職が可能になれば、通勤に伴う負担がなく、また自宅にいるという安心感が得られるため、障害による体調面や移動面の困難さ、心理的な不安を軽減させることが可能となり、進路選択の幅が広がると認識しております。
現在、知的障害以外の県立特別支援学校高等部におきましては、主に1年次に必履修教科である「情報」を履修し、プログラミングや情報通信ネットワークなどの基礎的な内容を学習しております。
また、肢体不自由や病弱の生徒を対象としている特別支援学校では、就職を希望する生徒に対して、企業等の協力のもと、学校や自宅で在宅ワークに近い形での職業体験を取り入れ、メールやオンライン会議形式で業務に関する指示を受け、データ入力や文書作成などの実習を行っております。
これらの体験は、生徒にとっても、在宅での就業という新たな働き方を知る貴重な機会になっております。
このほか、商業に関する科目である「情報処理」を教育課程に位置付け、就職に活かせるタイピングや情報処理に関する検定試験に合格する生徒もおり、就職した企業等においてデータ入力の業務を行うなど、学習の成果が見られております。
一方、情報技術が日々めまぐるしく進化している現代社会においては、より一層、専門的な情報活用能力を身に付け、卒業後の進路につなげていくことは、障害のある生徒の自立と社会参加を目指す上で、今まで以上に大変重要であります。
このため、今後は、ウェブ・デザインの作成、ウェブ上でのアンケート調査の作成・分析、通信ネットワークの設計など、企業等のニーズに応えられる情報活用能力の育成を重点的に推進する学校を指定し、情報に関する専門科目や学校設定教科を取り入れるなど、教育課程の編成を柔軟に見直してまいります。
また、情報処理等の専門家を講師として活用し、プログラミングの発展的な学習としてロボットやスマートフォンアプリの開発、ドローン操縦など、生徒の興味・関心や希望する進路先に応じた多様な実践研究を進め、その成果を他の特別支援学校へも展開してまいります。
加えて、議員からご提案のありました、拠点校からのリモート配信による授業の実施につきましては、実践研究の一環として、拠点校に専門性の高い教員を配置し、当該校から他の特別支援学校にオンラインで授業を配信する取組を行いながら、一人でも多くの生徒の就職につながるよう、より高度な情報活用能力の育成を図ってまいります。
併せて、県立特別支援学校に配置している就労支援コーディネーターや進路指導主事等を中心に、企業等に生徒の障害の特性などを伝えるとともに、学校で身に付けたICTに関する能力などをPRすることで、一人一人の生徒の障害の状態や進路希望に応じた就職先を開拓してまいります。
県といたしましては、生徒一人一人のニーズに即した多様な学びに対応できる教育の充実に努め、自立と社会参加を一層促進してまいります。
【村本しゅうじ議員要望】
まずは、指定された中心校からチャレンジくださるとのことであり、大変に期待しております。希望される生徒が全員履修できるように、また、在宅でも履修できるよう中心校からリモートなどを活用した取組も併せてお願いいたします。
これ以外にも、多様な障がいに対応した将来の選択肢を広げるような履修テーマを知恵を出して広げていっていただきたいと思います。
このような取組が、障がいを持った方やその関係者の方々の生きづらさを少しでも緩和できることを期待いたします。
※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市