令和4年 第三回定例会 一般質問「新産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域との関わりについて 」

【村本しゅうじ議員質問】

新産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域との関わりについてお伺いいたします。

日立市では、令和3年8月に、「処分場はどこかに必要。循環型社会を日立市が担う」と苦渋の決断として、受け入れを表明し、その後、県では、新産業廃棄物最終処分場基本計画を策定し、本年4月に公表しました。

また、県はこれまで、住民の意見を踏まえた新設搬入道路の整備、交通安全対策、地域振興策の実施など「生活環境の向上に必要なインフラ整備や諏訪梅林などの地域資源を活用した周辺地域の整備など、地域振興につながる取り組みを進めていきます。」と表明しています。

私としても地域振興策は、大変重要な課題であると考えておりますが、県は(一財)茨城県環境保全事業団と日立市の3者で構成する会議体を設置して、協議を開始し、その中で、住民の要望を地元コミュニティ推進会に照会していると伺っています。地域振興策を取りまとめるに当たっては、是非とも住民の要望を反映していただきますようお願いいたします。

一方、現行のエコフロンティアかさまでは、県、茨城県環境保全事業団及び笠間市の3者に住民も加えて、4者協定を締結しています。このように住民が協議に直接加わることは大変に重要であり、新産業廃棄物最終処分場でも早急に必要であると考えますので、是非県主導で進めていただきたいと思います。

これに加え、地域振興策以前の課題として、建設工事で工事車両が往来する県道37号線の交通安全対策についても、危険除去の重要な課題であることから、県の責任としてその全容を早急に住民へ提示し、安心してもらうことが肝要であると思います。

さらに、前述の基本計画でも、併設施設として、環境学習施設の整備を検討するとされています。住民に対してもっと開かれた処分場とするために、地盤が強固であることも本地に最終処分場が設置される理由の一つであることや、非常用発電機や再生可能エネルギー発電も備える計画となっていることなどから、フェーズフリー、つまり平常時と非常時両方で活用できる施設とし、災害対応型の体育館なども併設しては如何でしょうか。いざという時に住民が安心して避難できるような頼りがいのある施設とすることが可能であると確信します。

新たな処分場では、現処分場と同様に、多重の遮水構造に加え、漏水検知システムを設置する計画となっています。現処分場において、漏水異常検知が発生したことはないと聞いていますが、万が一、漏水異常検知が発生した際の対策についても、検討して、マニュアルに反映させることが、住民の安全性向上につながります。また、施工管理における品質管理や工事中の地域の安全確保も大変に重要であり、その対応方針等住民の不安にきちんと答えるなど、最終処分場を設置・運営するにあたっては、地域におけるリスクコミュニケーションが大変重要と考えます。

以上を踏まえ、新産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域との関わりについて、知事に伺います。

【大井川知事答弁】

村本修司議員のご質問にお答えいたします。

 新産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域との関わりについてお尋ねをいただきました。

 産業廃棄物最終処分場の整備及び運営を円滑に進めていくためには、地域住民の理解と協力が不可欠であると認識しております。

そのため、施設周辺の生活環境の改善や地域の振興を目的とした事業を日立市と連携して実施していくこととしており、本年6月には、県、日立市、茨城県環境保全事業団の3者による「新産業廃棄物最終処分場整備に伴う地域振興等推進会議」を設置し、地域振興事業の事業主体や財源、事業内容等について検討、調整を進めているところです。

 7月には、地元であります諏訪、大久保、成沢、油縄子の4学区コミュニティの代表者等に対し、地域振興事業の考え方や今後の進め方についてご説明させていただきました。

 今後、地元4学区からの要望内容を丁寧にお聞きした上で、事業実施の可否を検討し、年内を目途に地域振興事業をまとめてまいります。

 また、処分場の整備にあたり、地域住民の皆様の理解を得るためには、施設の安全性とともに、施設整備・運営の透明性を確保することが重要であります。

 現処分場のエコフロンティアかさまにおいては、茨城県、茨城県環境保全事業団、笠間市、地元住民組織の4者により、「地域振興及び環境保全に関する協定」を締結し、その協定に基づいて、施設の維持管理の記録を公表するとともに、学識経験者や地元住民代表者などで構成する環境保全委員会へ報告し、意見交換を行うなど、透明性の確保を図っております。

 新処分場においても、施設運営や環境保全に関する責任の所在や、地域振興事業の実施を明確にするため、協定等を締結する必要があると考えております。今後、関係者の意向を踏まえ、内容等について調整してまいります。

 また、処分場の工事期間中の交通安全対策については、今後の事業進捗にあわせ、周辺の生活環境に極力配慮した工事計画を検討し、お示ししてまいります。

 処分場の整備については、安全を第一に考え、多重の遮水工を設けるなど、十分に配慮することとしておりますが、平常時に加え、緊急時にも、施設の管理や運営において万全な対応が図れるよう、取り組んでまいります。

 併せて、施工段階の品質管理につきましても、専門家に検証いただきながら、しっかりと対応していきたいと考えております。

 県としましては、事業主体である茨城県環境保全事業団と連携して、施設整備の進捗に応じて情報公開を行うとともに、モニタリングの手法など、環境保全対策の検討過程に地域住民の代表の方にも参画いただき、地域とのリスクコミュニケーションを図りながら、安全で信頼性の高い最終処分場の整備に全力で取り組んでまいります。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市