令和4年 第三回定例会 一般質問「デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成について 」

【村本しゅうじ議員質問】

 デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成について、お伺いいたします。

 世界の潮流は大きくデジタル化へ舵が切られておりますが、我が国においては、大きく出遅れているとの見方があります。

 雇用の環境についても、経済産業省においてデジタル人材が2030年に最大79万人不足すると試算しており、増加するデジタル分野の雇用ニーズに対応するには、茨城県においても、デジタル分野の業務で役立つスキルや知識の習得を促進すべきであると思います。

 デジタルに関するスキルは一種類ではなく、デザイン、クラウド、アプリ、データベース、サーバーセキュリティ、システム等多種多様であり、そして、初級者、中級者、上級者別等のラインナップを設けるなど、企業が求めるスキルニーズに応じた職業訓練が必要です。

 県では、県立IT短大における高度な訓練によりIT人材の育成を図っており、近年では、定員増やカリキュラムの見直しを行ったと伺っております。開校以来就職率100%を誇り、企業からも必要とされていることとは思いますが、デジタルスキルは日々進化します。企業のニーズをいち早く取り入れ、即戦力を排出し続けられるようにカリキュラムを設定していただきたいと考えております。

 また、デジタル分野は、製造、サービス等に比べると、リモートワークなど柔軟な働き方がしやすく、ICTによって、時間や場所を問わないテレワークは、ライフステージや生活スタイルに沿った柔軟な対応ができるため、女性の就労機会創出にも適したものであります。

 長引くコロナ禍で女性が大きく影響を受けていると言われており、国も今年4月に「女性デジタル人材育成プラン」を策定し、官民連携した取り組みを開始しており、茨城県においても、内閣府の女性活躍推進交付金等を活用した女性デジタル人材の育成に是非先駆的に取り組むべきと考えております。

 さらに、産業技術専門学院や生涯学習センターにおいては、再就職を目指す方々向けの職業訓練としてデジタル分野のコースも設定しており、女性が多く受講していると聞いております。しかし、育児や介護などの理由で家を空けるのが困難な方、決まった時間に出席できない方などにも受講しやすいものでなくてはなりません。例えば、受講者にPCなどのデジタル機器を貸与する、もっとリモートやeーラーニングでできる講座を設けるなど、利用者の目線に立ち多様性のあるコースを設定することにより、効果が増大し、裾野が広がるのではないでしょうか。

 そして、職業訓練の最終的な目標である就職をしてもらうために、キャリアカウンセリングや企業とのマッチングなど最後まできめ細かなサポートを行う、就職支援は絶対に必要ではないでしょうか。

 デジタルは今後ますます伸びていきます。企業の視点を考慮した講座を充実させていくことで、地域の産業をデジタルで底上げする必要があると思います。

以上を踏まえ、デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成について、今後どのように取り組んでいくのか、産業戦略部長にお伺いします。

【産業戦略部長答弁】

 デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成についてお答えいたします。

 デジタル技術の活用は、業務の効率化にとどまらず、新たな付加価値を持った商品・サービスの創出や、ビジネス機会の拡大に繋がるなど、本県産業の発展に欠かせないものであり、これを担うデジタル人材の育成は、大変重要であると考えております。

 そのため、県立IT短大では、定員を80名から120名に増員するとともに、情報漏洩防止技術など専門性の高い訓練を実施し、卒業生の9割以上が県内企業で活躍するなど着実な人材の輩出に繋がっております。

 また、広く県内のデジタル人材を育成するため、昨年度から、茨城大学と連携し、基本情報技術者の資格取得を目指す講座を実施していることに加え、今年度新たに、企業のニーズに応じてカリキュラムを設定する短期間の集中講座を設置し、企業在職者のスキルアップを支援してまいります。

 このようなIT短大の取組は、県内企業から高い評価をいただいておりますことから、今後更なる機能強化に向けて検討進めてまいります。

 加えて、県では、より高度なデジタル人材として、いわゆるデータサイエンティストの養成にも取り組んでおります。今後もこうした高度デジタル人材の育成を着実に進めてまいります。

 一方、我が国が直面している労働力不足を解消するには、女性をはじめ多様な人材の活躍が不可欠でございます。

 そのため、働く意欲や能力がありながら、育児や介護などで就労を諦めている女性の活躍を後押しするため、今年度新たに、議員ご指摘の国の交付金を活用し、テレワーカーとして在宅で働くための知識やデジタル技術の習得を目指す講座を開設いたします。

 また、女性の再就職支援といたしまして、就職支援センターの相談員によるきめ細やかなカウンセリングのほか、スキルアップが必要な方には、職業訓練を実施しております。

 育児に携わっている方が受講しやすいよう、託児サービスやeラーニングコースなどを設け、昨年度は介護やOAなど94コースを実施し、修了者の約7割が就職に結びついております。

 このうち、デジタル分野では、基礎的なパソコンスキルの習得に加え、今年度は、Webクリエイター等を養成する高度な訓練を17コース設置しており、今後も訓練内容の充実に努めてまいります。

 県といたしましては、時代の変化や企業ニーズに対応した、こうした取組を充実させていくことで、本県産業を支えるデジタル人材の育成にしっかりと取り組んでまいります。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市