「学校施設の安全点検について」  令和5年 第四回定例会 予算特別委員会

  • 学校における安全点検の現状

【村本しゅうじ議員質問】

 県内の公立学校における安全点検の現状についてお伺いします。

 消費者庁のデータによると学校の設備に起因する児童生徒の死亡事例は、2012年から2021年の10年で9件発生しているとのことです。

 また、死亡した事例以外の事故も2017年から2021年の5年間で103件発生しています。

 学校施設における安全点検は、「学校保健・学校安全管理の手引き」を参考に、学校保健安全法の規定により、学校毎に毎学期1回以上実施していると伺っています。

 この手引きにも、安全点検項目(例)が示されております。

 私もこの手引きを読みましたが、机・イスの破損、釘やビョウなどの突起物の確認など、大雑把な項目だけでも74項目あり、これを各学校で安全点検表に落とし込むのは勿論のこと、このほか、国から発出された指示文書をもとに、各学校に周知した事例も含め、安全性向上の取り組みは各学校に任されているとのことです。

 そもそも、教師不足で時間の無い教師が、毎期1回、釘の状況や設備の劣化状況などを十分にチェックすることが出来るのでしょうか。見てすぐにわかるような危険な釘であれば、すでに児童生徒がけがをしているリスクが高く、それ以前の兆候の段階で発見することが肝要となります。

そこで、学校における安全点検の現状について、教育長にお伺いします。

【教育長答弁】

 学校においては、児童生徒の学校生活における危険を早期に発見し、それらを速やかに除去することで、児童生徒の安全の確保を図るため、学校保健安全法により、毎学期1回以上、施設設備の安全点検を行うこととされており、本県の公立学校においても、全ての学校で安全点検が実施されております。

 通常、安全点検は、各学期の始めに行われるものですが、本県の公立学校では、約9割が毎月1回の頻度で点検を実施しており、特に小中学校においては、ほぼ全ての学校が毎月点検日を設けて取り組むなど、より安心安全な環境整備に努めております。

 なお、各学校で点検を実施するにあたっては、施設を日常的に使用し、よく理解している教職員が、子供の視点に立って行うことが重要であり、場所ごとにグループを編成し、ローテーションを組んで毎月点検箇所を変えるなど、より多くの眼で確認し見落としを防ぐことで、事故等の未然防止を図っております。

 また、今年4月には、他県で、児童が校庭に放置された釘で裂傷を負うという重大事故が発生しましたが、このような全国における重大事故については、本県における未然防止のため、国からの通知とあわせて、県においてもただちに対応策を示し、点検を徹底することで、児童生徒の安全確保に努めております。

  • 効果的な安全点検の実施

【村本しゅうじ議員質問】

 効果的な安全点検の実施についてお伺いします。

 各学校で作成している安全点検表は、項目が多くなればなるほどチェックの精度が低くなります。まず、リスクの高いものの優先度を上げて  チェックすることが、効率的且つ効果的です。不幸にも発生してしまった事故事例から反省点を抽出し、それをすべての教師が閲覧できる教育庁の情報プラットフォームに学校施設安全点検情報データベースとして掲載していただきたい。そして、且つ確実に各学校の安全点検表に反映したことを確認していただきたいと思います。

 多数のチェック項目と膨大な点検か所を抜けなく点検することは、多忙な教師にとって非常に困難であります。そこで、労働安全コンサルタントや技術士などの専門家など民間の専任チームを結成して、その専任チームに任せて県内の学校設備の安全点検を行っていただくことにより、安全点検の質と効率の向上を図り、教師の負担を軽減する必要があるのではないかと思います。その際に、毎日学校に居る教師の情報が共有される工夫も忘れてはなりません。

そこで、効果的に安全点検を実施するために、県としてどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。

【教育長答弁】

 学校の安全を確保するためには、実際に起きた事故の事例から学ぶことも重要であります。

 そのため、今後は、消費者庁の「事故情報データバンクシステム」や、日本スポーツ振興センターの「学校等事故事例検索データベース」などから、学校に関連する事故の情報を収集し、研修会を通して各学校に提供するとともに、県の教育情報ネットワークに掲載し、点検を強化してまいります。

 加えて、毎年行う学校保健・学校安全実態調査において、事故事例から得られた項目が安全点検表に反映されたうえで施設設備の点検を実施していることを確認するとともに、実施していない場合は、確実に点検を行うよう指導してまいります。

 また、学校における安全点検は、事故等の未然防止が最大の目的であるため、校内の危険箇所等を熟知している教職員が、組織的かつ計画的に行っております。

 しかしながら、専門家でないと金属疲労・腐食・亀裂等の状態を正確に判断できないこともあるため、点検を外部に委託することが効果的な場合もございます。

 現在、県内19の市町村では、遊具や体育設備の破損などによる重大な事故を防止するため、安全管理士や技術士等の専門家を活用して安全点検を行っております。

 そのほか、市町村の技術職員などが学校の点検に同行し、点検方法などを具体的にアドバイスしている事例もございます。

 県といたしましては、このような事故事例のデータベースの活用や専門家を活用した有効な取組を共有することなどにより、引き続き、効果的な安全点検の実施について各学校や市町村に働きかけ、子供たちが安心・安全に学校生活を送れるよう、安全管理の徹底に努めてまいります。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

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