令和4年 第二回定例会 一般質問/「障がいのある教員の採用について」
【村本しゅうじ議員質問】
次に、障がいのある教員の採用についてお伺いします。
障害者雇用促進法や差別解消法で障がい者の労働者としての側面からの支援や合理的な配慮の必要性が明確になりました。
中教審でも、インクルーシブ教育の推進や障がいを持つ教員の採用促進が謳われています。
しかしながら、世間一般として、障がいがあると、教員になるのは難しいと考えられてはいないでしょうか。
県の障がい者を対象とした選考を見ても、10名程度の枠に対して、合格者が半数にも満たない状況にあります。
原因には、身体的能力と業務遂行能力のギャップに対しての不安などで教員を目指すことをそもそも諦めてしまったり、教員を目指していても、教育実習先が見つけにくいなど、様々ある障壁により教員になることを断念してしまうことなどが考えられます。
まずは、現状を分析し、社会的障壁を取り除いていき、教員になれるんだと思ってもらえる環境を整備することが必要だと思います。
そのためには、実際に障がいを持ちながら働いている現役教員から情報を得るための実態調査が重要であり、苦労や喜びも含めて、得た情報について、ロールモデルとして子供たちをはじめとして広く県民に届けることも必要です。
障がいのある教員志望の学生をサポートするために、オンラインで現役教員への相談や学生同士の交流などができる取組も効果的ではないでしょうか。
障がいのある教員が増えることは、障がいのある児童生徒のロールモデルになるととともに、教員ができないことを児童・生徒が手伝うことで多くの気づきを与えることができ、インクルーシブ教育の面からの効果も期待できます。
また、第2次県総合計画では、「県民一人ひとりが未来に希望を持つことができ、自身のなりたい自分像に向かって一歩でも二歩でも近づいていけるよう、挑戦を続けられること」を幸せと定義し、その幸せを実現できる環境づくりを進めるとしています。
障がいがあるからといって困難な課題に挑戦する権利を奪ってはならず、共生社会の実現のためにも、教育の現場から進めていくことも大変意義のあることではないでしょうか。
以上を踏まえ、障がいのある教員の採用について、県の現状認識と今後の方針について、教育長にお伺いします。
【教育長答弁】
障がいのある教員の採用についてお答えいたします。
障がいのある子供とない子供が共に学ぶ、いわゆる、インクルーシブ教育システムの視点からも、障がいのある教員が身近にいることは、障がいに対する理解が深まるとともに、子供たちにとってのロールモデルになる効果が期待されるところです。
また、障がいの有無に関わらず、児童生徒自身が、望む職業や進路をあきらめずに目標とすることは、望ましい社会のあり方であると認識しております。
本県における障がいのある教員の採用につきましては、平成20年度採用から新たな募集枠を設け、平成25年度以降は10名程度に増やして、毎年、採用を進めてまいりました。
また、障がいの種類や程度に応じて、実技試験の全部又は一部を免除するほか、試験問題の文字の拡大、点字での出題などの配慮を行うことにより、受験しやすい環境づくりに努めてまいりました。
しかし、過去5年間の志願者数は、募集人数に満たない年が多く、今後、志願者を増やしていくためには、障がいがあっても教員として働くことができる環境を整備するとともに、積極的に情報を発信していくことが必要であると考えております。
このような中、県では、学校現場で勤務する障がいのある教員に対して、それぞれの勤務校において、さらに活躍できる場がつくれるよう配慮を行っているところです。
具体的には、ICT活用能力の高い教員の場合でございますが、一人一台端末を効果的に活用して授業を展開するほか、学校ホームページの作成などを担当しております。
また、英語力の優れた教員の場合では、子供たちのコミュニケーション力を高める取組や、日本語の習得を必要とする外国人の子供たちへの指導を担当しております。
さらに、障がいの程度に応じて、通勤方法や通勤時間を考慮して配置する学校を決めたり、チーム・ティーチングを行う教員を加配するなどにより、働きやすい環境づくりを進めてまいりました。
一方で、議員ご指摘のとおり、障がいのある教員一人一人の職場での支援ニーズなどを把握していくことは重要なことであります。
このため、学校に勤務している障がいのある教員へのアンケート調査を実施し、課題を分析することで、職場での支援のあり方や、受験しやすい環境づくりについて検討してまいります。
また、障がいのある方に対し実施している取組を、県教育委員会のホームページで紹介するなど、今後の採用における広報戦略に生かしてまいります。
このほか、教員の志願者を増やすためには、自分の将来の職業について考えはじめる時期の取組も重要となります。
このため、「教員になったきっかけ」や「やりがい」について教員本人から話を聞くことができる、中学生向けの教職セミナーの講師として、障がいのある教員を派遣するなど、ロールモデルとしての情報発信にも取り組んでまいります。
県といたしましては、障がいのある教員が、自信とやりがいをもって働くことができる職場づくりを実現するとともに、障がいのある子供たちも、将来教員を目指そうと思える環境づくりを推進してまいります。
【村本しゅうじ議員要望】
今回提案しました実態調査や中学部の生徒への啓発などを実施いただけるとのことであり、茨城県における障がい者の障壁の根絶が、教育現場から推進されることを期待いたします。
また、先日、「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が施行されました。その中で、「障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。」が要求されております。このような観点からも教育現場での見直しをお願いいたします。
※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市