令和4年 第三回定例会 一般質問「県立博物館に求められる役割と収蔵スペースについて 」

【村本しゅうじ議員質問】

 県立博物館に求められる役割と収蔵スペースについてお伺いいたします。

 本年4月に、博物館に求められる役割が多様化・高度化していることに対応することを目的として、70年ぶりに博物館法が改正され、博物館の事業に博物館資料のデジタル・アーカイブ化が追加されるとともに、新たな役割として「文化観光推進」に取り組むことが努力義務となりました。

 茨城県は、近代美術館やミュージアムパーク茨城県自然博物館をはじめ、6館の県立博物館を有しています。これまでも、各博物館において、地域との連携・協力の取り組みは行われてきたと承知しておりますが、先の博物館法改正の趣旨に則り、今後博物館が文化観光拠点施設としての役割をどう果たしていくのか、大変期待しているところです。県立博物館においては、法改正を機に収集・保管、展示・教育、調査・研究の本来の基本的機能に加え、文化観光推進などの新たな役割や博物館資料のデジタル・アーカイブ化や外国人への対応策について各館で規定し、ビジョン、目標とアクションを明確にして計画的に取り組むべきと考えます。

 また、博物館の現状抱えている課題に、収蔵庫不足があると言われております。日本博物館協会の調査によれば、2019年時点で全国の6割の博物館の収蔵庫がほぼ満杯状態とのことでした。収蔵資料は公共の財産であり、博物館を作った以上、永続性を担保するのは県民との約束であり、至急、本県における状況を調査し、中長期計画を立案して、収蔵スペースの確保を図るべきであると思います。

 本年春に県自然博物館で開催したコレクション展におけるアンケートでは、回答者880名のうち、「標本の大切さについて、理解できましたか」や「標本を未来に残すため、収蔵庫を増築する必要性を感じますか」という問いに対して95%以上がポジティブな意見を回答しており、ほぼ全員が収蔵スペースの必要性を理解している状況が明確になりました。

 私も先日、実際に現地を見せていただきましたが、通路や棚の天板と天板の間に板を渡して収蔵品を置いたりと現場で大変な苦労をされていました。毎年定期的に増加する収蔵品もあり、物理的に収蔵容量を超えるのは時間の問題ではないかと感じました。

 収蔵庫の増設には、十分な予算も必要となりますが、優先度の低いものは、近くの廃校跡などを活用するなどの知恵を盛り込むことも必要であると思います。

以上を踏まえ、これからの県立博物館に求められる役割を果たすために県としてどのように対応するのか、また、収蔵スペースをどのように確保していくのか、教育長にお伺いいたします。

【教育長】

 県立博物館に求められる役割と収蔵スペースについてお答えいたします。

 本県では、6つの県立美術館・博物館において、基本大綱や中長期計画を策定し、個々の特色を活かしながら、資料の収集・保管、展示・教育、調査研究等、博物館の基本的役割の充実に努めてまいりました。

 また、今般の博物館法改正を受け、今後は、文化観光推進など新たな役割についても担っていく必要があると認識しております。

 文化観光推進につきましては、県立歴史館や陶芸美術館において、これまでも、梅まつりや陶炎祭に合わせ、それぞれ魅力ある企画展を開催したり、自然博物館では、県内外から年間約40万人が来館し、休日は多くの親子連れで賑わうなど、文化観光拠点施設として一定の役割を果たしております。

 今後は、地域や関係団体との連携・協働をさらに深め、茨城ディスティネーションキャンペーンでは博物館の資源を活かした特別企画を計画するなど、観光振興や地域活性化等の幅広い役割を担ってまいります。

 また、博物館資料のデジタル・アーカイブ化につきましては、所蔵作品や資料の一部を各館のホームページ上で公開するとともに、コロナ禍を機に、展示風景や作品解説等の動画配信を行っているところでございます。

 今後は、資料のデジタル化をさらに進め、資料や展示室の3D映像化・高画質化、展示解説の多言語化なども検討し、デジタル・アーカイブ化事業の充実に取り組んでまいります。

 これらの取組につきましては、今年度、近代美術館と陶芸美術館で改訂作業を進めている基本大綱の中で、運営の基本姿勢や活動の基本方針等に盛り込むとともに、他館においても順次見直しを図ってまいります。

 次に、収蔵スペースについてでございますが、自然博物館をはじめ各館の収蔵庫の空きスペースに余裕がなく、収蔵スペースを早急に確保する必要があります。

 各館では、基本大綱等に収集方針を定め、資料の購入や寄付の受入れに際しては、専門家の意見を聴取しながら計画的に収集してまいりました。

 しかしながら、自然科学の分野では、調査資料を継続的に収集・分析する必要もあり、特に自然博物館の資料が増大しております。

 このため、速やかに収蔵庫内や館内の空きスペースの実態を把握し、収納棚の増設や空きスペースの収蔵庫への転用等を進めてまいります。

 このほか、廃校等を収蔵庫として活用している事例を研究し、温湿度管理や害虫対策の必要性の低い資料については館外の施設に保管するなど、新たな収蔵スペースの確保につきましても検討してまいります。

 県といたしましては、博物館の基本的役割の充実はもとより、法改正の趣旨に則り、これからの博物館に求められる役割をしっかりと果たしてまいります。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市