「県北振興チャレンジプランの改定方針について」令和5年 第三回定例会 一般質問

1 県北振興チャレンジプランの改定方針について【知事】

【村本しゅうじ議員質問】

まず初めに県北振興チャレンジプランの改定方針について伺います。

 県北振興は、茨城県において古くて新しい課題であります。

 高度経済成長期が終わりを迎える頃、急激な人口減少が進む過疎地域として、県北に対する取組の必要性が意識されはじめ、県では、平成18年に地域計画課の課内室を設置し、その後、県北振興課として独立させるなど段階的に県北振興に対する取組の強化を図ってきました。

 そして、大井川県政になり、まず、初めに県北振興課を局へ昇格させ、次いで県北振興チャレンジプランを県民に示し、日立市かみね動物園へのパンダ誘致、地域おこし協力隊の増強やロングトレイル、ガストロノミー、農業支援や産学官の連携など県北発展のための様々な施策を展開してきました。

 しかし、県北といっても、山間部、臨海部、工業地帯、農林地帯などの特徴やそれぞれの地域的課題の違う6市町から成っており、県北振興という一つの言葉では表現しきれません。

 例えば、人口構成や人口密度、隣接市町村との距離、産業構造、市町村内総生産など同じ地域としてくくれないくらいにバラエティに富んでおり、中でも、製造品出荷額は、大子町に比べ日立市は約85倍である反面、販売農家数は約半分となっています。

 この県北の振興の指針である県北振興チャレンジプランも令和6年度に向け改定を予定していると伺っています。

 この改定は、今後の県北振興を推進するうえで、非常に重要なものとなります。よって、先ほどのような県北の特色をよく分析し、踏まえた上で、県北の課題を深堀、明確化する必要があると思います。また、同時に、県北振興の定義となるそれぞれの地域のサブテーマを設定し、県北振興チャレンジプランのビジョンを示すことが必要ではないでしょうか?

 また、県北振興に特化した政策を打ち出せるのは、県北振興局のみであり、必要だと思う施策を他の部局へ指示する必要があります。

 例えば、臨海工業地域では、地元の中小製造業の振興策を中心に据え、産業戦略部他と協調して、フラグシップとなるようなプランに改定する必要があると思います。

 兎に角、各地域の課題、住民のニーズに直結した改定をお願いします。

 そして、指標の設定も非常に重要なポイントとなります。

 ともすれば、人口増減を指標にしたくなるところですが、人口増減には、様々な要因が含まれており、人口減少社会の中でこれにこだわるのは、あまり適切ではないと思います。

 そこで、人口動態の一つである交流人口や観光入込数を一つの参考指標にしてはどうかと思います。

 以上を踏まえ、県北振興の羅針盤としての県北振興チャレンジプランの改定の方針について、知事にお伺いいたします。

【大井川知事答弁】

村本修司議員のご質問にお答えいたします。

 県北振興チャレンジプランの改定方針についてお尋ねをいただきました。

 人口減少や高齢化が加速する中、県全体がバランスを持って将来にわたって持続的に 発展していくためには、地域ごとの特性に応じて、活力と魅力ある地域づくりに取り組み、人口の流出を食い止めることが、大変重要であると認識しております。

 このため、県では、全庁的な観点から県北地域の振興を図るため「県北振興チャレンジプラン」を取りまとめ、活力があり、持続可能な地域となることを目指し、前例にとらわれない新たな発想で、様々な分野の施策を推進してまいりました。

 議員ご指摘のとおり、県北地域にはそれぞれ地域特性があり、例えば、臨海部では、電気・機械などのものづくり産業が多くの付加価値を生み出しているほか、景観に優れた海岸線や豊富な漁業資源にも恵まれております。

 また、大子町などの山間部では、風光明媚な自然環境が広がり、農林業や観光業などが主要産業として、地域経済を支えているところであります。

 私は、こうした地域ごとに異なる強みや特徴を最大限に活かしながら、差別化を図ることにより活力を創出していくことが、地域の振興にとって必要不可欠であると考えております。

 そのため、次期プランにおいては、中長期的な観点からこれまでの施策効果を見極め、手ごたえがあった取組は引き続き推進していくなど、地域ごとの特徴と強みに応じた事業の選択と集中を図っていくことが重要であります。

 具体的には、臨海部においては、集積するものづくり企業の技術力を活かした、新たな事業展開を支援するため、海外への販路開拓を積極的に進め、旺盛な海外需要を獲得できるよう取り組むなど、強い製造業による、新たな産業振興を図ってまいります。

 一方、山間部においては、その特性を活かした収益性の高い農業を目指して、常陸牛のさらなるブランド力強化や、付加価値の高い有機農産物の生産拡大を図ることにより、強い農業への構造転換を進めてまいります。

 また、海や里山の美しい原風景など地域ごとの特徴を活かした観光振興を図るため、県北ロングトレイルのブランド価値向上を進めるとともに、サイクリングやキャンプなどのアウトドア資源も活用し、回復するインバウンド需要も見据えた賑わいづくりに、一層取り組んでまいります。 

 加えて、地域づくりの要は「人」であることから、起業型地域おこし協力隊や、アイデアソンなどの施策により生み出された、活力ある人材のネットワークを最大限活用しながら、意欲ある方々の取組を集中的に支援することで、市町による主体的な地域づくりを進めてまいります。

 こうした取組の推進にあたっては、部局横断的に多角的な視点からアイデアを出し合い、ブラッシュアップを図っていくことで、県民の方々がビジョンを共有できるプランにしていきたいと考えております。

 なお、「指標の設定」については、チャレンジプランの進捗状況を把握する上で有効であると考えますことから、県民にもわかりやすく、プランの目標をイメージできる指標を検討してまいります。

 県といたしましては、こうした考え方に基づき次期プランを改定し、市町の境界線にとらわれることなく、地域の特徴や強みを最大限に活かしながら、より広い観点に立って施策に取り組むことにより、県北地域はもとより県全体の発展を目指してまいります。

【村本しゅうじ議員質問要望

 県北振興チャレンジプランの改定の方針を答弁いただきましたが、日立市には茨城大学工学部があり、湿度スウィング式Direct air capture(DAC)という大気中の二酸化炭素を回収する技術の実用化が進められています。このような地域資源を活かしていくことも重要であると思います。

 時間はあるようであまりありません。正に県北を振興するプラン策定をお願いいたします。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市