「精神障がい者のマル福適用範囲の拡大について」令和5年 第三回定例会 一般質問
3 精神障がい者のマル福適用範囲の拡大について【保健医療部長】
【村本しゅうじ議員質問】
精神障がい者のマル福適用範囲の拡大についてお伺いします。
精神障がい者のための医療費の助成は、他の障害に比べて遅れていると言われておりました。こうした状況の中で、大井川知事就任後すぐの平成31年4月から精神障がい者保健福祉手帳1級保持者を対象にマル福が適用されました。これは、身体や知的等他の障がい者と同様に重度障がいを対象としており、所得制限の上限も比較的高目に設定されています。
一方、マル福は、重度障がいが適用範囲としていますが、重度障がい者の割合は身体が52%、知的が43%、精神は10%と大きく差があります。
また、精神障がい者の就労状況は、精神的な不安定さを抱えながら就労しており、ある程度は職場の理解を得ながらも、長く続かない現状があります。
それは、民間企業障がい者別雇用率にも表れております。民間企業に雇用されている障がい者の内訳は、身体56.3%、知的27.7%、精神16.1%となっており、精神障がい者の雇用率は低くなっているのが現状です。
このような状況から、重度ではない精神障がい者保健福祉手帳2級保持者の方であっても、継続的な就労が困難なために経済的な困難を抱えている方も多く、私にご相談をいただいた方も、虫歯になってもお金もなく、また、家族にも申し訳ないため、歯医者に行けないと訴えておられました。
誰も等しく福祉の恩恵を受けることが保証されるべきであり、医療費助成制度、所謂マル福を2級まで拡充することが必要ではないでしょうか。
完全拡充が難しい場合でも、経済的困難を抱えている方を重点的に支援するために、適度な所得制限、自己負担を設け、精神障がい者の健康福祉を守るためにも、精神障がい2級までマル福適用を拡充していただきたいと思います。
一方、精神障がい者は、このコロナ禍で進んだリモートワークによって、就労環境が改善され、人手不足の中で貴重な労働資源となっております。
有効な働き手として、活躍していただき、本県の労働人口の改善の観点からも、また、経済的困難を抱える方の健康福祉の充実は重要であると思います。
以上を踏まえ、精神障がい2級までマル福適用が必要ではないかと考えますが、保健医療部長にご所見をお伺いします。
【保健医療部長答弁】
精神障がい者のマル福適用範囲の拡大についてお答えいたします。
本県では、医療費助成制度、いわゆるマル福制度につきましては、限られた財源の中で、より支援が必要な方々に広く恩恵が行き渡るよう、制度設計をしております。
本県の心身障害者に対するマル福制度につきましては、身体障害者・知的障害者・精神障害者のそれぞれ重度の方を対象としており、保険診療における自己負担分を市町村が全額助成し、県はその対象経費の2分の1を助成しているものでございます。
精神障害者保健福祉手帳2級保持者へのマル福適用についてでございますが、障害の程度が中度である、手帳2級保持者を対象とすることにつきましては、身体障害者・知的障害者の方との公平性を欠くこととなります。
また、手帳2級保持者に対し本県のマル福制度と同様の医療費の助成を行っているのは、全国で8県のみという極めて少ない状況でございます。
さらに、マル福の対象となっていない中度以下の方も含めた心身障害者の医療費につきましては、国の自立支援医療制度により、精神障害者・知的障害者の方に対しては通院による精神医療費について、身体障害者の方に対しては障害を除去・軽減する手術などの治療費について、それぞれ原則として、自己負担3割のうち2割分の助成が行われております。
議員からは、民間企業に雇用されている障害者の中で、精神障害者の内訳が身体障害者・知的障害者と比べて低いとの御指摘もいただきましたが、そもそも精神障害者保健福祉手帳の保持者が、身体障害者手帳や療育手帳の保持者と比べて少ないことも一因と考えられます。
これらの状況を踏まえますと、手帳2級保持者へのマル福の適用につきましては、慎重な検討を要するものと考えます。
一方で、議員御指摘のとおり、精神障害者の方は、収入が少なく、平均勤続年数も短いことから、経済的に苦しい状況にあることも承知しており、また、精神障害者及びその家族に対する相談・支援活動を行っている茨城県精神保健福祉会連合会からも、手帳2級保持者へのマル福適用を早期に実現してほしいとの強い要望をいただいているところであります。
県といたしましては、手帳2級保持者へのマル福の適用につきまして、本県の財政状況、身体障害者・知的障害者の方との公平性などを勘案しながら、他県の事例も参考にしつつ、どのような対応ができるか、今後、検討してまいりたいと考えております。
【再質問】
精神障がい2級までマル福適用について、保健医療部長に再質問いたします。
県では、第2次茨城県総合計画の中で、障害のある人も暮らしやすい社会を目指し、障害者の自立と社会参加の促進や障害者の就労機会の拡大などの施策を展開していますが、障害のある人も暮らしやすい社会とは、障がいが理由で経済的な困窮にある人の特に健康に関する経済的な支援がわかりやすく一番必要な支援ではないかと思っております。
この第2次茨城県総合計画の政策8の障害のある人も暮らしやすい社会を実現するうえで、精神障がい2級までマル福適用は必要ではないかという観点で、再度保健医療部長にご所見をお伺いいたします。
【保健医療部長答弁】
県では、第2次茨城県総合計画の中で、障害のある人も暮らしやすい社会を目指し、障害者の自立と社会参加の促進や障害者の就労機会の拡大などの施策を展開しているが、障害のある人も暮らしやすい社会とは、障がいが理由で経済的な困窮にある人の特に健康に関する経済的な支援がわかりやすく一番必要な支援ではないかと思っている。
この第2次茨城県総合計画の施策8の障害のある人も暮らしやすい社会を実現するうえで、精神障がい2級までマル福適用は必要ではないかという観点で、再度保健医療部長にご所見をお伺いしたい。
(答弁要旨)
再質問にお答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、精神障害者の方(かた)が、収入が少なく、平均勤続年数も短いことから、経済的に苦しい状況にあることは承知しております。また、本県の財政状況、身体障害者・知的障害者の方(かた)との公平性などを勘案しながら、他県の事例も参考にしつつ、どのような対応ができるか、今後、検討してまいりたいと考えております
【村本しゅうじ議員質問要望】
よくよく実態を調査いただき、困難に対応したくても対応できない人々への支援をお願いしたいと思います。
※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市