「メタバースを活用した不登校支援について」令和5年 第三回定例会 予算特別委員会

4 メタバースを活用した不登校支援について

(1)これまでの不登校対策と効果

【村本しゅうじ議員質問】

 メタバースを活用した不登校支援のうち、これまでの不登校対策と効果についてお伺いします。

 不登校については、文科省は「不登校は問題行動ではない」との通知を出しており、社会においても、一つの選択肢として、認知が広がっています。

 要は、児童生徒の特性や状態によって、適切に選択できる環境が重要であり、行きたくてもいけない児童生徒に寄り添う必要があると思います。

 一方、何人たりとも置き去りにしない学びの補償の観点から、学校側としても学校で学んでもらえるような対応も大変に重要になると思います。

 これを踏まえ、県教育委員会としても、様々な対策を講じてきたと承知しておりますが、その対策と効果について、教育長にお伺いいたします。

【教育長答弁】

 お答えいたします。

 本県の不登校児童生徒数は、文部科学省が調査した2021年度の結果において、小学校で2,240人、中学校で4,171人であり、小学校で6年連続、中学校で9年連続の増加となっており、全国的にも同様の傾向にあります。

 このような不登校の状況に対し、県では、これまでに様々な取組を進めてまいりました。

 まずは、未然防止の取組として、児童生徒が安心して楽しく過ごせるような「魅力ある学校づくり」を推進してまいりました。

 具体的には、全ての児童生徒にとって分かりやすい授業を工夫するとともに、日々の授業や特別活動において、互いの考えや長所を認め合ったり生かし合ったりする取組を大切にすることで、全ての児童生徒にとって、「大事にされている」と実感できるような居場所づくり、集団づくりを進めております。

 また、教育相談体制の充実を図るため、全ての公立小中高等学校等にスクールカウンセラーを配置しており、児童生徒などから、年間

 4万3千件以上の相談に応じるほか、教職員に対する研修や保護者への助言を行ってきたところでございます。

 加えて、昨年度より、中学校において一人一台端末を活用し、生徒が相談したいと思う教職員に相談できる「校内オンライン相談窓口」の設置を推進しており、昨年度は約1,600件の相談に応じるなど、児童生徒が不安や悩みを気軽に相談できる環境づくりを進めてまいりました。

 今年度は、窓口の設置を小学校にも拡充しており、8月までに、小中学校合わせて約1,800件の相談に応じているところでございます。

 さらに、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す支援が求められており、多様な教育機会を確保することが必要であります。

 そのため、各市町村では、教育支援センターを設置し、不登校児童生徒の実態に応じた学習支援や教育相談等を行っており、昨年度は637人が利用しております。

 また、県では、2021年度からフリースクール連携推進事業を実施しており、不登校児童生徒に対して学習支援等を行うフリースクールへの運営費補助、並びに通所する児童生徒がいる経済的に事情のある世帯への授業料等補助を行っております。

 フリースクールに通う児童生徒は年々増加して昨年度は238人となり、多様な学びの場の一つとして、大きな役割を担っているものと考えております。

 併せまして、県では、昨年度からつくば市立谷田部中学校に校内フリースクールを設置し、不登校傾向にある生徒が安心して生活できる専用教室の確保と専任教員の配置を行うことにより、一人一人のニーズに応じた学習支援等を行っており、現在12人が利用しております。

 なお、今年度、つくば市においては、全ての中学校及び義務教育学校において校内フリースクールの設置を拡大しているほか、県では、坂東市立猿島中学校を新たなモデル校として、校内フリースクールの設置促進を図っているところでございます。

(2)メタバースを活用した不登校支援

【村本しゅうじ議員質問】

 次に、メタバースを活用した不登校支援についてお伺いします。

 スクールカウンセラーの配置やフリースクール連携推進事業などの数多くの施策を展開して、不登校対策を実施していただいております。

 一方で、児童生徒の置かれている環境や事情も様々で、全く学校に近寄れない児童生徒や保健室ならば行ける、大人に会いたくない、Webであれば参加できるなど、その児童生徒に合った対応ができることが理想的であると思います。

 そこで、県でも推進しておりますGIGAスクール構想やいばらきオンラインスタディ等を更に推し進めたオンラインでの学習支援の充実を図る必要があると思います。

 具体的には、インターネットの仮想空間「メタバース」上で自分のアバターを設定し、他の先生や生徒と音声や文字でつながり、先生が一緒に学習計画を立てたり、生活指導、教材の提供、受験指導などを行うもので、メタバース登校と呼ばれています。

 全国では、8つの自治体で導入の動きがあり、小学生62人、中学生61人が利用しているとの新聞報道もありました。

 校長先生の判断により、出席扱いとすることで、児童生徒の未来を開いていく取り組みであると思います。

 以上を踏まえ、メタバースを活用した不登校支援について教育長にお伺いします。

【教育長答弁】

 お答えいたします。

 埼玉県や広島県などにおいて、認定NPO法人カタリバが開設するメタバース空間を活用し、オンラインによる不登校支援を行っていることは承知しております。

 メタバース空間を活用した支援とは、オンライン画面上に二次元の学校が表示され、利用者が自分のキャラクターを操作して教室や相談室に入ることにより、そこに待機するスタッフと会話しながら、学習や相談などの支援を受けるものであると認識しております。

 なお、本県においても、来月には、小中高等学校の生徒指導担当教員と、市町村教育委員会の指導主事が参加する研修会において、メタバースの活用事例についてカタリバの職員から紹介いただく予定となっております。

 一方で、各学校や教育支援センターにおいては、1人1台端末を活用し、オンラインで授業配信を行ったり、面談を行ったりするなど、ICTを活用したアウトリーチ型の不登校支援を行っているところでございます。

 県といたしましては、今後とも、メタバースも含めた不登校支援の優良事例の情報について、各市町村教育委員会や学校に提供することにより、不登校児童生徒に対する多様な教育機会を確保することで、不登校児童生徒が自らの進路を主体的にとらえて社会的に自立することができるよう努めてまいります。

【村本しゅうじ議員要望】

 幅広いあらゆる手段を講じて、不登校支援をおねがいいたします。

 教育長ありがとうございました。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市