「道路維持に関するDXの推進について」令和5年 第三回定例会 予算特別委員会

5 道路維持に関するDXの推進について【土木部長】

(1)現在の取組状況

【村本しゅうじ議員質問】

 道路維持に関するDXの推進のうち、現在の取り組み状況についてお伺いします。

 橋梁やトンネルなどの道路インフラは、高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、一斉に老朽化しております。今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みといわれており、安全性への懸念が高まっています。

 一方で、今後益々厳しくなってくる財政状況下では道路の維持管理を取り巻く環境は厳しくなり、また、建設業の担い手不足や自治体の技術系職員の減少など、これまでと同様の管理方法では、維持管理が困難になってくることが予想されます。

 こうした中、県では、茨城県道路メンテナンスDX検討委員会を立ち上げ、道路の維持管理の効率化・高度化を図るため、維持管理のデータやデジタル技術を活用したDXの取組みを推進していると承知しています。

 そこで、道路の維持管理分野におけるDXの現在の取組状況について、土木部長に伺います。

【土木部長答弁】

 お答えいたします。

 道路の維持管理につきましては、道路施設の老朽化の進展に伴う維持管理コストの増加や維持管理を担う建設業の担い手不足などの課題が発生しております。

 これらの諸課題へ対応するためには、道路の維持管理においても、データやデジタル技術を活用するDX(ディーエックス)を進めていくことが有効な手段であると考えております。

 このDX(ディーエックス)の取り組みを推進するために、県では、2022年度に外部有識者からなる「茨城県道路メンテナンスDX(ディーエックス)検討委員会」から提言をいただき、それを踏まえ維持管理データの一元化を図るためのデータプラットフォームの構築や、道路施設の点検等における新技術の活用などを推進しております。

 まず、データプラットフォームにつきましては、職員と維持工事業者がクラウド上で道路施設に関する行政相談等の情報共有をリアルタイムで行えるものであり、昨年度、県内の全土木事務所及び工事事務所に本格導入し、2023年度は8月末時点で約5,000件の行政相談を登録しているところでございます。

 この導入により、行政相談の受付から対応方針の決定までの時間が約3割削減されたほか、蓄積された過去のデータを速やかに閲覧できるなど、業務の効率化が図られているところでございます。

 次に、新技術の活用につきましては、昨年度、橋梁点検においてドローン技術を活用するための指針を策定するとともに、関係機関と連携を図り、トンネルの点検における走行型画像計測技術を試験的に導入し、有効性などの検証を行っているところでございます。

 なお、これらの本県の取り組みについては、他県から視察の申し込みや問合せなどをいただいております。

 県といたしましては、これらの取り組みを引き続き進めてまいります。

(2)今後の展望

【村本しゅうじ議員質問】

 次に、道路の維持管理分野におけるDXの今後の展望についてお伺いします。

 県では、既存の維持管理データを利活用するためのデータプラットフォームの構築や橋梁点検における新技術の活用などに取り組んでいるとの答弁をいただきました。

 道路の維持管理のDXにおいて、例えば、民間企業では、車載カメラ・AI技術を活用して路面の損傷や劣化を診断する技術の開発が進んできています。

 また、その他にも、大阪大学などで開発中の0.1ミリメートルほどの薄さのシートを橋梁やトンネルの表面に貼り付け、鉄骨の腐食を検知する技術があると報道されています。これは、一度貼りつけると自動的かつ長期間計測できるもので、価格も高額ではないとのことです。

 また、情報システム会社のビプロジーなどは、スマホやデジカメで撮影した橋梁やトンネルの画像データをAIによって診断し、劣化状況や要員を色分けする技術を開発しています。

 そして、国交省では、効率的なインフラ点検技術の活用を自治体に促しており、茨城県において、持続可能な道路の維持管理を実現するためにも、このような新たに開発される技術をさらに積極的に導入し、DXをより一層推進していただきたいと思います。

 一方、市町村においては、道路の維持管理を担う職員の確保や負担増は県よりも大きな課題であると思います。

 市町村も県と同様に維持管理のDXに取り組むべきではありますが、取組みにあたっては、DXの分野で先行している県の協力が必要不可欠であると思います。

 そこで、道路の維持管理分野におけるDXの今後の展望について、土木部長に伺います。

【土木部長答弁】

 お答えいたします。

 道路の維持管理分野における新技術は、民間企業や研究機関などにおいて、AIを活用した道路施設の損傷状況を診断する技術や個々の部材の腐食や損傷を検知する技術など、様々な技術開発が進められているところでございます。

 これらの導入にあたりましては、委員ご提案の新技術を含め様々なものがありますことから、国土交通省の新技術情報提供システムの中に登録されている技術について、有効性や経済性などを考慮し、現場の特性に応じて、積極的に活用してまいりたいと考えております。

 また、市町村に対しましては、県の取り組みを紹介するとともに、現在、県で活用しているデータプラットフォームを使っていただけるよう働きかけてまいります。

 県といたしましては、引き続き、道路のメンテナンス分野におけるDX(ディーエックス)を推進し、道路の維持管理の効率化・高度化を図ってまいります。

【村本しゅうじ議員要望】

 私のもと居た会社には、開拓者精神というものがありました。最新技術を取り込むファーストペンギンになるというのは、行政としてメリットがないのかもしれません。しかし、我々の目的は、今後増大するインフラの維持費を抑えて、持続可能なものとすることであり、現在それができるのは、DXであることは明白です。つまり、県民にとっては大変なメリットとなるわけであり、知事の仰っている失敗を恐れずに最新技術を積極進取していただきたいと思います。

 土木部長ありがとうございました。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市