福島県大熊町立「学び舎ゆめの森」を訪問/自己マネジメント力を育む教育現場を学ぶ

村本修司議員は2月15日、茨城県議会公明党議員会の県外調査の一環として、福島県大熊町立「学び舎ゆめの森」を訪問しました。

東日本大震災により、大熊町の児童生徒は、会津若松市に避難し故郷を離れて勉学に勤しんできました。
2019年4月、町の一部地域で避難指示が解除され、大熊町は町内に新しい学校の建設を計画しました。2023年4月に、小中一貫の義務教育学校と認定こども園が一体となった「大熊町立 学び舎 ゆめの森」が開校。町立にあった2つの小学校(大野小学校、熊町小学校)と大熊中学校が統合して学び舎 ゆめの森が生まれました。
通学する子どもの数は31名。避難先の会津若松から戻った子どももいれば、関東や関西から家族とともにやってきた子どももいます。
建物内には認定こども園と学童保育施設も併設。0歳児から中学3年生にあたる15歳まで、町内のほとんどの子どもが平日昼間の時間をこの学び舎で過ごしています。

校舎は2階建てで、大きく11のエリアに分かれています。のびのび学び室…異なる学年の子どもたちが混じり合って学ぶ小学校エリア。ぐんぐん学び室…より専門性の高い探究の学びを行う中学生の学習エリア。どきどきアトリエ…創作工房、家庭科室、音楽科室、ランチルームを含めた創造と交流のエリア。さんさんアリーナ…体育館アリーナとサブアリーナの大小2つの運動場があるエリア。体育館は災害時には避難所としても活用できるよう設計されている。すくすく遊び室…年齢ごとに緩やかに分けた保育室を中心とした認定こども園のエリア。ぽかぽか広場…認定こども園と小学校エリアの間にある中庭。わくわく本の広場…学び舎の中央にある大きな吹抜けの図書ひろば。きらきらお話の庭…絵本コーナーを中心にした低年齢の子どもたちのための図書コーナー。にこにこサポータールーム…昇降口のすぐ横に設けたガラス張りの教職員スペース。るんるん対話の森…学校と民間による連携学習の場であり、創造性を育むグループ学習エリア。ふむふむ研究所…教科教室と展示ギャラリーを組み合わせ、探究から発表まで異学年で混ざりながら主体的な学習をおこなうエリア。すべてのエリアの名前に冠された、いわゆるオノマトペ(擬音語と擬態語の総称)は、子どもたちも意見を出し合いながら決められました。

企業の“フリーアドレス”システムのように、この学校には「自分の教室」がありません。子どもたちは登校するとまず「ホームベース」と呼ばれる共用のスペースに向かい、自分の荷物を置きます。その日の各時間割りの授業をどこでやるのか、決めるのは先生と子どもたち自身です。わくわく本の広場の一角やテラスなど、あらゆる場所が教室となり、自由な環境で授業が行われます。
また、学び舎 ゆめの森にはチャイムがありません。時間を知らせることで学びが中断することも、また間延びしてしまうこともなく、できる限り制約のない学び場がそこにはあります。

ゆめの森では、子どもたちの個性を伸ばすために、様々な取り組みを行っています。
◎各学年10名の少人数制で、一人ひとりの特性に合わせた指導
◎毎週金曜日は5年生から9年生が自分たちで時間割を決める
◎演劇を取り入れて、自己肯定感や表現力、協働力、創造力を養う
◎哲学対話を通して、自ら考え、対話する力を育む

ゆめの森は、今後も地域に根差した学校として、子どもたちが生き生きと学び、成長できる環境づくりを進めていく予定です。
村本議員は、夢の森の視察をとおして“自己マネジメント力を育む教育現場”を目の当たりにすることが出来ました。こうした教育施設を、県内に作ることは容易ではありません。しかし、こうした取り組みから得られる気づきや経験を、茨城の教育に活かすことが出来ると確信しました。

福島県大熊町立 学び舎ゆめの森
https://manabiya-yumenomori.ed.jp/