東京電力廃炉資料館、福島第一原子力発電所を現地調査

2月16日、村本修司議員は、東京電力廃炉資料館および福島第一原子力発電所を訪れ、廃炉作業の状況や処理水放出の設備の現状を調査しました。今回の主な調査箇所は、廃炉資料館、1~4号機俯瞰エリア、多核種除去設備(増設ALPS)、K4タンクエリア(測定・確認用設備)、ALPS処理水希釈放出設備眺望エリア、ALPS処理水希釈放出設備(緊急遮断弁2、放水立坑付近)などです。

2011年3月11日、マグニチュード9の地震が三陸沖を襲い、震源に近かった福島第1原子力発電所では、1号機、2号機、3号機が運転中でした。地震発生とともに核分裂を抑える制御棒が挿入され原子炉は自動停止しましたが、外部電源が喪失し非常用ディーゼル発電機によって、炉心冷却を継続しました。しかし、福島第一原子力発電所には、15メートルもの津波が襲来し、非常用ディーゼル発電機が水没したことによって全電源が喪失。燃料破損、水素発生、同時にメルトダウンが進行し、最終的には水素爆発へとつながっていきました。
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その後、事故対策を実施する中で、原子炉建屋内に流れ込んだ水や炉心冷却に使用した汚染水は、サブドレン設備やALPSで処理され、敷地内に大量に建設されたタンクに保管されています。ALPSとは、多核種除去設備のことで、その他に増設多核種除去設備、高性能多核種除去設備があります。
そのALPS処理水は、トリチウム以外の放射性物質は国の基準値以下となるまで除去しており、トリチウムも規制基準値以下となるよう海水で希釈して海洋放出が実施されています。ALPS処理水放出の際には、事前に分析を行いトリチウム以外の核種が告示濃度比総和が1未満であることを確認し、大量の海水で100倍以上に希釈し、トリチウム濃度が1,500ベクレル/リットル未満にして、1km沖合に放出しています。この放出設備は、測定・確認用設備、移送設備、希釈設備、放出設備から構成されています。設備の故障や停電などにより、放出の機能が発揮できない場合には、速やかに放出を停止できるよう緊急遮断弁が設けられています。放出量は、事故前の福島第一の放出管理目標値である年間22兆ベクレルの範囲内で放出する計画としています。放出後は、IAEAによる安全性レビューを受け、設備の安全性、放射線環境影響評価、環境モニタリングに問題が無いことが確認されています。
ALPS処理水放出は、2023年8月より実施されており、第1回7,788m3、第2回7,810m3、第3回7,753m3で合計23,351m3で、約3.2兆ベクレルのトリチウムが放出されたことになります。
現在までは、海域モニタリングの結果、トリチウム濃度が政府方針に基づく放出の基準値1,500ベクレル/リットルを下回っていることなどを確認されています。風評被害を低減するために、包括的海域モニタリング閲覧システムやALPS処理水を用いた海洋生物の飼育試験を行い、処理水が周辺環境に影響がないことを広報しています。今後は、2024年2月下旬から第4回放出を計画しているが、2024年度計画は別途提示されることとなっています。

今後も廃炉作業の進捗状況を注視し、県民の安全と環境保全に最大限配慮していくよう、東京電力や関係者に働きかけていきます。また、茨城県は東海第2発電所の再稼働の課題も抱えています。よりよき結論が出せるよう、県民のみなさの声を大事にして議論を深めてまいります。