「若年・高齢世代の融合した住みやすい県営住宅について」

令和6年 第二回定例会 一般質問

【村本しゅうじ議員質問】

 若年・高齢世代の融合した住みやすい県営住宅についてお伺いします。

 県営住宅の目的である健康で文化的且つ安定的生活の実現を目指すにあたり、若年世代や高齢世代ではそれぞれ異なる住宅に関する課題を抱えており、それに対して県営住宅の果たす役割は大きいと言えます。

 まず、若年世代、特に子育世代に関しては、経済的負担が少なく子育てしやすい住宅を求めております。そこで、子どもを見守りしやすいアイランドキッチンや安全性の高い浴室、転落防止柵の設置などの整備が望まれます。

 国も、「子ども未来戦略」の中で、子育てにやさしい住まいの拡充を推進することとしており、県営住宅においてこのような改修を行う場合について、半分を補助することとしています。

 また、高層階の上下階セットでの貸し出しにより、下の部屋のことを気にせずに暮らせるようにするなどの工夫も織り交ぜて、子育て世帯の利便性の向上を図っていただきたいと思います。

 是非、茨城県においても、このような子育て世代に寄り添った改修や貸し出し方法の工夫を行うことにより、居住性の向上及び少子化対策に大きく寄与すると考えます。

 次に、高齢世代は、体力や身体機能の低下への懸念があり、そのような方々が不自由なく生活できるよう、生活環境の整備も重要です。

 しかし、県営住宅は、必ずしも利便性の良い場所に立地しているとは限らず、商店、銀行、行政、医療や介護など生活に必要な施設から遠いところもあり、免許返納や地域交通の減便など徒歩圏内生活に必要な施設があれば暮らしやすいとの声を多く聞きます。

 これらの機能は、コンビニエンスストア等に集約していくことが可能です。

 笠間市では、市役所への相談等をオンラインで実施できる「汎用デジタル窓口」を搭載した「動く市役所サービス」を導入しており、今後、保健医療サービスへの活用や民間サービスとの連携等が検討されているようです。このような取組とコンビニエンスストアとを組み合わせることで高齢者も暮らしやすい県営住宅とすることが出来ると考えます。これらは所謂ケアコンパクトシティの一例といえ、今後の超高齢化社会には必要となるものだと思います。

 これ以外にも、低層階への入居希望や車いすに対するバリアフリー化などのニーズがあることから、1階の階段の段差解消や2階へのアクセスが容易な後付け可能な段差解消機の導入など更なる改善を図っていく必要があると考えます。

 そして、上層階には若年層、低層階へは高齢者層の入居を促進し、高齢者の見守りやゴミ出し、軽作業の支援など、若年世帯と高齢世帯が融合した住みやすい県営住宅を構築していただきたいと思います。

 以上を踏まえ、若年・高齢世代の融合した住みやすい県営住宅の構築について土木部長にお伺いします。

【土木部長答弁】

 若年・高齢世代の融合した住みやすい県営住宅についてお答えいたします。

 県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者を対象に、健康で文化的な生活を営むための

 住戸を提供することで、生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とした住宅でございます。

 あわせて、住宅セーフティネットの根幹にも位置付けられていることから、子育て世帯や高齢世帯など、特に配慮が必要な世帯に対して、的確に住戸を提供することが重要であると認識しております。

 県営住宅につきましては、本年4月現在、県内28市町村の155団地において約1万世帯の方に入居いただいており、全入居世帯に占める高齢世帯の割合は、入居世帯数が

 最大であった2007年当時に約1割であったところ、現在では約3割まで増加しており、高齢世帯の住環境の整備が求められております。また、少子化が進展する中、子育て環境の改善を図ることも重要であります。

 こうしたことから、県では、ハード面の取組として、外壁塗装や屋上防水など躯体の長寿命化を目的とした改修工事を行う際、子育て世帯や高齢世帯を含む入居者のニーズに合わせ、フローリング化による住戸内の段差解消や、階段等への手すりの設置といった改修を行い、安全性の確保を図っているところでございます。また、建て替えの際には、エレベーターやスロープなどの設置により、駐車場から住戸まで円滑に移動できるようバリアフリー化を実施しております。

 ソフト面の取組として、子育て世帯への支援としましては、子育て世帯のみが応募可能な住戸を設けているほか、一般募集において当選率の優遇措置を実施しております。

 また、高齢世帯への支援といたしましては、一部の県営住宅団地において、市町村の福祉部局と連携し、高齢者を団地全体で見守り、交流することなどにより、団地全体のコミュニティの活性化を図るシルバーハウジング事業を実施しております。

 さらに、一部の県営住宅団地において、自治会からの要望を踏まえ、食料品などの日常の買物が困難な入居者への支援として、市町村と連携し、民間事業者等が行う移動販売の受け入れを実施しているところでございます。

 なお、議員提案の県営住宅へのコンビニエンスストアの設置につきましては、法令上の整理や既存敷地を利用した場合の駐車スペースの確保、入居者の住環境への配慮、事業者の採算性の確保など、現時点での実現には様々な課題がありますことから、今後事例などの収集を行ってまいります。

 県といたしましては、若年世帯と高齢世帯が融合し、双方にとって住みやすい県営住宅の構築に向けて、ハードソフト両面からの支援に引き続き取り組んでまいります。

【村本しゅうじ議員要望】

 現在、我が国では孤立化が極度に進行しています。また、高齢者は老後の暮らしに大きな不安を抱えています。高齢者が安心して暮らせる社会こそが、少子化対策の大きな柱だと思います。部局を超えて、公営住宅から世代間の融合した街づくりをお願いします。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。

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