「いばらきパートナーシップ宣誓制度」の活用広がる
7月1日茨城県は、性的少数者(LGBT)のカップルを公的に認める「いばらきパートナーシップ宣誓制度」を開始しました。県に宣誓したカップルに対し、受領証を交付する取り組みで、婚姻関係とは異なり法的拘束力はないものの、県営住宅の契約などで家族と同等に扱われます。都道府県単位では全国初。県が旗振り役となり、多様性を認め合う社会が一歩前進しました。
「公的機関に関係性を認めてもらえることは、永遠にないと思っていた」――。パートナーシップ宣誓制度が始まった7月1日、晴れて“パートナー”となった二人は喜びを語りました。7月26日現在で10組がパートナーシップ制度(宣誓予約の2組を合わせ計12組)を利用しました。
対象は、20歳以上の県内在住者や転入予定者で、パートナーの両方かどちらかがLGBTであること、配偶者がいないことなどが条件となっています。希望者は、県担当課に連絡し、宣誓日時や会場を調整。当日、必要書類を持参し、県庁などのプライバシーに配慮した個室で県職員に宣誓すると、約1週間後に受領証が手渡されます。
この受領証は、二人がパートナーであることの証明となります。受領証を提示すれば、県営住宅の入居申し込みや、県立中央病院(笠間市)での手術の同意の際に家族として手続きが進められます。
茨城県は国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の「誰一人取り残さない」社会の実現をめざす方針を示しています。これに基づき、今年3月に男女共同参画推進条例を改正、性的指向や性自認を理由とする不当な差別的扱いの解消を明文化しました。LGBTの当事者や有識者と宣誓制度の導入に向けた検討を重ねてきました。
県内の自治体でも同制度の活用が広がっています。県の受領証があれば、水戸、笠間、常陸太田の3市がこの制度の適用を決めたことを明らかにしています。今後、不動産や生命保険業界など民間で同制度を活用する動きが広がる見込みです。
JA県厚生連(協同病院)と日本赤十字社県支部、県済生会(済生病院)が経営する県内各病院にも県と同様の取り組みを検討しています。生命保険協会県協会を通じては、配偶者と同様に保険金の受取人に指定できるよう会員企業に依頼する取り組みが行われています。
大井川知事は、民間での適用拡大の意義に触れ「県全体で差別のない社会をつくっていく一つの動きになることを期待している」と、記者会見で述べています。今後、携帯電話の家族割り引きや損害保険(自動車保険)での配偶者適用、クレジットカードの家族カード発行について、関係団体に働き掛けていく意向も示しています。
「全国へと広がる大きな一歩」県議会公明党も推進
全国組織のLGBT法連合会の神谷悠一事務局長は「大都市部とは違い、『LGBTの当事者なんているの』と言われがちな地方の自治体でパートナーシップ制度ができたことは画期的。全国へと広がる大きな一歩だ」と高く評価しています。
茨城県議会公明党は、パートナーシップ宣誓制度の導入を一貫して推進してきました。田村けい子議員が今年3月定例会で、他自治体の例を挙げ、宣誓制度の導入を提案したほか、八島功男議員も同定例会で「性的マイノリティー差別の解消に向けた施策を前向きに捉え、パートナーシップ制度の実施を決断すべきだ」と訴えていました。
「茨城県性的マイノリティに関する相談室」を開設
県内の性的マイノリティの当事者の方や家族、学校及び企業等で当事者に接する方などが抱えている不安や悩みなどの解消等を図るため、「茨城県性的マイノリティに関する相談室」が開設されました。
電話相談:029-301-3136
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