令和2年第2回定例会 一般質問「フレイル予防の推進と介護体制の充実について」

6 フレイル予防の推進と介護体制の充実について

【質問】

 フレイル予防の推進と介護体制の充実について伺います。

 フレイルとは,「要介護状態に至る前段階」として位置づけられ,自分ひとりで生活ができる状態と,介護が必要な状態の中間のことを言います。

 人生100年時代を迎え,国では,本年度からフレイル把握のための質問票として「後期高齢者の質問票」を策定し,後期高齢者を対象にフレイルに特化した健診を開始しました。

 フレイル予防は継続性が重要であり,意識の向上のため,県民が支え合い一緒に予防ができる仕組みが必要です。本県には,健康に関する財産として,昨年導入された健康づくりのアプリである「元気アっプ!リいばらき」や年間約56万人が実施するシルバーリハビリ体操の指導士会のネットワークがあります。

 「元気アっプ!リいばらき」は,登録者数約15,000人のうち60歳以上は2,300人です。更に登録者数を増加させ,フレイルに関するコンテンツを充実し,超高齢化社会において日本一幸せな茨城への大きな武器となる可能性があります。そして,シルバーリハビリ指導士会の協力を得て,体操教室でのフレイル予防への理解を推進することも有効であると考えます。フレイルを正しく理解し,共有するために「後期高齢者の質問票」やフレイル予防の重要性を,そうした機会を捉えて周知してはいかがでしょうか。

 また,若年層が可能な限り早くフレイル予防を始めることも大変重要であり,「元気アっプ!リいばらき」の更なる活用や,40歳以上が対象の特定健診と併せてフレイル問診を行うなど,早期把握への取り組みが必要です。加えて軽度認知障害,所謂MCIの早期発見に対して,県のイニシアティブに期待したいと思います。

 これ以外にも,未病の戦略的エリアの設定未病サポーターの認定等他県の良好事例もありますので,「健康日本一の茨城」の実現の為に,出来ることは何でも取り入れる積極的な対応をお願い致します。

 このように,予防のための取り組みは今後重要性を増すと考えますが,一方で,要介護となった方には,十分なサポートが必要です。国によれば,介護人材の需要は,2025年度末には約245万人とされており,約55万人が不足する見込みです。

 また,2019年度に策定された「健康寿命延伸プラン」に基づき,国や県で介護職員の確保や定着促進に様々な施策を実施していると承知しています。

 持続可能な介護サービスのためには,これらに加え,介護支援ボランティアの対象項目や対象年齢の拡充,介護のサポートが可能なシルバーリハビリ指導士の育成などが必要です。また,介護事業者の空き時間を活用した送迎事業所の空きスペースを利用した通いの場の確保など,民間の力を活かした活動を積極的に支援していく必要があると考えます。

以上を踏まえ,フレイル予防の推進と介護体制の充実について,保健福祉部長に伺います。

【答弁】

 フレイル予防の推進と介護体制の充実についてお答えいたします。

 まず,フレイル予防の推進についてでございます。

 フレイルを予防する上で欠かせないこととして,「栄養」「運動」「社会参加」が挙げられており,この3つの要素は相互に影響していることから,これらを総合的に捉え対策を講じる必要があると考えております。

 県では,楽しみながら継続的に健康に関する意識が高められるよう,運動・健康・食生活・コミュニケーションの4区分の活動を認証しポイントを付与する公式健康アプリ「元気アっプ!りいばらき」の運用を進めているところですが,本アプリでは,この3つの要素を一体的に推進されることから,フレイル予防にも資するものであると考えております。

 一方,健康づくりを意識した生活習慣は,一朝一夕に身につくものではなく,若い時からの意識づけ,そして,継続して取り組むことが極めて重要です。

 このため,アプリの情報提供欄を活用し,若い時からの健康づくりが壮年期,高齢期の健康状態に与える影響や,フレイル予防との関連性などについて周知してまいりますとともに,アプリ上でのイベントなどを活用し,利用者の健康づくりへの取組みの継続を支援してまいります。

 シニア層に対しましては,シルバーリハビリ体操教室において,昨年度から導入した「健康紙芝居」により,フレイルの原因やバランスのとれた栄養摂取や適度な運動等の予防対策について,参加者に分かりやすく伝えることで,フレイル予防への理解促進を図っているところです。

 しかしながら,新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための取組の中で,シルバーリハビリ体操教室の開催や,高齢者の外出が困難になっているため,運動不足や社会参加の機会の減少などによりフレイルに陥る高齢者の増加が懸念されております。

 今後は,高齢者にも取り組みやすい体操や,フレイル予防につながる食事の調理方法などを動画配信するとともに,集まらなくても顔が見ながら情報交換が可能なテレビ会議などを活用した「つどい」の場を増やすなど,新たな手法を取り入れながらフレイル予防を推進してまいります。

 次に,介護体制の充実につきましては,介護人材を確保するため「参入促進」,「資質の向上」,「労働環境・処遇の改善」の3つの視点から様々な取組を進めているところでございます。

 特にシニア層の参入促進の取組といたしましては,昨年度から介護補助者としてベットメイクや見守りなどの介護周辺業務をシニア層に担ってもらう事業を新たに開始したところでございます。

 こうした事業に加えまして,自らの介護予防のためにボランティア活動に参加したことがポイント化され介護保険料に還元できる「介護支援ボランティア制度」の有効活用事例を,市町村や社会福祉協議会,シルバーリハビリ体操指導士会等の関係団体へ紹介し,住民主体のボランティア活動が活発化するよう努めてまいります

 県といたしましては,「健康長寿日本一」を目指し,若い世代からの健康づくりの取組みや,フレイル予防を推進するとともに,介護体制の充実を進めてまいります。