令和4年 第二回定例会 一般質問/「モザイク型就労による高齢者の就業支援について」

【村本しゅうじ議員質問】

 次に、モザイク型就労による高齢者の就業支援についてお伺いします。

 茨城のみならず、日本社会において、高齢化は避けがたい現象であり、乗り越えていかなければならない課題であります。

 この高齢化の中で、高齢者の労働への参加は年々増加しているものの、高齢者向けの仕事が欲しいとの声を多くいただいております。

 その背景には、勤務日数や勤務時間、業務内容など、労働条件の不一致による雇用のミスマッチがあるものと思われます。

 フルタイムの就業であれば、いばらき就職支援センターにおいて斡旋しており、就労者の状況を丁寧に聞き取って、企業とのマッチングを図って効果も上げていると伺っています。

 一方で、高齢者の労働に対するニーズは、やりがいや体調に合わせた働き方、介護との両立など個人差が大きく、多様化しています。

 高齢者は、経験も多種多様であり、その潜在力は計り知れないものがありますが、現状の求職活動では、中々ニーズとシーズが合致していないのが現実です。

 そこで私は、「モザイク型就労」を導入し推進することを提案したいと思います。モザイク型就労とは、仕事を細分化し、高齢者が求める個々の時間や場所、スキルをモザイクのように寄せ集めて、1人分の労働力として形成するものです。

 マッチングに難しさはあるものの、既に、東京大学においてAIジョブマッチングアプリが開発されており、熊本県や福井県など、導入する自治体も増えてきています。

 企業は魅力ある労働力を確保でき、高齢者は自らのスキルや経験を活かして、働きたい時に働きたい場所で働くことが可能になり、社会的メリットは大きいものと考えます。

 以上を踏まえ、働き方の多様性が求められる中、モザイク型就労システムの活用をはじめとした高齢者の就業支援に、今後どのように取り組んでいくのか、産業戦略部長にお伺いします。

【産業戦略部長答弁】

 モザイク型就労による高齢者の就業支援についてお答えいたします。

 少子高齢化の進展に伴い、生産年齢人口の減少が中長期的にも避けられない中、県内産業の持続的な発展のためには、議員ご提案の「モザイク型就労」など、高齢者の多様な働き方の実現にしっかりと取り組むことが大変重要であります。

 令和元年度の国の調査では、高齢者が就労を希望する理由として、収入面以外にも、仕事が面白い、自分の知識・能力を活かせる、健康増進などの積極的な理由が挙げられており、高齢者の就労促進には余地があると考えられる一方で、就職していない理由として、求人年齢の制限や、職種、勤務地、時間のミスマッチが挙げられております。

 そのため、県では、働き方改革に先進的な事業者をモデルケースとした意識啓発に取り組んでおり、例えば、午前中のみや週3日の勤務を導入し、高齢者の活躍に繋がっている事例など、優良事例の浸透に努めるとともに、業界団体に対して自主的な目標設定を促すことにより、広く県内事業者の幅広い人材確保を後押ししてまいります。

 また、県内6か所の就職支援センターでは、求人企業が高齢者のスキルや経験を積極的に活用できるよう、柔軟な雇用形態の導入や、業務内容の細分化を提案するなど、高齢者のニーズに即した多様な働き方の導入を促してまいります。

 さらに、議員ご提案のAIマッチングアプリの活用は、求職者の強みを活かした就労の更なる活性化に繋がる可能性がありますことから、導入自治体での効果や課題の検証結果など、その動向を十分に注視してまいります。

 なお、高年齢者雇用安定法の改正に伴い、昨年4月から新たに、全ての事業者に70歳までの就業機会の確保について努力義務が課されており、県としましては、茨城労働局との連携の下、制度のさらなる周知や丁寧な相談対応に努めるとともに、国の支援策の活用を促し、県内事業者の就業体制の見直しを促進してまいります。

 こうした取組に加え、高齢者の活躍を一層後押ししていくためには、高齢者の希望や適性を踏まえたスキルアップや就労支援、これまでの知識や経験を活かせる県内事業者の開拓強化にも取り組む必要がございます。

 そのため、県では、就職支援センターの相談員が、適性診断や面接指導などのきめ細やかな支援を実施しており、昨年度は、65歳以上の相談者272名のうち71名が、機械加工や調理など、経験を活かした就職を実現するとともに、28名が、介護や建設などの職業訓練を受講し、11名の就職に結び付いております。

 また、昨年度、茨城労働局と連携して開催した高齢者向けの就職面接会には、58名が参加し、8名の内定に結び付いておりますが、面接会の参加者からは、より多くの業種から話を聞きたいとの声もありましたことから、さらなる事業者の掘り起こしを進めるなど、今後とも、求職者に寄り添った支援に努めてまいります。

 さらに、各市町村のシルバー人材センターでは、地域貢献や仲間づくりを重視し、短時間での就労を希望する高齢者を支援しておりますことから、関係機関で緊密に連携し、センターの強みを活かした一層効果的なマッチングや、広報活動の強化に努めてまいります。

 県といたしましては、こうした取組により、高齢者のニーズを踏まえた多様な就労機会の確保にしっかりと取り組んでまいります。

【村本しゅうじ議員要望】

 まずは、いばらき就職支援センターでモザイク型就労を実践していくとのご答弁であったと思います。まだまだ、モザイク型就労は認知度が低く、企業側、労働者側双方のニーズを集めて、実効性を高めることが、一番肝要であると思います。そして、農業分野なども有力な候補であると思います。また、更に発展させるためには、NPOなどの民間の力の活用も重要になってくると思いますので、その育成もお願いいたします。これからの取り組みに大いに期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市