令和4年 第二回定例会 一般質問/「県営住宅における団地コミュニティの活性化について」

【村本しゅうじ議員質問】

 次に、県営住宅における団地コミュニティの活性化についてお伺いします。

 県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃の住宅を供給することにより、県民福祉に寄与することを目的とされています。

 「住宅セーフティネット法」による整備も進み、県営住宅は、今後ますます住宅セーフティネットの中核としての役割が期待されています。

 現在の県営住宅を取り巻く環境は、建設後概ね 50年が経過し建替えの時期を迎える住宅が急増するとともに、賃料の未払いの増加、20%程度で推移している恒常的な空き住戸など、様々な課題を抱えています。

 県では、県営住宅長寿命化計画を策定し、ハード面は整備方針が示されていますが、ソフト面の対策も急務であると考えます。

 特に、居住者の高齢化がこの10年間で2.5倍に急増し、それと連動して、県営住宅における子育て世代や若い世代が減少しており、自治会活動の担い手が不足するなど、団地コミュニティ力の低下が懸念されています。

 県民が健康で安心して住み続けられる県営団地を目指すためにも、団地コミュニティの活性化や住みやすさなど、ソフト面の改善に向けた取組を進める必要があると考えます。

 そのような中、神奈川県では、大学と連携し、学生の入居による団地コミュニティの活性化につなげる取組を実施しています。

 月5千円程度の家賃で入居してもらう代わりに、草刈りや清掃、お祭りへの参加など自治会活動に積極的に参加をしてもらうことになっており、学生にとっては、福祉・医療関係の専攻に資するフィールドでの経験など、家賃以外のメリットもあり、WinWinの関係を構築しています。

 先日、県内の複数の大学関係者の所に伺ってお話をしたところ、地域とのコミュニケーションに興味のある学生もおり、面白い政策であると仰っていました。

 加えて、神奈川県では、県営住宅健康団地推進計画を策定し、団地の空き施設に民間事業者を誘致して、診療所やコミュニティ活動拠点を整備したり、子育て世帯向けの住戸用として、思い切ってリフォームする住戸を増やすなど、ソフト面につながる取組も推進しています。

 このような団地コミュニティの活性化に資する取組は、高齢者をはじめとする入居者の不安軽減や孤立化の防止に加え、県営住宅が抱える様々な課題解決につながる試みであります。本県においても是非とも取り入れ、誰もが住んで良かったと思えるような県営住宅へと再生していただきたいと思います。

 以上を踏まえ、団地コミュニティの活性化など、県営住宅におけるソフト面の今後の改善策について、土木部長にお伺いします。

【土木部長答弁】

 県営住宅における団地コミュニティの活性化についてお答えいたします。

 県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者を対象に、健康で文化的な生活を営むための住戸を提供することで、生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とした住宅でございます。

 あわせて、住宅セーフティネットの根幹にも位置付けられていることから、住宅の確保に配慮を要する世帯への住戸の提供を積極的に行っているところでございます。

 令和4年4月現在、県内28市町村に157団地の県営住宅があり、約1万世帯の方に入居いただいております。

 入居世帯の構成といたしましては、全体の約3割が高齢者世帯であり、障害者、母子父子世帯などを加えた要配慮世帯の入居割合は、全体の約7割となっているところでございます。

 県営住宅の入居者には、団地内の草刈りやごみ置き場の清掃など自治会活動を通じて、団地内における住環境の維持管理の一翼を担っていただいております。

 しかしながら、草刈りや清掃活動に参加しない入居者が増えており、個人への負担が大きくなっていることから、これらの維持管理を県で対応してほしいとのご意見やご要望が寄せられるなど、団地コミュニティの意識が低下している事例が散見されております。

 団地コミュニティの意識が低下すると、自治会活動が衰退し、敷地内の雑草が伸び、ごみ置き場から悪臭が発生するなど、景観や衛生面での住環境を悪化させるとともに、隣人との交流が希薄になり、空き巣被害の発生など防犯上も悪影響を及ぼす恐れがあることから、管理者である県といたしましても、団地コミュニティの維持、活性化が必要であると考えております。

 このため、県では、市町村の福祉部局と連携し、高齢者を団地全体で見守り、交流することなどにより団地全体のコミュニティ活性化を図るシルバーハウジング事業や、障害者グループホームへ住戸を提供し、自治会活動に参加してもらうことで団地コミュニティの維持を図るための取組みを行っております。

 加えて、地元大学生によるボランティアサークルや市町村教育委員会が運営主体となり、団地内等の子供を対象に学習支援教室の場として集会場を提供するなど、地域のニーズに合せて、住戸や施設を提供する取組みなども行っております。

 こういったソフト面での様々な取組みを継続することで、団地コミュニティの維持、活性化を促してまいりたいと考えており、議員ご提案の、大学との連携によるコミュニティの活性化につきましても、大学の意向や大学周辺の賃貸物件の実情なども考慮したうえで、先進事例等を参考にしながら検討してまいりたいと思います。

 県といたしましては、コミュニティの活性化に配慮しながら、良好で持続可能な住環境を確保するため、建物の老朽化に対応した長寿命化工事や住戸改善を実施するとともに、適切な県営住宅の管理、運営に努めてまいります。

【村本しゅうじ議員再質問】

 土木部長に対し、ただ今の答弁の県営住宅における更なるソフト面の改善について、再質問をします。

 先にも述べましたように、ハード面だけでなく、ハード・ソフト両面の視点での改善が必要だと思っています。茨城県も「健康長寿日本一」を掲げて活動しておりますが、神奈川県が策定した「県営住宅健康団地推進計画」のような計画が本県にも必要だと考えますが、県の方針をお伺いします。

【土木部長再答弁】

 再質問にお答えいたします。

 神奈川県では、小さな町や村に匹敵するような千戸を超える県営住宅団地が数多くあるほか、県営住宅入居者の高齢化率が約45パーセントと県全体の高齢化率と比べて高くなっており、県営住宅における高齢化の進展が問題になっていると聞いております。

 一方で、本県の県営住宅は、小規模団地が多いことや県全体の高齢化率とほぼ同水準であるなど、神奈川県と状況が異なっているものと認識しております。

 こうした状況なども踏まえながら、県営住宅としてどのような対応が可能であるか、他県の取組みなども参考に、検討してまいります。

【村本しゅうじ議員要望】

 更に、高齢化社会への対応を考えた場合、高齢者が歩いて生活できるよう県営住宅の周りに生活に必要な施設を誘致したケアコンパクトシティのモデルとなるような取組も必要だと考えます。このように、高齢化社会を見据えた街づくりは、住宅だけで解決するものではなく、福祉、産業、教育、子ども政策等幅広い分野での連携が必要だと思います。

 困窮者に寄り添い、地域の住宅セーフティネットの中心となれるよう、これからも日々野心的に改善を図っていただきたいと思います。

※本内容は、原稿や動画を基に作成しております。正式には、議会の議事録を参照ください。 #茨城県議会 #日立市