令和3年 第二回定例会 予算特別委員会「若年層等の配慮が必要な消費者の保護について」
【村本しゅうじ議員質問】
(1)配慮が必要な消費者の保護の取り組み
次に、若年層等の配慮が必要な消費者の保護についてお伺いいたします。
まず、配慮が必要な消費者への保護の取り組みについてであります。
長期化するコロナ禍の中、それに関連する給付金やマスク、ワクチン等に関する詐欺やトラブルが発生しております。
これらを未然に防止するためには、若年層や高齢者、障がい者、外国人といった、特に配慮を要する消費者に対して、消費者被害のリスクを認識してもらうとともに、万一被害に遭った場合の早期発見や被害拡大防止を図るための取り組みが重要と考えます。
具体的には、県や市町村による消費生活相談体制の強化・充実、教育機関等との連携や見守る人への適切な消費者教育の取り組み、そして幅広い周知・広報活動が挙げられます。県内では、全ての市町村で消費生活相談センターや相談窓口が設置され、学校等との連携や見守りの取組が幅広く展開されていると伺っております。
例えば、私の地元の日立市では、週6日、消費生活センターによる相談窓口が開設され、市の広報誌への相談事例の掲載や中学生向けの消費者教育冊子による教育など、熱心な取り組みがなされております。
このように、先進的な取り組みを共有し、取り組みが遅れている市町村を、県でバックアップする必要があると思います。
また、コロナ禍の中、非対面型の相談形式の導入や多様化する課題等、潜在的な消費生活相談のニーズがあるのではないか、と考えております。
そこで、今後、そうした課題の解決に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか、県内市町村の状況と併せて、県民生活環境部長のご所見をお伺いいたします。
【県民生活環境部長答弁】
まず、配慮が必要な消費者の保護についてでございます。
県民の消費生活の安全を確保するため、現在、県及び各市町村の消費生活センター等においては、架空請求や悪質な訪問販売等、年間約2万5千件の相談に対応しております。
相談者の年代につきましては、約半数が60歳以上であり、若年層については、20歳未満が約2.6パーセント、20歳代が約7.4パーセントで、人口割合に比べ、相談件数は少ないものの、近年、増加傾向にあります。
委員ご指摘の高齢者や障がい者など、配慮が必要な消費者の保護につきましては、市町村及び福祉・医療関係者、警察や自治会等が連携した「見守り活動」を促すとともに、法に基づく「消費者安全確保地域協議会」に関する情報提供などを行っているところでございます。
この地域協議会は、高齢者、障がい者、認知症等により判断が不十分となった消費者の被害を防ぐため、地域での見守り活動を法定化したネットワークです。
関係者間で情報を共有できることから、消費者被害の早期発見及び拡大防止に効果があると考えられます。
また、若年層向けには、学校等と連携した消費者教育や、各種広報媒体による啓発等を実施しております。
一方、市町村の消費生活センター等の状況を見ますと、週4日以上窓口を開設している39の市町村に対し、5つの町が週1日以下であるなど、市町村によって、ばらつきがございます。
この5町では、相談開設日が少ないため、県が町に代わって相談に対応する割合が、約78パーセントと、県平均の21パーセントを大きく上回っております。
人口千人当たりの相談件数を見ても、県平均の8.6件と比べ、4.5件と低い状況にあります。潜在的な相談ニーズに十分に対応できていないと考えられます。
このため、この5町における相談体制が早期に整うよう、期間を限定した相談員の派遣や、昨年度整備した、県と市町村とを結ぶ、ウェブカメラを活用したリモート相談の実施などを検討しているところです。
あわせまして、委員ご案内の日立市をはじめ、県内には先進的、特徴的な取組を進めている市町村がいくつかありますので、それらの事例を広く紹介することで、県全体のレベルアップを図ってまいります。
県といたしましては、こうした取組により、県内どこに住んでいても質の高い相談が受けられ、安心して暮らせる生活環境づくりを進めてまいります。
【村本しゅうじ議員質問】
(2)成年年齢引き下げを目前に控えた若年消費者教育
次に、成年年齢いわゆる成人年齢の引き下げを目前に控えた若年消費者教育についてお伺いいたします。
2022年4月1日から、民法上の成年年齢が現在の20歳から18歳へ引き下げられます。このことに伴い、若者を中心として、様々な場面で変更が発生しますが、中でも、契約に関しての変更についての影響が大きいと思います。
具体的には、自分名義のクレジットカードが持てる、ローンが組める、部屋の賃貸借契約ができるなど、親の同意がなくても自分で契約できるようになります。
このため、これまで未成年者取消権が認められていた18歳、19歳の方は、これが認められなくなります。
消費者庁の調査によると、美容医療や情報商材の消費者トラブルの4割以上が20歳代であるとのことであります。
また、国民生活センターが2008~17年度に、20~22歳より受けたカードローンや消費者金融などに関する相談は計約9,600件。18~19歳の約600件の約16倍となっており、成年年齢が下がれば、18~19歳の相談が増えるのではないかと私は大変懸念しております。
まずは、社会全体で、成年年齢引き下げに伴う消費者トラブルのリスクを認識していく必要があり、これには、社会、家庭、学校の様々な場面で教育・啓蒙をしていくしかないと思います。
そこで、こうした消費者トラブルの発生を防ぐためには、若年層への啓発、特に成年年齢引き下げを目前に控えた高校生等に向けた取り組みが重要だと考えますが、県における消費者教育の現状と、今後どのように充実させていくのか、県民生活環境部長にお伺いいたします。
【県民生活環境部長答弁】
来年4月からの成年年齢の引き下げに伴い、18歳から、クレジットカードや携帯電話、部屋の賃貸借などの消費者契約が締結できるようになる一方、親権者の同意を得ずに締結した契約を取り消せる「未成年者取消権」が行使できなくなります。
18歳で成人になりたての若者は、社会経験が少ないことなどから、悪質な業者に狙われやすく、消費者トラブルが懸念されます。
このため、これまで以上に、若年層への消費者教育が重要になるものと認識しております。
まず、高校生に対する取組です。
消費者庁が作成した教材を活用し、契約に関する基本的な考え方や、契約に伴う責任を理解させるとともに、身近な契約等を通じて、社会において消費者として主体的に判断し、責任をもって行動できる能力を育む授業を、昨年度、全ての県立高校に広げたところでございます。
また、県の消費生活センターでは、「消費者教育啓発員」として教員OBを配置するとともに、相談員OB等を「消費者教育講師」として登録し、学校等に派遣する「出前講座」を推進しております。
昨年度は、県内の高校で計14回、「成年年齢引き下げに伴うトラブル等に関する講座」を実施いたしました。
さらに、教員に向けても、「消費者教育講座」を実施しており、教材の活用法や授業の構成等をテーマとしたワークショップ等を通じて、授業の充実に向けた支援を行っているところでございます。
なお、県立高校においては、今後の取組として、消費者庁が公開している身近な契約のチェックポイントなどをまとめた啓発動画等について、一人一台端末を活用して、学校の授業外でも学習できる機会を提供していくと聞いております。
次に、高校以外での若年層への取組についてです。
消費生活センターの出前講座では、昨年度、県内の専門学校や、企業の新人研修等で計9回、消費者教育に関する講座を実施いたしました。
また、今年5月からは、新聞やラジオ等による啓発活動に加え、特に若者をターゲットに消費者被害の注意喚起をするため、ツイッター「いばらき消費生活なび」を開設し、情報発信を行っているところです。
今後とも、出前講座やSNS等各種広報媒体を活用しながら、消費者被害の防止に向けた取組を進めてまいります。
県といたしましては、引き続き、若年層への消費者教育等を推進し、未来ある若者が、消費者トラブルに巻き込まれることを防いでまいります。
【村本しゅうじ議員要望】
答弁ありがとうございます。
兎に角、トラブル事例や変更内容を広く県民と共有して、消費者トラブルを無くしていけるようこれからも、宜しくお願い致します。県民生活環境部長ありがとうございました。
※:正式な議事は、茨城県議会ホームページをご確認ください。